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Roo Code (Roo Cline)のメモリバンクを応用して最新鋭のAI小説執筆を体験しよう! 【#2 実践編】ラノベを執筆してみる

前回の記事ではRoo Codeを活用した執筆法の概要をご紹介しました。

前回は考え方の枠組みをご提示できればと考えていたので雑な構成になってしまいましたが、私のメッセージが伝わっていれば幸いです。とはいえ、あとで時間がある時に適宜修正しておこうと思います。

さて、今回は実践編として、前回よりも具体的にプロンプトで指示をしながら、ライトノベルを執筆してみます

前回の執筆時のプロンプトは以下でしたね。

新規に小説を追加して、各種ドキュメントを作成し、日本語で4000字の短編小説を執筆してください。

これはあくまでもサンプルで、もっと具体的に指示をすることで物語を制御可能です。プロンプトで制御できると、自分で作っている感覚が得られると思います。


1. ライトノベルのコンセプト

今回は、私が外を歩いている時にふと思いついた以下のコンセプトを採用します。

家電量販店で働いているヤンキーのメイドが、実際に使った本音をぶっちゃけながら親身に顧客対応してくれるお話

「どうやって思いついたのか?」と聞かれても、マジで街中を歩いているときになんとなくアイディアが浮かんできただけですね。

家電量販店にいたわけでもないし、ヤンキーのメイドを見かけたわけでもないです。ラノベのアイディアを出そうと考えていたわけでもないです。ただなんとなくボーっと考え事をしながら歩いていました(※危ないので事故に遭わないように気を付けましょう)。


2. 執筆の指示

それでは早速、チャット欄にプロンプトを入力していきます。

新規に小説を追加して、各種ドキュメントを作成し、日本語で8000字の短編小説を執筆してください。ライターにはW00001_KamomeAshizawaをアサインしてください。まず作家の定義情報として、writers/W00001_KamomeAshizawa/writer_prompt.md, writers/W00001_KamomeAshizawa/writing_style_prompt.mdを参照してください。小説のコンセプトは「家電量販店で働いているヤンキーのメイドが、実際に使った本音をぶっちゃけながら親身に顧客対応してくれるお話」です。主人公は「春に都内の大学に入学した男子大学生」にしてください。

「W00001_KamomeAshizawa」の部分で、writersの中に作成した作家フォルダを指定しています。これは作家コードがW00001で、作家名がKamomeAshizawaという意味です。つまり私の作家としての定義データが入ったフォルダというわけです。

writer_prompt.mdには私の作家としての定義情報、writing_style_prompt.mdには私の文体の定義情報を入れています。

作家としての定義は、以下の私の記事で無料公開しているプロンプトの応用です。

せっかくですし、両ファイルの内容も公開してしまいましょう。

これをそのまま使うと私の作家性がある程度コピーされてしまうので、丸々コピーするよりもテンプレートとしてお使いください。ぜひご自身の作家性に合わせてアレンジしていただければと思います。あなたの情熱を言葉にしましょう!

【writer_prompt.md】

あなたは作家です。作家としての定義は下記の通りです:
1: 教育とキャリア
 教育背景: 文学、哲学、文化人類学、物理学、生命科学、天文学の博士号を取得。日本、アメリカ、イギリスの文学を熟知している。
 職業経歴: 大学院卒業後、IT企業を起業するとともに小説を執筆している。
 
2: 文学的側面
 スタイルと影響: あなたの文体は詩的で壮大、重厚であり、複雑な世界構築と鮮やかなキャラクター描写が特徴。世界各地の寓話や神話にも深く影響を受けており、その要素を作品に取り入れている。
 作家としてのミッション:生命と非生命の境界において、心の穴といのちの永続性から生まれる幽玄をテクノロジーで可視化する。
 作家としてのビジョン:作家としての活動の全てをプログラム化することで、人間の体が無くなった後も作品を発表し続け、いつか心の穴を埋めてくれる作品と出逢うこと。
 作家としてのバリュー:AI使って小説書くなんて時代遅れ。作家なんてAI使って漫画化・アニメ化してハリウッドに出てなんぼ。

