[番外編]一期生の中山さんによる落語空間おちば 公演報告!
6月29日、ASIBA第一期インキュベーションプログラム参加者である、東京大学大学院新領域創成科学研究科 M2の中山亘さんが、虎ノ門ヒルズのTOKYO NODE LABにて「落語空間 おちば」の実験公演を行いました!
昨年より中山さんがずっと取り組んできた落語のプロジェクトが、遂に社会実装され実を結びました!
「纏う寄席」 としてASIBA一期インキュベーションを修了
中山さんは、昨年10月からスタートしたASIBA一期インキュベーションプログラムにて、「纏う寄席」と題して、落語空間デザインの実現に取り組みました。落語の演目から舞台空間や出囃子をデザインし、噺の世界観に没入してしまうようなアーティステックな落語を目指しました。
落語を成立させる最小限の建築的要素だけを残した自由な「現代寄席」は、令和の落語ブームの到来を予感させる魅力的な提案として高く評価され、最終ピッチで見事、日建設計賞を獲得しました。
「落語空間おちば」プロジェクトついに講演!
その後も執念強くプロジェクトを進め、6月29日(土)、落語空間おちば実験公演Vol.01として遂に公演を実現しました!
当日は17:00-18:00と19:00-20:00の2部構成で行われ、合わせて50人近くのお客さんに来ていただきました。
講演を終えて:中山さんインタビュー
宮田:今回の講演、一期の内容と比べて変わったり、成長したのはどういった部分ですか?
中山: 一期の時から何かしら落語の空間を作りたい、とは思っていました。でも何のために?どこで?どうやって?まだまだ解像度が低いままでしたね。津川さんの講評で、ただカッコいいだけではつまらない、落語を都市空間の中で上手く挿入していくことが大事なのではないか、というコメントがありました。落語のはじまりは、道端で話のうまい人が話をして、通行人が足を停めようになったのが始まり。落語の本質・原初的な起源に遡って、何でもない都市のいろんな場所で公演が出来たら面白いんじゃないかと。
でも、ただ台を置いただけでは場を作ることはできません。都市空間で一時的な落語の場を作り、聞き手に没入してもらうために、建築的なデザインを利用できないかと考えました。
例えば、高座と客席はどちらも木組みで作っています。演目の『愛宕山』を連想させるようなデザインですが、共通する同じルールで空間をつくることが重要だと思います。それが共通するノイズになっている。サブリミナルな「ホワイトノイズ」。今後もっと周囲の情報量が多いような都市空間でやるとしても、共通するノイズで包むことで、落語の領域をつくれると考えています。
宮田:今後の落ち葉プロジェクトについてはどう進めていく予定ですか?
中山:背景に流れてた映像・提灯のデザインなどは、まだバラバラしていたものも多かったと思います。より強固な一つの場をつくれるように設計のコンセプトを作っていきたいですね。
次は屋外でやりたい!機材・人の流れとか、ふらっと通る人をどうするか、天候・気候をどう解決するのか、そもそも場所をどこにするのか?まだまだ決まっていないことばかりですが、8月に屋外で実験公演をやる予定です。
最終的には、落語が街の色々な場所で、ゲリラ的に日常的に何気なく行われるようにしたいです。作りこみ過ぎてカチッとしたものを作ってしまうと、落語の敷居が高くなってしまいます。もっと身近なものにしたいから、簡易的なものをたくさん実現していきたいですね。
ただ、秋から留学でウィーンに行ってしまうので、公演をどうしていくかは考え中です。もしかしたら落語空間おちばの海外進出もあり得るかも??
(文:宮田龍弥)