
『Y Combinator』創業者が伝えるスタートアップで重要なこと
スタートアップ関連の動画を何本か観れば、誰かが以下のエッセイについて触れているはずです。
Y Combinatorの共同創業者の一人、ポール・グラハム(Paul Graham)がスタートアップで大事なことを書いたエッセイです。
タイトルを翻訳すると、
「非効率なことをやれ」
です。
今回はこの内容を要約してご紹介します。
これまでのY Combinator解説と類似するところもありますが、どちらかと言えばこちらが原典と言えるでしょう。
スタートアップは自然と軌道に乗るか、そうでないかのどちらかだと考えがちですが、実際にはスタートアップが成功するのは、創業者がその成功を実現するために努力を積み重ねた結果なのです。
ユーザーを手動で獲得する
スタートアップが成功を収めるためにまず取り組むべき最も一般的なスケールしない活動は、手動でユーザーを獲得することです。ほぼすべてのスタートアップがこのプロセスを経ています。
Stripeの創業者たちは、ユーザーに試してもらう際には、単に「リンクを送ります」と言うのではなく、即座にその場でユーザーのラップトップを設定してStripeを導入しました。
Airbnbの創業者たちはニューヨークでドアを一軒一軒訪ね、ホストを直接勧誘し、既存のリスティングを改善するという地道な努力を積み重ねました。
会社の潜在的な可能性を見失わないこと
初期のスタートアップは、新生児のようなものです。
外部の人々はその小さな規模やもろさを見て、その可能性を過小評価する傾向があります。
そんななか、創業者自身が自分たちの作っているものの潜在的な可能性を見失わないことは大切です。それができない創業者はたくさんいるのです。
ビル・ゲイツですらマイクロソフトを立ち上げてから、いったんハーバード大学に戻ってしまったのです。(マイクロソフトが初期にもう少し不調だったら、ずっと彼は大学から戻っていなかったかもしれません)
ユーザーの体験を極限まで高める
最初期の顧客には徹底的に「よかった」と思える体験をさせることを目標にするべきです。しかしこれができる創業者は多くありません。
例えばWufooというスタートアップでは、新規ユーザーに手書きの感謝状を送るという非効率的な方法を採用しました。
このような方法は小さな会社の特権でもあります。
ティム・クック(Appleの社長)にはこのような戦略は取れません。
顧客体験の向上を追求しすぎて失敗した企業は一つも知らないとグラハム氏は言っています。
初期段階で市場を獲得するには
多くのスタートアップは、自分たちや友人のために何かを作り、偶然その友人がアーリーアダプターになるという形で始めます。その後、より広い市場に提供できる可能性があることに気付くのです。この戦略は、たとえ無意識に行ったとしても、十分に効果を発揮します。
しかしこのパターンを意識的に理解していない場合の最も大きな危険は、それを捨ててしまうことです。
自分自身や友人のために何かを作らない場合(友人たちがアーリーアダプターではない場合)、初期段階において市場を獲得するチャンスを失ってしまいます。
企業の中で、最高の初期採用者は通常、他のスタートアップです。
スタートアップはその性質上、新しいものを受け入れやすいだけでなく、まだ色々な環境が整っていないからです。さらに、彼らが成功すれば急速に成長し、それに伴ってあなたも成長します。(スタートアップ同士でシナジーを産む機会を作れたことは、当初予期していなかったY Combinatorメリットの一つだそうです。)
手動対応という妙手
ソフトウェアを「使う」だけでなく、自分自身が「ソフトウェアになる」という方法があります。
ユーザーが少数であれば、将来的に自動化を予定している作業を手作業で対応することが可能です。
この方法は、サービスをより早く立ち上げることを可能にします。そして、最終的に自分自身をそのプロセスから自動化で置き換えたときには、何を構築すべきかを正確に把握できるようになります。それは、実際に手を動かして得た「身体感覚」があるからです。
例えばStripeが初期ユーザーに提供した「即時」商業口座開設サービスは、実は創業者たちが裏で手作業で従来型の商業口座を登録していたのです。
スタートアップによっては、最初から完全に手動で運営されることも可能です。解決が必要な問題を抱えている誰かを見つけ、その問題を手動で解決できるのであれば、可能な限りその手法で対応し続けるとよいでしょう。そして、次第にボトルネックとなる部分を自動化していきます。
まだ自動化されていない方法で解決することは少々不安を感じるかもしれませんが、誰の問題も解決できない自動化システムよりはるかにマシです。
実際のエッセイはもっともっと長いですが、その一部をギュギュッとまとめてご紹介しました。ご興味ある方は、ぜひ原文を読まれることをお勧めします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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