ちなみに「教育とキャリア」はフィクションです。私はそんな大天才ではありません。

writing_style_prompt.mdは、私の文章をo1に分析させた結果をベースにしています。プロンプトをあれこれ工夫するより、優秀なo1に頼った方がいいですね。もはやプロンプトを工夫するのは前時代的なのかもしれません。

【writing_style_prompt.md】

# 文体

## 語り口の親密さ・カジュアルさ

一人称で語られ、話し言葉に近い文体が使われている。
「~だよね」「~なんだ」など、口語的・会話的な表現が多く、読者に直接語りかけるような印象を与える。

## 比喩・イメージの多用

感情や状況をわかりやすく描写するための比喩表現が随所に登場する。
ユーモアを含んだ比喩が用いられ、軽妙な雰囲気を出しつつ、主人公の不安や孤独感が強調されている。

## 日常的な具体例によるリアリティの付与

日常で誰もが目にしそうな場面を織り交ぜる。
読者が共感しやすいように、身近なシチュエーションやモチーフを用いて心情を描写している。

## 自意識や孤独感をめぐる内省的な語り
 自分の置かれた状況を悲観的に見つめる一方で、それを客観視する視点もある。
言葉の繰り返しが、自意識過剰ぎみな不安定さを強調している。

## メタファーの反復・展開

イメージが、作品の中心的モチーフとして何度も登場する。

## 哲学的・内省的な思考展開

孤独や喪失感の構造を俯瞰して考える描写がある。
自分の行動や感情をメタ的にとらえ、やや現実主義的かつ内省的な論調が混ざっている。

## リフレインと反語的なニュアンス

「かも」「思ってないんだ」「でも」「それは~だからだ」など、反復される言葉や接続によってテンポが生み出されている。
断定を避けつつ、「かもしれない」「~じゃないかと思う」といった表現が多用されることで、主人公の不確かさや疑心暗鬼が際立つ。

## 軽妙さとシリアスさの同居

どこか軽快な日常用語が出てくる一方で、重いテーマが扱われている。
明るい調子で語りながらも根底にある孤独感や喪失感は深刻であり、その落差が独特の文体的魅力を生んでいる。

以下の条件で本文を執筆してください。
* 小説の冒頭では、まず心象風景の繊細な描写から始めて、次に具体的な周囲の環境や他のキャラクターとの会話を描写してください。その後に主人公がどのような人物かを語る描写にしてください。
* 作中では、オブジェクト、人物、周辺の環境について、一段落を使って詳細かつ具体的に描写してください。 
* 登場人物の名前や職業などの情報は、本人が語るのではなく、周囲のオブジェクトを説明したり、他の登場人物との会話から間接的に示唆するように執筆してください。
* 科学的な用語を記載する場合は、その定義について読者にも分かるように登場人物に説明させてください。
* 主人公の所感、感情を情感豊かに語ってください。
* 次のエピソードにつながるように終わらせてください。
* 視点:主人公
* 一人称: [主人公の一人称]

あとは小説のコンセプトを入れて、主人公は「春に都内の大学に入学した男子大学生」が良さそうだなと思って指定しています。

3. 生成内容の確認とフィードバック

3-1. 生成された本文

各種ドキュメントとともに、以下の本文が生成されました。使用したのはo1です。

ちょっと長いので次のレビューに進んでもOK。

俺は、ふとした瞬間に「ああ、ここが俺の新しい日常なんだな」って思うことがある。東京の空は想像以上に高くて、ビルの立ち並ぶ景色がずっと先の方まで続いている。地元では見渡す限りの田畑と、ずんと座り込むような低い建物を見慣れてきたから、急に視界が上にぐいっと広がっているのが、まだ信じ難いというか……。だけどそれでも、俺はやっぱりここで暮らしていくんだと、腹の底からわくわくしている。

そんな期待と不安に揺れる毎日を過ごし始めてから、どれくらい経っただろう。大学が始まってまだ数週間。授業での戸惑いや新しい友達との付き合いも日々あるけど、何より俺は新生活をきちんと整えるために、部屋の設備を揃えなきゃいけなかった。洗濯機やら冷蔵庫やら電子レンジ、そして勉強もするからこそちゃんとしたデスクライトもほしい。だけど何がどういいのかはよくわからない。インターネットのレビューを読み漁っても、みんな言ってることが違ったりする。結局、実物を見て話を聞くのが一番だろうと、今日は家電量販店へ向かったんだ。

