「たとえ僕に明日はなくとも」石川正一
それはなんだろう
「たとえ短い命でも/生きる意味があるとすれば/それはなんだろう/働け ぬ体で/一生を過ごす人生にも/生きる価値があるとすれば/それはなんだろう」。石川正一君14歳のときの詩だ。東京生まれの正一君は歩きはじめが少し遅く,ころびやすかった。幼稚園のころ,東大病院で「筋ジストロフィー」と宣言された。足からやせおとろえ,やがて全身の筋肉が萎縮(いしゅく)して身動きできなくなる病気だ。原因不明で,いまのところ根本的治療法はない。
歩行不能になったのは10歳の夏だった。