余珀日記⑦
テイクアウト営業をはじめて10日と少し。初日にはお客さまの一人が香り高い薔薇をプレゼントくださった。大々的に告知をしたわけではないけれど、近隣のお客さまがお店を見つけて日々訪れてくださる。
リピートしてくださる方も多く、顔馴染みの方が少しずつ増えてきた。皆さまお店ができたことを喜んでくださり、嬉しくありがたい。なかには店内に飾っている茶碗や茶筅に興味を示してくれた小さなお客さまもいた。将来が楽しみだ。
新しい出会いとともに、友人たちとの再会も喜びをくれた。営業初日は近くの友人がカレーを買いに来てくれた。仕事の合間にお店に来てくださった方もいた。つい先日、サプライズ訪問してくださった方もいた。応援してくださる気持ちが大変ありがたく、それぞれ元気そうな顔を見られただけで感激した。
先週、営業中に呼び鈴がなった。玄関に向かうと、届いたのは大きな美しい胡蝶蘭。届けてくれた花屋さんは「ニューヨークからです」と言う。大好きな友人たちからのプレゼントだった。
昨年の11月末に彼らが来日した際、登戸に新しくカフェをオープンすると話したところ、自分のことのように喜んでくれた。我々よりも大変な状況であろうにもかかわらず、遠くの友人に思いを馳せ、こんなに素敵なプレゼントを贈ってくれるなんて。
会える人。会えない人。会いたい人。登戸での再会を約束し、西荻で別れたお客さまの顔も浮かぶ。いただいたネズミのきびがら細工は今、余珀の玄関に飾ってある。ここで会える日が待ち遠しい。
今日、先日手紙を送った方からお返事が届いた。言葉一つひとつがいつも以上に心を耕し、土壌を豊かにしてくれるよう。宝物がまた増えた。この方も余珀での再会を心待ちにしてくださっている。事態の収束を祈るとともに、手紙はこう結ばれていた。「逢いたい人が居るっていいですね」と。