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#14 怒ってはいけない大会が育むスポーツの価値とは

3月6日(日)に浜松市 男女共同参画・文化芸術活動推進センターで行われたあいホールフォーラム『監督が怒ってはいけないバレーボール大会を企画した理由』の講演会に行ってきました。


今回益子さんのお話を聞いたのは、4回目でしたが、聞くたびに新しい発見がありました。


“怒る指導で失われるもの
→チャレンジ精神、学ぶ心、主体性、笑顔”

と話されていたことが、とても心に残りました。


これは、結果を求め過ぎる今の小学生年代(や中学生年代)のスポーツの環境にも共通することだと強く感じました。


勝ち急ぐあまり、
指導が誘導尋問型・指示命令型になっていないか、
チャレンジ(や失敗)を認める余裕が失われていないか、
選手の選択や判断を奪っていないか、
プレーする選手が限られてしまっていないか。
とても通ずることがあるように思いました。


益子さんは現役時代のことを振り返り、

心・技・体の技や体は、自分にはものすごく備わっていたかもしれない。
だけど私の心はやせ細ったままでした。
心という土台の上に、技・体がなければならないのに、
心がやせ細ったままだったから、いつも揺らいでいました。


と表現していました。


私が保育士をしていた時に、諸先輩方から言われたことでとても大切にしていることがありました。

私たちの仕事は、子どもたちが大人になるための土台を作っている、大きな樹木に成長するためには、土台となる根をしっかりと張り巡らすことが出来ていないと大きな樹木には成長できない。
根は、決して地面からは見えないけれど、人が成長していくためにはとっても大切な部分なんだよ。私たちの仕事は、そういう仕事。


保育の現場では、遊びや大人(またはお友だち)との関わりの中で、子どもたちの心を育んでいきます。
誰かと比べたりしない、一人ひとりの成長を遊びや人間関係を通して、大人が支えます。0歳の赤ちゃんであっても、こちらが真摯に向き合えばちゃんと伝わります。そういう日々の積み重ねの中で、子どもは成長していきます。保育の現場で、○○が出来る、○○が上手、○○さんはともだちトラブルがない、など結果ばかりを大人が求め始めたら、子どもたちの心は死んでしまいます。

よく考えると、保育の仕事だけでなく子どもと接する保護者や大人、教員、指導者などすべての人にも同じことが言えると思います。

益子さんの心技体の話にとても通じるなと感じました。

子どもたちの′心’は、私たち大人と社会が責任を持って育む必要があると思います。

スポーツは勝負があるのだから、結果を求めるのは当たり前ではないか、という声が聞こえてきそうです。もちろんです。でも、絶対に飛び越して置き去りにしてはいけないものが、スポーツマンの心なのではないかな、と思いました。


勝ち急ぐ指導では、心はやせ細ったままのような気がします。


’footballは子どもを大人にし、大人を紳士にする’

というデットマールクラマーさんの言葉が示すように、
サッカーの本質を知れば、自ずと子どもは成長していくようなきがします。
今日の講演会でもスポーツマンシップについて少し触れられました。


時に大人が、
挨拶しなさいとか荷物をしっかり揃えなさい、と
いうことがあります。
特に、日本ではその’形’や見た目ばかりを言いがちです。それが、スポーツマンシップと勘違いされているかもしれません。


スポーツの本質を知って、
心の底からそのスポーツに夢中になれば、
相手やチームメイトへのリスペクト、自分と向き合う心を育むことが自然と出来るような気がします。

ゲストスピーカーのバレーボール指導者の藤原道生さんがとても良い話をしてくれました。

サッカーW杯ブラジル大会の決勝で、試合前にテレビがロッカールームに入った映像をみたことがある。「相手チームがベストコンディションでこの試合のピッチに立つことを祈ろう、そして、私たちもベストコンディションで、最高のゲームを(両者で)作りあげ、ここにいる観客に最高のゲームを提供できることを祈ろう!」と監督が鼓舞していた。とても感動して。
RESPECTとは、【尊敬】と訳されることが多いが、海外の指導現場を回ってきづいたことは、【尊重】なのでは、と。尊敬は下から崇めるだが、尊重となると、同じ立場のなかでの【尊重】となる。


スポーツにはそれを育むためのエッセンスが沢山あると思います。
怒らない大会、と同様に、
そのような、スポーツの本来の価値に気づく大人がもっともっと増えていくといいなと思います。


今回はスポーツとジェンダーという視点からの企画でした。
一見すると、関わりがないような話にも聞こえます。

ジェンダーの問題は、性差によらない、個人の尊厳や幸福といったものをどのように尊重してより良い社会を作っていくか、ということが根本にあります。

今回の益子さんの講演も、そのような社会問題と対峙するためのヒントが沢山散りばめられていたと思います。

スポーツに関わる全ての大人に届いて欲しいと思うと同時に、多様性を謳うこれからの社会を作るうえでも大切にしたい内容でした。

イングランドで発祥したという“スポーツマンシップ”をもっと知りたい。


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