見出し画像

シン流通のエコシステムにとって必要なもの。

◇モノコトフロー研究の原点にある、自分のエッセイ。


シン贈与とシン流通のエコシステム

1. ウイルスと菌:自己と非自己の曖昧な境界

僕は風邪をひいたり体調を崩すと、唇に「ヘルペス」が出る。これは体内に潜む「ヘルペスウイルス」が活動を始めるからだ。

また、腸内細菌は僕の身体にとって必要不可欠でありながら“他者”でもあり、“自分”の一部とも言える。このとき、自己とは何か?その定義はどこにあるのか?「非自己」があって初めて成立する「自己」という概念に、僕は疑問を持ち始めた。多田富雄さんの著書をたくさん読んだ。

 免疫は、外部の侵入者を排除し自己を守る役割を持つが、その境界は実に曖昧だ。
時に、自己と非自己の境界が見誤られることもある。この曖昧さにこそ、生命の本質があるのではないかと考えるようになった。



2. 進化と「思い」:相互作用から生まれる流れ

 進化とは一方向の「進歩」ではなく、複雑な相互作用の中で生まれる絶え間ない流れだ。個が単体で存在し続けるのではなく、常に他者や環境の影響を受けて進化していく。

そこには、純粋な「思い」がエネルギーとして宿っている。誰かと価値を分かち合いたい、共に生きたいという気持ちが、人間を進化の流れへと駆り立てる。残酷さや残忍さをも併せ持つ人間(ホモ・サピエンス)だが、助け合い支え合う事で20万年も続いてきた。

3. シン贈与とシン流通:共鳴を生む新たなエコシステム

 僕が考える「シン贈与」と「シン流通」は、単なる交換や利益追求を超えた共感と共鳴のエコシステムだ。

「シン贈与」は見返りを求めない贈り物や情報の共有から始まり、「シン流通」はそれを広げ、巡らせる役割を果たす。
 このエコシステムは、関わる人々の間に新たな価値を生み出し、豊かな社会を構築する基盤となる。未来を考えた時、この基盤が最も頼りになるとみている。

現在の社会では、利益の共有が望ましいが、その根底には「お互い様」という共感が必要だ。相互の思いが循環し、価値を共鳴させることで、社会全体が成長していくのだ。


4. 境界の柔らかさと「半開き」の知恵

 僕たちは自らを守るためになんらかの境界を築く。住宅やオフィスも、より閉ざされた空間へと進化しているが、安全とプライバシーの重視だ。しかし、「閉鎖性」が行き過ぎると逆効果になることもある。むしろ、完全に閉ざさず「半開き」の柔軟性を持つ知恵が求められる。


 自己を守りつつも他者と接点を保つ、その柔らかな境界こそが現代社会において必要だろう。これは、自己と非自己の関係性にも通じ、閉ざされた状態ではなく、常に変化し続ける「流れ」の中で自己を確立する知恵だと思う。


5. 相互としての存在:流れの中の人間

僕たちの存在は、相互関係によってのみ成立する。天と地、光と影、自己と他者—どちらか一方が先に存在するのではなく、互いに影響し合いながら同時に成り立つ。他者とのつながりを通じてのみ、「自分」は存在することができる。この相互の関係性が「流れ」を生み、共鳴するエコシステムの中で僕たちは共に生きている。いうまでもなく、人間は自然の一部であり、宇宙の中の部分であり、全体なのだ。

免疫というテーマを通じて、人間の社会と生き方について思いを馳せるとき、僕たちは決して閉じたままではいられない。開かれた心で、他者とともに歩む知恵を持つことが、これからの「シン流通」を考える上で必要な視点だ。

いいなと思ったら応援しよう!