地中海マルタ島がワーケーション初心者にぴったりだった
去年の9月に一ヵ月間ワーケーションをしにマルタ島に行った。また行きたいと思うくらい素敵な所だったので記憶の整理も兼ねてまとめたいと思います。
マルタ島とは
マルタ島は地中海のなか、イタリアのシチリア島とアフリカ大陸の間に位置する面積246 km² / 人口46万人ほどの小さな島。公用語はマルタ語だが、長い間イギリスの領土だったこともあり現在でも英語が身近なようで、日本人には英語の語学留学先として有名な国かと思います。ちなみに、犬のマルチーズはマルタ原産の犬だからマルチーズだというのをこの時知りました。
ドイツからは飛行機で2時間半ほどで時差は無し。日本からは現在のところ直行便がない為、ヨーロッパでの乗り換えを含めると15時間くらいかかるかと思う。
マルタに一ヵ月間滞在した経緯
夫が完全リモートの会社に転職したのをきっかけに、まずは近場で『なんちゃってノマド』をやってみようということになった。(※最初の一週間は夫の母と祖母も同行。私達が仕事中は自分たちで観光してもらった)
行先にはいろいろな候補があがったが、滞在中はあくまでも休暇ではなく、私は週3/ 夫は週5で普通に働かなくてはいけなかったので、基本的には週末しか観光ができないことを前提に、あえて私たちにとって優先順位が上位じゃない所(じゃないと折角行ったのに思うように観光ができないと悲しいから)、尚且つ夕方や昼休みの空き時間に徒歩圏で観光ができるようなコンパクトな街を探し、その結果がマルタだった。
滞在先
Airbnbでネット環境完備・キッチン・洗濯機付きのアパートメントタイプを探して、世界遺産にもなっているVallettaのど真ん中で1200ユーロ程だった。長期滞在者は電気代が別途清算とのことだったが、暑さに強い方の私達はエアコンをあまり使わなかったのでほぼ追加料金は発生しなかった。暑さに弱い欧米人はエアコンをつけっぱなしにするので、いつもは電気代が跳ね上がるらしい。
ゴミ出しなども分かりやすく案内が掲示されていたし、問題があれが担当者にいつでも連絡可能で、また是非利用したいと思えるフラットだった。
ちなみに、私たちは身軽なワーケーション達人からは程遠く、大きなスーツケースにモニターを持っていった (笑 あとからフラットの管理者と話をして知ったが、最近は宿泊客の多くがノマドで占めており、皆長期滞在でも驚くほど荷物が少ないらしい。私達は初心者だとばればれだった。
目の前にミニスーパー、徒歩数分で大型スーパー・魚屋さん・飲み屋街にいけたし、なによりもどこを歩いても絵になる。家から市街地とは反対方向へ歩けばすぐ海に出られる立地が最高だった。
マルタがワーケーションに快適だった理由
・英語が通じる
元イギリス領だったこともあり、老若男女、基本みんな英語ができるような印象だった。かといって向こうも完全ネイティブじゃないので、話すテンポやボキャブラリーの難易度も高くない。標識や案内版、アナウンス、生活用品にいたるまでほぼすべて英語なので、下調べしなくても大体すぐわかる。基本知識がない言語(たとえば私だったらフランス語とか)、もしくはアルファベットですらない他の言語圏と比べるとなにをするのも楽なので日常と同じペースで動きやすい。
・気候がいい
私が滞在した9月でも日中は30度~35度と真夏気温だったが、実際は非常にカラっとしていて過ごしやすかった。日陰に入ればエアコンがなくても過ごせるので、日本からなら避暑にもなる。新築のフラットはどうかわからないが、Valletta内のフラットは基本数百年前のまま古い石で作られているので、煮えたぎるような外から帰ってきても家に入るとひんやりするのが心地よい。
・人がまじめ・信用できる
暖かい国に行くとよくあるのが、良くも悪くも人がいい加減だったり、ぼったくりや観光客に対して足元を見るような対応がまれにあること。マルタも南イタリアに近いのでそんな感じだろうと想像していたが、結局滞在中一度も面倒な思いをしなかった。人々のテンポや気質はやはりどことなく南欧っぽい所があるが、人との接し方がさっぱりしていて生真面目そうな人が多く、品行方正さはドイツなどの中欧に近い印象を受けた。
とにかく金銭のごまかしや値段交渉などをするシチュエーションがなく、ストレスフリーでいられるというのは結構大事で、マルタはワーケーションに限らず海外が初めての方にもとてもおすすめだと感じた。女性の一人旅にもいいと思う。
・食事がおいしい
これは好みにもよるかもしれないが、新鮮な魚介類が豊富な地中海料理は日本人に受け入れやすいと思う。私は日ごろの魚介類恋しさもあり、許すかぎり魚介類を食べまくった。
もちろんマルタの伝統料理(ウサギ肉とか)もとってもおいしかったし、イタリアが近いのでイタリア料理もおいしい。国際的な料理も島の規模にしては充実してると感じた。私達はVallettaにあるスーパーのフードコートで、今までの人生で一番といっていい程超絶美味しいネパールカレー屋に出会い、滞在中は少なくとも週2回は食べに行っていた。短期の旅行中だったら、南欧まできてフードコートでカレーを食べようとは思わないが、こういったものに出会えるのも長期滞在の醍醐味だと思う。
