えーえむ

宗教学で博士号を取得。 宗教学や宗教団体、読んだ本や観た映画などについて書いていきます。

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最近の記事

政教分離とは「政治と宗教の分離」ではない

某事件のため、宗教と政治の関係が取りざたされています。 Twitter界隈では、特定宗教と政治家との関係が指摘され、それを「政教分離」違反だと批判するコメントもちらほら見るようになりました。 ここでは、特定宗教を擁護するつもりは一切ありませんし、特定宗教と政治家の関係を正当化するつもりも一切ありません。 個人的には、政治家による宗教の政治利用も、宗教による政治の利用も、控えるべきだとは思います。 ましてや社会的に問題があると分かっている宗教に、票のために政治家が近づき、賛意

    • 世界をコントロールしたがる宗教と自分をコントロールしたがる私たち

      Z世代のコンテンツ視聴について書かれた記事(上記)を読んで、 Z世代が何事も「コントロール」したがる、 ということについて興味がわきました。 宗教の一側面は「コントロール」にあります。 自他の幸福を祈るであれ、災害が起こらないよう求めるであれ、 そこには「自然や神をコントロールしよう/できる」 という思想があります。 神話において、自然現象のあれこれの起源が語られるのも、 理解可能なもの、コントロールできないまでも、 納得可能なものにしようという意図が見え隠れしています。

      • 「正しく」参拝したいけど、何を信じればいいのかが分からない

        昨日テレビを見ていると、 占い師が考える最強の「参拝」の仕方、 みたいな企画がありました。 結局、観なかったんですけど、 その後いろいろ考えたので、雑文です。 最近テレビでよく見るな、と思ったのが、 神社の「正しい参拝の仕方」の紹介です。 鳥居を通るときに一礼する、 参道は真ん中を歩かずに端っこを歩く、 手水を使うときは右手、左手、口、ひしゃくの順で清める、 二礼二拍手一礼で参拝する、 えとせとらえとせとら これが全国的に絶対的に「正しい」わけではありません。 例えば、

        • 宗教の「正誤」と「正邪」

          ある宗教を信じるか、否かを問われるということは、 「正しい」か「間違っている」か、どちらだと思うか、ということです。 それが真理を説いている、 あるいは、それで自分が救われる、 「正しい教え」ないし「正しい宗教」だから信じるのです。 ただ、一昔前に視線を向けると、 「正しい/間違っている」で宗教を判断していないように思えます。 例えば、怪しい宗教のことを昔は「淫祀邪教」といいました。 淫らなものを祀り、邪な教えを説く、そんな宗教だということです。 「正誤」ではなく、「正邪」

          宗教は比較できるのか

          宗教の比較は難しいという話です。 例えば、キリスト教と仏教を比較してみましょう。 開祖はイエス・キリストとゴータマ・ブッダ。 崇拝対象は神と仏。 聖典は聖書と法華経などの経典。 などなど。 これで何が分かるでしょうか。 いくつか分かることはあるかもしれません。 この宗教は現世肯定的で、あの宗教は現世否定的。 この宗教は一神教で、あの宗教は多神教。 こういった発見も大事だと思います。 人は未知のものを理解するときに、 まずは自分の基準からしか考えられませんから。 とはいえ、

          宗教は比較できるのか

          宗教学ってなに②(補足というより言い訳)

          前々回の記事で 「宗教学は他人事」 と書き、 前回の記事で 「宗教学は『宗教の本質』を探らなくなった」 と書いていますが、 間違ったことを書いたつもりはないんですが、いろいろと補足は必要です。 そもそもなぜ宗教学を勉強したい、なんて思うんでしょう。 私の場合、「自分事」でした。 正直に言うと、中二病の延長といいますか。 神とか悪魔とかかっこいい、という、例の病気です。 それをさらにこじらせて、 現代社会に生きにくさを感じて、 「俺を救ってくれる宗教があるはずだ でも教団に入

          宗教学ってなに②(補足というより言い訳)

          宗教学は「宗教の本質」の夢を見るのか

          前回の記事で 宗教学は「人の営み」としての「宗教」を扱う、と言いましたが、 宗教学の始まりは、神学の一種だったと私は思っています。 宗教学の祖は、いろいろ言われますが、 フリードリヒ・マックス・ミュラーと言われることがあります。 宗教学、とりわけ比較宗教学の祖として知られています。 比較宗教学とは何か。 文字通り、宗教を比較するわけです。 なぜ比較するのか。 もちろん、比較して、その差異や同じ部分から、 各宗教の特徴を知る、ということもありますが、 ミュラーは「宗教の本質

          宗教学は「宗教の本質」の夢を見るのか

          宗教学ってなに (「人の営み」としての「宗教」)

          はじめまして。 noteをはじめました、えーえむと申します。 簡単に自己紹介。 30代、性自認的には男性。 宗教学を研究していて、某大学で博士号を取得、 今は野良の研究者ということです。 (といいながら、大学で非常勤講師をやったりもしていますが) とりあえず今日は、宗教学について書こうかと思います。 昔、大学院に入って、すぐくらいのころ(もう10年以上前ですが)、 高校の同級生から、たまたま電話がありました。 その時に「いま何してんの?」と聞かれ、 「宗教について勉強し

          宗教学ってなに (「人の営み」としての「宗教」)