「正しく」参拝したいけど、何を信じればいいのかが分からない

昨日テレビを見ていると、
占い師が考える最強の「参拝」の仕方、
みたいな企画がありました。
結局、観なかったんですけど、
その後いろいろ考えたので、雑文です。

最近テレビでよく見るな、と思ったのが、
神社の「正しい参拝の仕方」の紹介です。
鳥居を通るときに一礼する、
参道は真ん中を歩かずに端っこを歩く、
手水を使うときは右手、左手、口、ひしゃくの順で清める、
二礼二拍手一礼で参拝する、
えとせとらえとせとら

これが全国的に絶対的に「正しい」わけではありません。
例えば、
出雲大社では「二礼四拍手一礼」が「正式」と言われています。
出雲大社の説明を見ると、以下のように書かれていました。

「4拍手をする理由ですが、当社で最も大きな祭典は5月14日の例祭(勅祭)で、この時には8拍手をいたします。数字の「8」は古くより無限の数を意味する数字で、8拍手は神様に対し限りない拍手をもってお讃えする作法です。ただし、8拍手は年に1度の例祭(勅祭)の時のみの作法としています。平素、日常的には半分の4拍手で神様をお讃えする4拍手の作法としていますが、お祈りお讃えするお心に差はありません。」

結局、4拍手をする理由は良く分かりませんが、
二拍手が絶対的に「正しい」というわけではないことは分かります。
二拍手も厳密には起源は分かりませんし、一般の参拝方法というよりも、
玉串を捧げるときの作法とも言われています。
実際、東京都神社庁によれば、「厳密なきまりはありません」とのこと。

ただ、「正しい作法」で参拝したい、
と思うのは当然かと思います。
それで「正しい」のはこれだよ、と
東京都神社庁のように示してあげるのも、
それはそれで、必要なことのような気もします。

ただ、テレビで紹介される「正しさ」は、
「正しさマウント」を取ること、
「正しく」ない他のことを「間違っている」と批判すること、
そういった方向性に行く可能性の方が高いんじゃないか、
と思ったりして、小さなことですが、少し心配しています。

だから、占い師(神社の神職や専門じゃない人)が、
「最強の参拝の仕方」を示しても何の問題もない、
むしろ上記を考えれば「正しさ」を相対化するのものとして
歓迎すべきもののはずなのに、
それはそれで、なんだかなぁ、と複雑な気持ちになります。
結局は、その占い師をどれほど信頼しているか、
あるいはその神社、あるいは神社庁をどれほど信頼しているか、
という問題なんでしょうね。
私自身が何に「正当性」を見出すか、という問題ですね。
誰が言ったことを信じるか、
そして、なぜその人(組織)の言ったことを信じるのか。

蛇足ですが、冒頭のテレビ番組で紹介されていた神社は、
太宰府天満宮で、祭神はもちろん菅原道真です。
その菅原道真が、テレビでは
「知恵と出世」の神様と紹介されていました。
菅原道真は確かに右大臣まで上り詰めますが、
左遷されて不遇のうちに亡くなったのでは……。
ということは菅公のおかげで出世できても、
その後は……なんて失礼なことを思ったりしました。

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