asian28のプチ中国語講座②~上達への近道~
みなさんこんにちは。
asian28です。
さて、第2回目は北京で使われている表現を一緒に学びましょう。北京が舞台のある中国のドラマで使われているフレーズを少しアレンジして問題にしたいと思います。それではトーア先生、お願いします。
1.京劇から生まれた表現
トーア:はい。それでは第2回をやっていきましょう。先程下記の中国語をミッチーに日本語訳してもらいましたが、訳し切れていなかったので問題にしたいと思います。間違いを指摘して正しい日本語にして下さい。ヒントは舞台が北京であるということです。
《文章の背景》刑事ドラマの中で、上司と部下がある殺人未遂事件について話し合いをしていますが、その部下が、元刑事の主人公(ここでは李さんとしましょう)とコソコソ裏で事件解決のために動いていることを上司が知って、放った台詞
可你和小李这又唱的哪出啊。
ニコ:直訳すると「しかし、君と李君がまた歌ったのはどこにあるんだ。」って感じで、意訳すると・・・分からん。
トーア:更にヒント。京劇には色々な演目(例えば喜劇とか悲劇等)と演者の役柄があり、観衆は演者のあるものを見れば演目の方向性や役柄の性格等が大体分かるようになっています。
ニコ:分からなーい。
トーア:さあ、ヒントを聞いてミッチーはどう訳すかな?
ミッチー:いやあ、これ全く意味が分からなかったのよね~。ちょっと待ってね。少し時間を下さい。
トーア:はいどうぞ。因みに顔色に関係ありです。
ミッチー:私が最初に訳した内容は確か「しかし、君と李君はどこで歌いましたか。」だったね。「可」、「这又」もよく分からないし、「的」の訳し方が良く分からないな~。
ミッチー:今、検索したら、「海外网」という中国のニュース記事に「禁止中国籍乘客入境?印度又是唱的哪出戏!(来源:侠客岛 文/点苍居士)」こんな文があったよ!
「又唱的哪出」
っていう表現が、直訳では意味が分からない所だよね。ヒントから考えると、
「しかし、君と李君がまた歌うのは、悲劇か喜劇のどちらに出ますか?」
もしくは、
「悪役か良い役のどちらで出ますか?」
これでどうだろう?私の回答はこれが限界です!先生、教えて下さい!
2.「脸谱(liǎn pǔ)」顔色から分かる事
トーア:色々頑張ったね。はい、このフレーズは意訳になりますが、「しかしお前と李君は何をやろうとしているんだ。」という感じだと思います。
トーア:京劇等において、演者の顔には「脸谱(liǎn pǔ)」という、歌舞伎で言う所の隈取りをしますが、この「脸谱」の図案や色で役柄の性格や地位が分かるようになっているそうです。悲劇や喜劇等の演目の方向性も登場人物の顔色を見ればざっくりと分かる演目もあるそうです。
例えば「红」は最も尊ばれる色で、至誠、忠義を象徴しており、関羽の顔は真っ赤ですよね。「唱红脸 (chàng hóng liǎn)」という中国語の意味は「正義の役割を果たす」となります。
「白」には猜疑、陰謀の気象が宿っていて、奸智に長けた武将は白を使うそうです。曹操などはその典型です。「唱白脸 (chàng bái liǎn)」という中国語の意味は「憎まれ役を買って出る」となるそうです。
トーア:つまり、「又唱的哪出」とは「红脸なのか、白脸なのか、(或いは別の色の脸谱なのか)、一体どの役を演じているんだ。」という意味になり、意訳をすると「何をやろうとしているんだ。」となるわけです。因みに部下の刑事は裏でコソコソ調査をしていて、上司としては何をやっているのか分からない=顔が見えないので、「お前は、何を考えているのか分からないよ」というニュアンスでこの言葉を発していると思われます。
ニコ:なんとなく、そういうニュアンスかなーと思った!
ミッチー:そういう意味になるんだ!!こういう言い方があると知らないと訳せないね。先生、詳しい解説ありがとう!勉強になるわ。
3.まとめ
トーア:北京が舞台のドラマだと、所々に北京の表現が出てくるんですが、じゃあ北京でしか使わない表現かと言うと、ドラマになっている時点で全国の中国人がそれを見て覚えますし、北京は首都なのである意味「お洒落」で「すました」中国語表現として、全国に認知されています。こういった表現が分かって来ると、中国語の学習がより楽しくなるのではないかと思います。言語はその国の文化に深く根付いていますので、文化をより学べば、語学学習もよりはかどると思います。少し難しいかもしれませんが、プチ中国語講座ではこのような文化に根差した中国語も取り上げていきたいと考えています。
ニコ:なんか「脸谱」のことを知ると、京劇を見たくなってくるね。今までとは違う視点で京劇を見ることができるから、楽しさも倍増しそう。中国語は奥が深いから、学べば学ぶほど難しいと思う事があるけど、このプチ中国語講座でピンポイントに苦手を克服して、今度京劇を見に行こう!先生、これからも宜しく!