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[ASIBA授業レポート]第4週「事業計画と資金」

一般社団法人ASIBAは、建築・都市領域の学生向けの短期実践型インキュベーションプログラムや1DAYワークショップなどを企画・運営しています。建築学生が当事者意識をもって自らの提案を実装できるような環境を整備し、建築・都市領域の可能性を拡張していきます。

本記事はASIBAホームページからもご覧いただけます。

第4週目のプログラムは、TOKYO NODE LAB 茂谷様ご協力のもと、TOKYO NODE LABを使って行われました。ご協力ありがとうございました!TOKYO NODE LABは、東京に位置する最先端の研究開発拠点です。技術とイノベーションの最前線で、様々な分野の専門家が集まり、AIやサイバーセキュリティ、スマートシティの統合ソリューションなど、多岐にわたるプロジェクトが発起、進行されています。

会場: TOKYO NODE LAB
会場: TOKYO NODE LAB

株式会社SEN / 代表 / 建築家の各務太郎さんによるレクチャー

今週は、株式会社SENの代表であり、建築家としても活躍されている各務太郎さんによるレクチャーとワークショップが行われました。
各務さんは大学で建築を学んだのちに大手広告会社や海外大学への留学などを経験し、デザインを仕事にしてマネタイズしていくための全く新しい独自の方法論を体得しました。建築・都市の領域で軽視されてきたデザインの「事業性・収益性」について、広い視野と卓抜した知性で切り込んでいきます。なお各務さんの論考は著書『デザイン思考の先を行くもの』『アイデンティティのつくり方』などに詳しいので、是非ご覧ください。

各務さんは、建築学生であった頃から今に至るまでの自分の経験に沿って自説を展開し、「建築・デザインとは何か、建築家とは何か」を事業やお金の観点から再定義していきました。これからの時代に必要不可欠な、まさに「建築・都市教育の教科書」のような授業でした。

1, デザインとは問題解決
デザインとは問題解決のことであり、「問い」に対する「答え」が求められる。しかしながら、「答え」を先鋭化するには「問い」の質を上げることが求められる。従来の建築家は「発注者から予算と納期をもらってデザインを返す」クライアントワークに終始し、結果的に自らの仕事の範囲を狭めていました。Business Firstなデザインでは、「問い」は自ら生み出すべきものであり、つまり建築とは「自分で問いをうみだして自分で解決する自作自演型ビジネス」なのです。

2, アイデアの参入障壁
「価値とは希少性のことである。」
「100人に1人の分野を3つ作って100万人に1人になる。」
「未来はどうなるのかではなく、未来をどうしたいかで逆算して考える。」「異分野のものを自分の分野で見立てる。」
異分野の人が混在するハーバードでの経験をもとに、希少性の高いアイデアの生まれ方について語っていただきました。街に溢れてるものを自分の専門分野を通してみてみると、自分にしか見えない問いが見えてくるかもしれません。

3, 形態は事業に従う
「建築家は言葉の職業である」
建築におけるデザインの真の良し悪しは、純粋な美的観点のみならず、社会に自分のビジョンを伝え、事業として成立させられるかどうかに依存します。MVRDVによるオランダ・ロッテルダムのマルクトハムが市場と住居を秀逸な方式で複合させたことによって、世界中のデザイン賞を総なめにしたことから分かる通り、デザインとして実際に評価されているのは「ビジョン」や「事業のサスティナビリティ」であり、単なるシェイプや色彩のみではありません。もちろん、これは先に述べた「問い」と「アイデア」がないと実現しません。

4, リスクを取らないアイデアは創造性がない
「少ない予算の中で面白いものを工夫して作る」ではなく、
「やりたいものをやるだけのお金を自分で集めてこよう」で仕事を進める。
「人はアイデアだけでなく、リスクを取った人を評価する」
「スタートアップなどは、リスクを背負うことで最初は敵が増えるが、共感したり評価したりしてくれる人が増え、結果的にそれがリスクでは無くなっていく。」
これらは過剰にリスクを恐れた結果、創造性のあるデザインが出来なくなってしまう現代のクリエータに対する、痛切な指摘であるように思えます。

5, お金の集め方の話
株式会社、小口証券化、広告会社モデル、設計以外の事業を持つ、クラウドファンディングの5つを例に、施主からの設計費用に頼らずに建築プロジェクトを実現させる方法について教えてくださりました

6, 若ければ若いほど良い
「お金も人脈や経験も複利であるから、今の行動で将来が大きく変わる。」
私たち建築・都市の「学生」に希望と活力を与えてくれる言葉をいただきました。頑張りましょう!!

株式会社SEN / 代表 / 建築家の各務太郎さん

事業計画ワークショップ

レクチャーをもとに各務さんから「美術館の設計課題」が出題されました。ただし、「ファイナンス計画と事業計画」がメインテーマです。グループで協力して、今までと違った思考プロセスで建築設計について考える貴重な時間となりました。

ワークショップの課題
・これからの建築設計で「資金調達」という視点を持つ 。
・高い難易度の「事業計画」を経験する。

次回までの宿題

次回は2週間後の中間合宿です。そこで、2期生は3分間のピッチを行います。そのピッチの準備と練習が宿題として出されました。
以下がポイントとなっております。
・なぜ自分がやるのか、愛はどこにあるのか
・いま何が問題なのか、どうあってほしいのか
・どうやって取り組むのか、チーム・スケジュール・場所・方法など
ピッチのクオリティは練習回数に比例します。たくさん練習してきてくれることを祈っております!

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