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共同創業者間の資産配分の考え方〈2〉|Vesting and Cliffという方法

本シリーズ(全2回)は、長年多くのスタートアップを見てきたY Combinatorの元CEOのマイケル・サイベル氏が、資産配分(equity split)について基本となる考え方やよくある間違いについて解説した動画を基にしています。

第2回は、具体的な配分方法についてご紹介します。


📍 資産配分に関するキーポイント

  1. 資産配分はモチベーションを最大化するツール

  2. Vesting and Cliffという方法

  3. 解雇する度胸を持て



2. Vesting and Cliffという方法

資産配分については、vesting and cliffという方法が良いとされています。

Vestingとは、一定期間(通常創業から4年)において共同創業者が資産配分をもらえることを保証するものです。

私の理解が正しければ、これの意味するところは、一定期間以後は資産配分が保証されないことです。スタートアップの創業期は特別な意味を持ち、その間の資産配分を取り決める必要がありますが、その終わりが指定されていないと「創業期」の定義が曖昧になるからです。

著者コメント(誤解があればぜひ指摘していただけると助かります)

Cliffとは、一定期間(通常その共同創業者が参加してから1年間)の経った後から正規の共同創業者としての配分がもらえるという仕組みです。

Cliffがあると、共同創業者はある程度の期間貢献しないと何も利益を享受できないので、長期的にモチベーションを保つことができます。

このvesting and cliffも、根本は共同創業者のモチベーションを最大化するための仕組みです。

参考値としては、

  • 1年未満(cliff期間中)で離脱した場合の配分は1%以下程度

  • 1年以降かつPMF (プロダクト・マーケットフィット)前で離脱した場合は最大5%程度

が妥当だとされています。

PMF前の段階では会社はまだまだ創業期であり、頑張らなくてはなりません。一見配分が少ないように見えますが、残りのメンバーのモチベーションを保つためにも、離脱する人があまり多くの配分を取らないほうが組織体制として良いということです。


複雑な配分の欠点

共同創業者が達成した仕事に応じて配分を決めたり、会社がなんらかのマイルストーンに到達したら配分を変えたりと、複雑な資産配分ルールを設けるスタートアップがありますが、これらは悪手だとサイベル氏は言っています。

その理由も、結局は共同創業者たちのモチベーションの関わるものです。複雑な配分だと、どれだけの配分がもらえるかが曖昧になり、共同創業者たちの結束に影響する危険性があります。


3. 解雇する度胸を持て

しかし、なるべく寛大で公平な配分がよいといっても、やはり貢献に差が出てしまったり、共同創業者の間でやる気に差が見られることもあるでしょう。

そういう心配を解消するために、ついつい資産配分を細かく調整することで最適化を図ろうとする創業者はいますが、これも間違いです

サイベル氏曰く、
貢献できない共同創業者、やる気に差がある共同創業者はクビにするべきなのだ
と言っています。
(ただし自主的に辞めるのではない場合は退職金を支払う)

共同創業者というのは、同じ目標に向かって全力で取り組む人であるべきで、それに満たない人を抱えるべきではないのです。
CEOはその権限を持つべきであり、そういう人をクビにできない創業者は、スタートアップの経営を甘く見ていると言っています。

共同創業者としてふさわしいパフォーマンスが発揮できない理由はさまざまです。やる気の問題だけではなく、家族の事情など、やむを得ないこともあるはずです。CEOもその例外ではありません。CEO自身も誰かに役割を譲渡する可能性も考慮に入れるべきです。

そもそも誰を共同創業者として迎えるかについても、同様のことが言えます。Y Combinatorに応募してくるスタートアップで、共同創業者が7人もいるケースもあるようですが、これは明らかに過剰な人数だと言われています。


いかがだったでしょうか。
資産配分については色々な考え方が言われていますが、とても参考になる視点が示されていると感じました。

このシリーズがスタートアップを運営されている方々の参考になれば幸いです。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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