SNSの醜い扇動者

僕は大谷翔平選手のファンなので、通訳の水原一平氏による違法ギャンブル事件を聞いて、当然の如くいたたまれない気持ちになっていた。

プロスポーツに必要とされる集中を、しかも彼ほどのエリートになるために必要な極限の集中を、大きく阻害されてしまうようなスキャンダルに彼が巻き込まれてしまうなんて。

水原氏がこの騒動に火をつけたことによって、大谷翔平選手も違法ギャンブルへの関与が疑われてしまうことになり、憶測によって彼の非が語られ、悲観的な去就を予測する、侮蔑的な論がSNS上で多く交わされた。

一方、野球ファンは大谷翔平選手が成し遂げてきた偉業がどれほどのものかを理解している。野球以外の物事に現を抜かしては、成し遂げ得ない彼の偉業を。
僕は彼の人間的なファンではあるけれど、それは盲目的な傾倒ではない。僕たちがファンである大きな所以は、彼が成し遂げてきたことに対する実際的な信頼感だ。
人間が100%の純度でプロスポーツに打ち込むことによって初めて結実する完成された二刀流。
それに僕は胸を打たれて彼のファンとなったのだ。

だが、SNSの愚かな扇動者達はその背景を理解しようとしない。彼らにあるのは扇動によって生まれる自分への賞賛と金銭への醜い欲望だけだ。

大谷翔平選手がどれだけのものを投げ打って、プロスポーツのエリート選手になったのかを想像しようとしない。だから、あれだけ軽々しく論ずることができるのだろう。

彼が関与しているかどうか疑問だというクエスチョンで論を終わらせている人に対しては、その心境を理解することができる。しかし、彼も同罪だの、捕まるだの、野球界追放だの根も葉もないことを野球に全然関心もない奴らがしたり顔で語っていたことは、非常に胸糞が悪かった。

そして、やっと米国の公的な機関による報告で、大谷翔平選手の無実が知らされた。SNSを見て、彼の憶測について謝罪する投稿は全然見当たらない。あれだけ、扇動的な投稿がバズってタイムラインに流れてきたのに。

やはり、僕はこれからも扇動的な言葉を信用しない。断定的な言葉をもって扇動に導く奴らはゴミだ。とてもとても醜い。反省もしない。

この世にあって、断定できる物事なんてほとんどない。これが断定的に語れる数少ないことの一つ。

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