久しぶりに、子どもたちの笑顔を堪能する
仕事を退職し、久しぶりにゆっくり子供たちの笑顔をみている。
自分にとって何が大切か、そして長時間労働で出張も多いフルタイム勤務の夫と共に健全に子供たちを育てていくためにはどうしたら良いか、悩んだ末の決断である。
夫が仕事を落とすとか、辞めるとかいう選択は、散々議論した末に実現しなかった。夫にも人生があるから仕方がないということもある。それを言ったら私にだって人生があるんだけれど。転職も考えたけれど、やはり結局常勤職となれば、どこだって責任はそれなりに重いし、今より子供たちとの時間が増えそうとも思えなかった。
楽観的な帰国子女で男女平等をなんとなく盲信していた自分が、いつからかその実現は少なくとも日本ではまだまだ遠いものだと実感するようになった。ただ、それだけではなく、よくよく調べると、一部の北欧や欧州の国を除いて、たとえば米国ではまだまだ男女平等には実はほど遠くかなり保守的な文化も残っていること、保育園は日本がかなり恵まれた環境であること、韓国やシンガポールなどでも子供の教育のために離職したり仕事を落としたりする女性が多いことを知り、いわゆる理想的とされ?男女平等は多くの国で実現の途上であることを知った。北欧など一部の男女の比較的平等な就労が実現された国では、離婚率が上昇していることも学んだ。
今目の前にある現実を考えるにつき、女性であれ男性であれ、仕事を追いかけることは、家庭の時間を多少なりとも捨てることなのだという現実を今さらながら理解するにいたっている。
当たり前のことだが、短時間勤務であれば、仕事時間が少ない分成果が出にくい傾向にあるだろうし、成果が出た瞬間にその場にいなくて手柄を物にできないことも多いだろう。わたし自身、子供の熱発で現場を外さなければならなかったことは一度や二度ではないし、転職を考えていたときでも自分が仕事として面白そうと思う案件については、とてもここにはフィットしないと自分で思うような案件ばかりだった。つまり、面白そうな仕事ほど、そこで必要とされる時間も気力もどうやら自分には割けそうにない。
今は日本は絵に描いたもちを目指す家庭が増えてしまっているような気がする。ベビーシッターや家事代行、保育園と学童を駆使すれば本当にフルタイム共働きをガンガン進めていける…とでも言うような。
最近気がづいたけれど、本当にそれをやっている一部の中国人や米国人カップルたちはいわゆる日本的なお母さん像やお父さん像をかなりの部分捨てている。もちろんそれがいけないということではないが。
都心部に住んで、まわりにそのような外国人のご家庭もそれなりにいるけれど、そういう家庭では住み込みのベビーシッターさんが子どもの用事のほとんど全てをこなし、数ヶ月間海外に出張に行っていても回るようになっている。それが良い悪いではないけれど、多くの日本人の母親にとって、そういう母親のあり方は自分が望んだ母親のあり方ではないよ場合も多い。心情的にわたしはとてもそれを選択できそうにはない。
ベビーシッターをお願いすることもあるし、むしろ週に何度か定期的にお願いしてはいるが、やはり母親は私であるし、母親として子供たちと関わり、楽しみ、笑顔を共有する時間がある程度は正直なところ、私にとっても必要だ。そしてうちの子どもに限っていえば、物事がわかるようになってくる小学校高学年にもなれば、やはり辛いときに話を聞いてほしいのは母親であって、シッターさんではないように思われる。そして、わたしはそのことを幸福に思っている。
以前、フルタイムで両親ともに勤務し出張も多い外国人ママは言っていた。「両親しか子供の教育方針や学校などは決められないから、わたしは母親よ」と。シッターさんは子供の行く道を決めたりするわけではないからと。
いや、それは全然わたしの思っていることと違う!とわたしはその瞬間思ってしまった。わたしは子供に施す教育内容や教育方針、学校を決めたいわけではない。そうではなく、ただ子供たちとたくさん笑ったり泣いたりしたいだけなのだ。それを目の前でたくさん見たいし、共有して、子供たちにもキラキラとした思い出としてそれを大人になっても持っていてほしい。もちろん…喧嘩をすることもあるだろうし、厳しく叱ることもあるだろうし、一部は苦い思い出かもしれないが、それも含めて。
後悔しない子育て・・・という言い方はまるで子供たちのためのように聞こえるかもしれないけれど、違う。後悔しない子育て・・・は明らかに、後悔したくない母親のためのものであり、それはもうわたしにとってもまったく例外ではない。
そして、それは、思っていた以上に幸せなことだと感じる。
子供たちの笑顔をみながら、毎日過ごす。ただそれだけのことが、本当にプライスレスと思える日がわたしにもやってきたのだ。
正直に言って、わたしはかなり仕事が好きな方だし、今までフルタイム共働きを続けてきたことを後悔したことはなかった。
そして今後も仕事は多少なりとも続けてゆくんだろうけれど。でも、一つ言えることは、家によっては小学校に上がるあたり、家によっては小学校高学年になるあたりで自分の中で今まで均衡がとれていたと思っていたことが不均衡になるポイントがあるかもしれないということは、他の母親の皆様にも伝えられると思う。
久しぶりに、子供たちの輝く笑顔を堪能しながら思う。ああ、このところ全然余裕がなかったな。この笑顔を毎日素通りするぐらいにへろへろに疲れ果てていたなぁと。
ワンオペ育児+フルタイム共働き。片方がテレワークだとかよほど楽だとかなら別だけれど、少なくとも友人には全然推奨できないなと思う。子供が二人以上になったらとくに。
もし、どこかに今夜ひっそりと泣いてるフルタイムワーク+ワンオペのワーママがいたら伝えたい。本当にあなたは偉い!!そして無理をしすぎないで。
人生は長い。スキルを磨いたあとの中年にもしなっていたら、きっとまだまだあなたは大丈夫。もちろん余裕でワーママをこなしているあなたに言いたいわけではなく、限界を迎えそうになっているあなたに言いたい。少し、休憩しても良いかもよ、と。