映写ワークショップで移動映写機“新響”を扱ってみよう(2)
小会代表・石井義人による移動映写機ワークショップの振り返り2回目です。
移動映写機ワークショップで何をするかを考える
ワークショップのメニューを考えた際、35ミリ映写機を設置している映画館に勤務しているが、年に数度くらいしか使用することがない映写技師の方と、その周囲にいる関係者の方を対象者に想定しました。先輩から教えられた映写の手順は、繰り返し履修(映写)することで身に付く性質のものです。
上映プリント(映画フィルム)は一様ではないので、作品が変われば、映写機の調整が必要になります。映写機を動かす頻度が少なくなると、手順だけでなく、上映プリントの扱い方、機材の調整方法、トラブル対処など、経験から得られる知識が停滞します。映写作業では、自信を持ってフィルムと機械を扱うこと、トラブルが起こった時の応用力と場合によっては映写機を止める勇気も必要になります。もちろん、セオリーとエビデンスに基づいて考えなければなりませんが、映画を映写することの責任を感じることは最も欠かせないと思います。
2023年は、“新響”映写機を実際に組立て、上映プリントを装填し映写するまでの過程を体験 する内容にしました。
講師役をお願いした岩本知明さんが用意した台本は、言葉による説明の 時間と参加者が体験する時間を、秒・分単位に落とし込んだ、とても緻密に構成されたドキュメントでした。半日程度の時間の中で出来ることは限られています。
伝えるべき事項を最低限に絞り込み、参加者それぞれが偏りなく体験できるように配慮されていました。少し駆け足だ ったかもしれませんが、“新響”を取り扱うことを通して、映写技師を始めた頃に先輩から伝え られた映写機とフィルムへの接し方を、もう一度新しくしてもらえたら何より嬉しく思います。
次回は2024年12月、
その予告
この文章の最初に「新響」を2台用意するのは大変だと書いたのは、ワークショップの準備も なかなか大変だったことを想像していただきたかったのが理由です。機材の手配だけでなく、 台本を作り内容を構成すること、参加の呼びかけから当日の庶務まで、スタッフが総がかりで 運営にあたりました。
移動映写機ワークショップに参加していただいた方と、その後も交流を続けています。その中 から、手応えを覚えたことがありました。大きな広がりではありませんが、続けて行くことの理由が見えてきたと感じています。幸運なことに、今年2024年も福岡市総合図書館の理解と協力を得て、移動映写機ワークショップを開催します。
まとめ
移動映写機ワークショップの記録
日時:2023/10/27(金)11:00~16:00(休憩あり)
会場:福岡市総合図書館・試写室