ZARDと私
運命のルーレット廻して。コナンのOPのこの曲を久しぶりに聞いた。とてもエモーショナルで懐懐ソングだった訳だが、私はこの曲をZARDが歌っていると知らなかった。声は明らかにZARDであるのに、私はそれを認識できていなかった。思えば当時の私はガキもガキだったので、ZARDの存在自体を知らなかったのかもしれない。後年、私はZARDの名曲の数々を知ることになる。にも関わらず、私の中で負けないでやマイフレンドの歌い手と運命のルーレット廻しての歌い手が合致することはなかった。不思議なことである。
ZARDの鼻にかけるような歌声は癖があり、時代を感じて懐かしくなる。我々の親世代のママさん達はもれなくZARDを模倣したような歌い方をしていた。みんなZARDだった。ZARD ZARD。
幾つかの曲は知っているのだが、やはり私はZARD自体のことをあまり知らなかった。なんとなく昔ボーカルが死んだことは知っているが、それだけだった。これを機にZARDのことを調べてみると、ボーカルの坂井泉水が死去したのは2007年で、思ってたより最近だった。新世紀になる前には旅立たれたものだと思っていたが、それは違っていた。彼女は2000年以降闘病生活を送っていたという。私はZARDが活動しなくなった時期を肌感覚で覚えていて、そういう風に勘違いしていたのかもしれない。だからあの頃もあの頃も、ZARDのボーカルは私と同じ世界に生きていたのだ。2007年、私はまだ学生で、世間とは隔離された寮生活を送っていた。あの時だったのかとWikipedia見ながら思う。当時世間を騒がしたであろうニュースは私や私の周りをものの見事にスルーした。
私がなぜ彼女の死をなんとなく知っていたのかは分からない。ネット社会の日々流れていく膨大な情報の中で、ひょんな時にそれを目にしたのかもしれない。しかしそれがいつだったのか、何がきっかけだったのかは分からない。
美しい女性の歌声は、どことなく死を想起させる。もしかしたら私はZARDの曲を聞きながら、その歌声に何かを感じていたのかもしれない。