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長崎からホームランを打つベンチャーを作るため 宮崎・鹿児島へ

人口減少、経済衰退に悩む長崎を一気にゲームチェンジする一塁打ではないホームランのようなベンチャーを作るためにはどうすれば良いのか。ヒントを求め宮崎、鹿児島まで足を延ばしてきました。

[自己紹介]なぜ長崎にベンチャーエコシステムを作っているのか?

結論:助けていただいた長崎と起業家に恩返ししたいから。

長崎でフリーランスエンジニアをしています。イケです。学生時代コロナでバイトができなくなったことをきっかけに起業、ゲーム会社や大学の産連に正規/非正規で務めたこともありましたが現在はフリーランス一本です。

独立当時事業がうまくいかなかった際、長崎の起業家やスタートアップコミュニティの皆さんに沢山助けていただきましたが現在、長崎の起業家やスタートアップコミュニティは大きな危機を迎えています。それは「長崎でビジネスをするのが難しい」との声(なき声と雰囲気)です。

旅のサブスクスタートアップ、hafhさんが長崎市中心運営していた施設を終了した際のnoteは大きな反響を呼びました。下記のnoteには長崎のスタートアップエコシステムの課題が記されています。カフェ、イベントスペースとしても大変お世話になりました。

"長崎の銀行や企業から大きくベンチャーキャピタルへ出資いただいて、長崎にリスクマネーを引っ張ってきて、起業家育成に尽力しようともしましたが、誰もそのようなお金は持っていませんでした。同情するならリスクマネーをくれです。"

上記砂田さんnoteより

長崎オフィスを閉じ、フルリモートになったイグアスの代表、中村あきらさんの記事にも長崎でビジネスをする難しさが記されています。イグアスの運営するシェアハウスにも大変お世話になりました。ありがとうございました。イグアスさんは恋愛、結婚のパーソナルトレーニング、「parcy's」を運営されています!

私がジョインしている長崎大学発ベンチャー、株式会社Booonも登記は長崎ですが、新しいオフィスは福岡市西区姪浜です。(私は引き続き長崎が拠点です、長崎福岡ともに採用強化中。)

ミルワームで育てたサスティナブルなサーモン。美味しい。 ©Booon

例を出し始めるときりがありません、人口がどんどん流出している長崎から起業家や起業予備軍が流出しています。ベンチャーキャピタル(VC)による支援を受けた企業はそうでない企業より生産性が高く[1]、労働生産性と人口増減に正の相関がある以上[2]、長崎の町と人を持続させるためにはベンチャーキャピタルから出資を受けるスタートアップが必須です。なのでなんとかしようとしています。

宮崎にはベータベンチャーキャピタルさんのオフィスがあります!

(筆者は鉄道好きです。)

今回の宮崎出張の目的はベータベンチャーキャピタルさんの宮崎オフィスに伺うことです。相談会を開催されており、たくさん上記のような長崎のエコシステムについて相談に乗っていただきました。本当にありがとうございました。

長崎は様々な事情で、VCに会いにくいです。(新幹線とか24時間やっていない空港とか)地方ではまず地銀系のベンチャーキャピタルがあることが多いですが長崎は二大地銀が合併しふくおかフィナンシャルグループに入っているので、福岡銀行付けの株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズさん(以下、FVP)が長崎の「地銀系VC」枠にあたります。

もちろんFVPさんも2018年に十八親和銀行さんと開催した長崎学生ビジネスプランコンテストの縁から株式会社Tooonさんに出資をされており、長崎のスタートアップエコシステム育成に尽力頂いているのも事実。
私の個人事業のポートフォリオもTooon、すごく使いやすい。

しかし、長崎に(誰かが常駐する)VCができるということが特にシードラウンド支援では必要であるということを今回の宮崎訪問で認識できました。

↑宮崎太陽銀行からβにうつられ、宮崎オフィスにいらっしゃる津野さんの記事が非常にわかりやすくまとめられております。ご相談乗っていただき、本当にありがとうございました!

前述のhafhの砂田さんのnoteからも長崎のベンチャー、スタートアップエコシステムの元気が足りない一因は長崎のリスクマネー不足であることがわかります。内閣府の資料[3]でも起業家よりもVCが先なのは明白です。

起業家がいないと投資家は来ないとよく言われます。逆。

(2024年10月27日追記)
”福岡銀行付けの株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズさん(以下、FVP)が長崎の「地銀系VC」枠にあたります”との記載をしておりましたが、合併前の十八銀行が『元気な長崎』応援ファンドを運営されており、hafhを運営する株式会社KabuKStyleにも1億円の投資を実行されております。

地元地銀の活動について記載不足であり、申し訳ございません。
合併後のファンド活動についてご存知の方がいらっしゃれば情報提供いただけますと幸いです。
(追記部分終了)

食のスタートアップは地域と相性がいい?