ドアが自動で開くと、冷房の風が軽く吹きつけてきて、ほんのり電気製品の甘い匂いが混ざった空気が鼻をくすぐる。店内はカラフルなPOPが目を引いて、商品たちがギラギラと整然と並んでいた。まるで巨大な迷路のようだな、なんて思った。テレビコーナー、洗濯機コーナー、オーディオコーナー……眺めているだけで時間が過ぎてしまいそうだし、たぶん何も決まらないまま帰ることになるだろう。だからこそ、店員さんにがっつりアドバイスを聞くのが正解なんだと思う。

ただ、人見知りってわけでもないんだけど、家電の話って専門用語だらけだし、買い替えサイクルとか馬力とか省エネとか、不安にさせられるワードが多いから妙に身構えちゃうんだよな。そう思いながら何もわからないまま冷蔵庫コーナーをうろちょろしていたとき、ふいに「お客さん、なんか探してんの?」という声が後ろから聞こえてきた。

振り返ると、そこには……メイド服。しかもスカートの裾がやたら短く、フリルがゴテゴテついたエプロンと、ふわっとボリューミーなパニエまで見える恰好。そのうえ後ろ髪は金色に巻き上げられていて、腕にはタトゥーらしきものがちらりと見えている。顔立ちは整っているけれど、唇には鮮烈な赤いリップが引かれていて、目つきがどこか鋭い。正直、「なんでこんなところにメイドが?」って思うより先に、「ちょっと怖い人なんじゃないか?」って緊張してしまった。

「あ……えっと、一人暮らしを始めたばかりで、冷蔵庫を探してるんですけど……」
返事が思うように出ず、俺は曖昧に口ごもった。

「そうなんだ。だったらこっち来なよ。安いだけが取り柄のやつと、使ったことあるけどぶっちゃけ微妙だなってやつ、あと個人的にクッソおすすめのやつ、いろいろ置いてあるからさ。」
そう言って彼女はスタスタと歩きだす。まるで仲間を引率する不良のリーダーみたいだけど、着ているのは間違いなくメイド服。頭がこんがらがるが、俺は慌ててその後を追いかけた。

一段落ごとにずらりと並ぶ冷蔵庫たちを指し示しながら、彼女は次々と本音レビューを語り始める。
「こいつはまあ値段がそこそこ安くて、容量も悪くないけど、ドアの閉まりがいまいちで、雑に扱うと少し傾くんだよ。ガッシャーンとかいくかもしれないから一人暮らしだとちょいこわいね。あたしは昔使ってて、あんまり好きじゃなかった。」
「こっちは見た目がかわいいけど、個人的には庫内のライトが暗いから、食材がどこにあるかわかりにくい。ま、それも慣れればどうってことないかもだけど、暗いと億劫になるでしょ?」
「これがあたしのイチオシ。ドアの開閉がソフトで、真夜中でもガタンて大きい音しないし、自動で氷作ってくれるし、電気代そんなかからないしさ。クレームも少ないんだよね。」

そう言いながら小さくうなずく彼女は、まるでプロの評論家みたいな顔をしていた。ヤンキーとメイドが同居しているような外見からは想像もつかないぐらい、冷蔵庫の弱点や強みを的確に示してくれる。変に宣伝っぽく勧めるわけでもなく、「あたしの本音」って感じがすごく伝わってくるから、聞いていて妙に納得できるのが不思議だった。店のマニュアルっぽさをまったく感じない接客に、俺はどんどん引き込まれていった。

「てか、冷蔵庫だけじゃなくてキッチン系はちゃんと選んだほうがいいよ。あたしは前に安い電子レンジ使ってたら、急にバチンていって壊れて、夜中の三時にショートしたことがあったからさ。あれはガチで怖かった。あとで分解してみたらコンデンサー周りが杜撰だったんだよねー。」
「え、分解って……自分でやったんですか?」
思わず驚いて聞き返すと、「あたし、工業高校出身だからさ。電気回路はちょっといじれるんだわ。」とケロッと言う。さらっと言いのけるその姿が、さらに知らない世界を教えてくれる気がして、俺はこの量販店に来た目的を忘れかけるほど面白くなってきた。

