10年債入札 低水準
財務省が9日実施した10年物国債入札で、応札額を落札額で割った応札倍率は3.60倍と2022年8月以来9カ月ぶりの低水準となった。日銀の政策修正観測の後退などを背景に10年債利回りが切り下がり、需要が集まらなかった。もっとも入札後の流通市場では押し目買いも入るなど、金利上昇(債券価格の下落)が続くとの見方は限られている。
小さいほど好調とされる平均落札価格と最低落札価格の差(テール)は9銭と前回4月の11銭から小幅に縮まったものの、市場では需要が弱い「低調」な結果との見方が広がった。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「長期金利の低下で日銀が無制限に買い支える0.5%から離れてしまい、価格下落リスクを警戒して需要が集まらなかった」と指摘する。入札結果を受けて10年債には売りが広がり、一時0.43%と4月28日以来の高水準を付けた。もっともその後は押し目買いも入り、0.42%に低下して取引を終えた。