宮崎駅にて

宮崎駅で食べた昼食(上記画像)、本当においしかった。1030円という超コスパなのに目の前でカツオをあぶってくれます。SaaSなどのITビジネスは福岡、東京でビジネスをした方がいいよね、と経営者も投資家も判断するかもしれませんが、鮮度やイメージが重要な飲食がらみのスタートアップは話が変わってくるはずです

宮崎の駅ビルにみやざきフードビジネス相談ステーションという施設が入っており、町としてフードビジネスを応援しているんだということが考察できます。

ちょうど宮崎駅にいるときに、宮崎のスタートアップsmoltさんのつきみいくらがかっぱ寿司で期間限定販売されているニュースも流れ込んできて、食のスタートアップというのも地域を元気にする大きな手段だと思います。

ちなみに長崎県平戸市にある野菜のシートを作られている株式会社アイルさんは長崎のお隣、佐賀の株式会社佐銀キャピタル&コンサルティングさんに投資を受けられています。新幹線の接続だけでなく、スタートアップへの投資も佐賀県に頼っているとは、長崎県民としてもっと頑張らないといけないです!

アトツギベンチャーも長崎を元気にする手段の一つかもしれない

宮崎から鹿児島へ向かいます、鹿児島の老舗アトツギでエネルギー商社の、KOBIRAさんのシェアカフェ、ハマポケが目的です。町のコミュニティ、ポップアップストアの挑戦など町にすごいいい効果を作っています。

伺った日(2024,9/28)は、よつはなさんがお菓子を販売されておりました。まだまだ熱く、長旅で疲れた体に効く、おいしいお菓子を購入。上記noteによると出店料は完全無料、挑戦できる場を提供されエコシステムができています。

駅で電車を待ちながら実食。

前述の通り、"SaaSなどのITビジネスは福岡、東京でビジネスをした方がいいよね、と経営者も投資家も判断するかもしれない"ですが、地元経済としっかりガッチャしているアトツギは地域でビジネスをする理由があると思います。

長崎の茂木、鹿児島や宮崎と同様すごくいい景色。

実は宮崎に向かう直前、長崎の茂木でアトツギベンチャーの取り組みのお手伝いをさせていただきました。長崎には新しいスタートアップだけでなく歴史を持つ素晴らしい企業がたくさんあり、そこから新しいビジネスが生まれることも長崎を元気にする手段の一つと思います。

まとめ VC、食、アトツギが長崎などの地域を元気にする?

出張記録とベンチャーへの考えを両方記そうとした結果、どちらとしても読みにくい駄文になってしまい、申し訳ありません。ここまで読んでいただきありがとうございます。

まとめると①地域に根差したVC②食などの地域資源の活用③地域の歴史ある企業のアトツギがベンチャーで地域を元気にするキーワードだと再認識する出張でした、ということです。

文章量からわかるように私は特に①地域に根差したVCが長崎に足りないと考えています。②食などの地域資源の活用に関しては長崎は平和文脈もあるかなと考えていますが平和とビジネスをつなげるのはなかなか難しく苦戦しています。

今後とも精進してまいりますので何卒宜しくお願い致します。

追記 大学発ベンチャーも地域を元気にするはず

出張記録とベンチャーへの考えを両方記そうと試行錯誤した結果、私個人の意見としては大きなリソースを占めますが今回の旅程には含まれていなかった大学発ベンチャーについての記載をここまでは省きました。地方ベンチャーの文脈では外すことができないので大学についても少し記させていただきます。

研究成果ベンチャーは8割以上が大学と同じ都道府県に所在し[4]、学生ベンチャーはYahooやhpのように資金循環に繋がる[5]ため、大学発ベンチャーは非常に地方創生に効果が高いと考えております。実際、大学発ベンチャーは存続率が99%と言われており[6]大学と関係のないベンチャーに比べ、長期的な経済効果が期待できます。

先ほど紹介した株式会社Booonだけでなく、お手伝いさせていただいている株式会社Nmediaも大阪大学発ベンチャーと協力し、AI画像診断TRACKBOTTを展開しております。

改めてここまで読んでいただき、ありがとうございました。

引用元:

参考、話題としてのリンクは文中に埋め込んでおりますが、主張の根拠となりうるデータの引用元はこちらに記しております。

[1]British Private Equity & Venture Capital Association "Quarterly Review May 2021"https://www.bvca.co.uk/Portals/0/Documents/Research/2021%20Reports/BVCA%20Quarterly%20Review%20-%20May%202021.pdf.

[2]茨城県企画部統計課 企画分析G 主任 島田 康裕,"労働生産性,所得,人口増減の関連に関する考察",https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/tokei/fukyu/tokei/datamining/20180330_1.html

[3]内閣府,スタートアップ・エコシステムの現状と課題,
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/innovation_ecosystem/5kai/siryo1-2.pdf.

[4] 経済産業省平成19年度産業技術調査,「大学発ベンチャーに関する基礎調査」実施報告書,(株)価値総合研究所,2008 年 3 月.

[5] 長谷川克也、”大学にとってのスタートアップの役割”「大学技術移転サーベイ - 大学知的財産年報 2018年度版」一般社団法人 大学技術移転協議会(2019年5月)p.6-21.

[6]東京商工リサーチ,令和4年度産業技術調査事業 大学発ベンチャーの実態等に関する調査,https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/start-ups/reiwa4_vb_cyousakekka_houkokusyo.pdf

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