ちなみに、あくまでも私の考察だが、恐らく英語でコミュニケーションがとりやすいことも関係してかフィリピンやインドなどの出稼ぎっぽい人達が多いような感じだった。多国籍になるとその人達が故郷の味を求めて、食文化が豊かになるのは必然的なのかなと思う。(バスの運転手や工事現場などのブルーカラー層はほぼ東南アジア系かアフリカ系しか見かけず、そこは格差の闇を感じさせられた。)
・街がコンパクトで仕事の隙間時間観光が簡単
ワーケーションだとやはり仕事がメインになるのが普通だと思うので、仕事の合間に観光ができるというポイントならマルタは最適だと思う。
観光客向けの滞在エリアはVallettaを中心に島の東部側に集中していて、静かな所がいい人はBirgu、留学生やパーティー好きにはSlimaやSaint Juliansなど好みによって選べるエリアがあるが、私はやっぱりVallettaをお勧めしたい。
碁盤の目状になっている市街地はどこを歩いても華やかで、ハチミツ色の壁に映えるカラフルな出窓や扉を見ながら毎日散歩をしても飽きることはなかった。旧市街自体は端から端まで歩いても20分程しかかからないコンパクトさなので、観光地としては一日もあれば大方見れてしまうような規模だが、毎日違う路地を歩いてみたり、通りかかったカフェやバーに入ってみたり、城壁に座って海を眺めてみたり、楽しみ方は尽きない。
もちろん旧市街の中には、他にも美術館、宮殿、教会や博物館など数時間で行って帰ってこれるような見どころがたくさんあるが、長くなるのでここでは割愛します。
私達は平日夜は仕事の後にまずは家で夕飯を食べて、食後に散歩をかねてクラフトビールに飲みにいくというルーティーンが多かった。どこに飲みに行ってもフラフラ街並みを見ながら徒歩で帰れるのがよかった。
昼の休憩時間には家から徒歩数分で海辺までいって、ちょっと泳いで日光浴をして、家に帰るというようなことまでできてしまう。マルタ人は基本ぷかぷかしているだけの人が多いなか、海が綺麗すぎて私はよく水中メガネをつけてガチ潜りをしていた
それにしても、欧米人ってなんで皆立ち泳ぎがうまいのでしょうか?うちの夫も一時間位だったら余裕でぷかぷかしてるのですが・・
この世界遺産の街並みに住み歴史的建造物に囲まれながら、海まで楽しめちゃう良い所取りできるのがマルタの魅力だと思う。
・文化的見どころ以外にも自然やビーチがすべて程よい距離にあってインフラも良好
平日は基本Valletta内で過ごし、週末(4週分なので計8日分)だけいわゆる観光をする時間を作った。結果それが、通常の旅行と違って遊ぶ日を分散でき、疲れ果てる前にチャージができたりといいこと尽くめだった。
公共交通としては路線バスやフェリーが各方面にしっかり張めぐされていて、Vallettaからなら島のどこにでも大体一時間以内でいけてしまう。
島の北西の方には、自然に溶け込んだビーチや海岸にそったハイキングルートが豊富で、週末のうち一日はこのあたりまで遊びにきていた。レンタカーや長距離列車などを利用しなくてもいいのが楽だった。
マルタ本島以外では隣のゴゾ島にフェリーと高速船が頻繁に出ており、日帰りで遊びにいける。マルタ島とゴゾ島の間にもコミノ島という小さな島があるがこちらは無人島で、ブルーラグーンとセットでのツアーが人気のようだったが私達は今回行かなかった。
ゴゾ島には滞在中2回行った。路線バスでも十分周れるが、2回目は島中のビーチを転々としたかったので、レンタルスクーターを利用した。スクーターだと小回りもきくし、一日でも島を一周してビーチを3~4か所は周れるのでおすすめ。人類最古の石造建築物でユネスコ世界遺産でもあるギガンティア神殿もスクーターなら楽々寄れて、なかなか面白かった。
まとめ
マルタ島はヨーロッパの旅行先としては日本人にとってまだまだマイナーな分類に入ると思うし、日本から貴重な休暇を利用してヨーロッパまで旅行にこられる方に、これからも私は強くはおすすめしないかもしれません。(他にもいろいろ国があるので・・)
私達も短期旅行としてまたマルタに行きたいかと問われると少し違うなというのが正直な感想で、でもマルタの魅力には完全にはまったのは事実だし、夫ともワーケーションでまた行きたいねとよく話しをします。
旅行というよりも非日常的な日常をお手軽に送るのにうってつけの国ではないでしょうか。
マルタも国を上げてノマド向けにビザ発行するなど長期滞在者の誘致に力をいれているそうで、(たしかに長期滞在者はお金を様々な所に使ううえに、生み出す観光公害が少ないので、観光地にとっては利点が多い)
日本もこれから、外国人の方に長期間滞在したいと思ってもらえる魅力作りができれば、今後の観光業界の発展になるのではないかと改めてしみじみ思ったワーケーションとなりました。