冥界へのラブレター 明智光秀編
拝啓 明智光秀殿
いきなりのお手紙、失礼致します。
昨年はあなた様の一年ということで、ゆかりの場所等では、あなた様一色となるはずでした。なのに疫病が流行り、気がつくと一年が過ぎてしまいました。誠に残念です。
しかし嬉しい知らせもあります。近年、研究が進み、新発見や新事実が相次いでいるのです。それらは、あなた様の本当のお姿を示していると私は考えています。長きにわたる不遇の時代もあとわずか。そちらの世界で、ほっと胸をなでおろしていらっしゃる事でしょうね。
あなた様やあなた様の生きていた時代を知ることは、私たち後世の人間にとって大切なことなのです。人は皆、懸命に生き、その生き様は人々にとって、かけがえのない財産といえます。何故ならその中に生き抜くヒントがあるからです。私たちは今、未曾有の出来事と戦っています。その生き様の一つ一つも、後世の人々に伝えてゆく大切なものだと私は信じています。
あなた様が何を考え何を大切にして何をしてきたのか。あなた様の生きた場所や土地を旅し、正解のないパズルを一つずつはめながら、心の奥深くで繋がりたいと願っています。いつの日か旅する日がくるまで…
どうか、安らかにおやすみください。
敬具
令和三年二月十日
あすかいと