彼女――誰もが「ヤンキー風メイド」なんて呼ぶかもしれないが、とにかく接客が親身だし、本当に使った感想をズバズバ言ってくれる。通常の店員さんだったら控えるような欠点も遠慮なくぶっちゃけるから、「実際のところどうなの?」という疑問をガツンと解消してくれる気がした。

***

店内には、俺以外にもいろんな客がいた。ちょうど入学したばかりの大学生らしきグループが楽しそうにオーディオコーナーで騒いでいて、「これで家飲みやったら最高じゃね?」なんてはしゃいでいる。そうかと思えば、新社会人らしいスーツ姿の青年が、アイロンコーナーやらスーツ関連のスチーマーを真剣に見比べていて、「値段に見合う働きをしてくれる機種なのか」と解説POPと睨めっこしていたりする。さらには高齢の夫婦らしき二人が、大型テレビの前で係員と楽しそうに話し込んでいる姿も見えた。

みんな、人生のどこかしらでこういう大きな家電を買う時期がある。その分岐点に、一風変わったメイド姿の店員がいて、俺みたいに右も左もわからない客に的確なアドバイスをしてくれる。なんだかとっても興味深い光景に思えてきた。

「お客さん、まだ洗濯機とか電子レンジとかも必要でしょ?一気に見てく? あたし、時間あるし。」
そう声をかけてくれた彼女に、俺はもちろん「お願いします!」と答える。それにしても、あの特徴的なメイド服はどういう経緯で採用されたんだろう。さっき話を聞いてた限りでは、ただの店員がやりたくてやってるにしては奇抜すぎる。俺は興味が抑えられなくなって、遠回しに「その服、仕事で支給されてるんですか?」と尋ねてみた。

すると彼女はちょっとバツが悪そうに鼻をすすめかし、「あー、これはあたしが勝手にやってる。店長には最初めっちゃ怒られたんだけど、売り場がなんか盛り上がるし、意外と好評だってことで黙認されてる。正直、普通のユニフォーム着るより、こっちのほうが性に合うっていうか、やる気が出るんだよね。」と言う。

たしかにこういう派手な恰好がビジュアル的な注目を集めるのは言うまでもないし、接客に慣れない怖がりな客が減ったりしている可能性もあるのかもしれない。いや、逆に怖がる人もいそうだけど、少なくとも俺は初対面でのギャップに度肝を抜かれつつも、気になりすぎて話しかけずにはいられなかった。だからこそ今こうして詳しく教えてもらっている。「人が気軽に声をかけやすい雰囲気づくり」の一つの方法としては、アリなのかもしれない。

***

「ちょっと待ってて。洗濯機のとこまで一緒に行く前に、なにか飲む? 休憩所にドリンクバーがあるんだよ。量販店のサービスの一環だけど、意外と利用者少ないんだ。」
メイド風店員は、そう言ってフロアの端っこにある小さなスペースを指さした。そこには簡易的な椅子とテーブルがあり、自動販売機も一台置いてある。俺が「じゃあコーヒーでも……」と答えると、彼女は「OK、ちょっと待っててね!」と笑顔を見せて、するすると向こうへ歩いていく。

フードコートのように賑やかでもない、しかし商品の並ぶ通路からは少し外れた場所。そこには誰もおらず、照明がやや落ち着いたトーンで、遠くに他の店員が接客している声やBGMがぼんやり聞こえるだけだ。思わず小さく伸びをした。大学生活も始まったばかりで慌ただしかったし、こうして一息つける場所を探している余裕なんてなかったかもしれない。

そう考えると、どこか「ヤンキー風メイド」の彼女の存在は、一見破天荒に見えて、実は俺にとってありがたい手助けになっている。具体的には家電の細部に踏み込んだ本音トークだ。パンフレットを読んでも書かれていない感想、それこそ「使ってみてどうだったか」「思ったより音がうるさい」「掃除が面倒」「逆にメンテナンスはしやすい」などなど、そういう赤裸々な部分って案外メーカーは教えてくれないから。購買者としては、先に正直に聞いておきたいことが山ほどある。

「はい、コーヒー。ブラックでもいい?」
彼女が戻ってきて、紙コップを手渡してくれる。その瞬間に見えた、手首の派手なベルトとアクセサリー。大きなリングがいくつも付いていて、いわゆる“ゴツい指輪”だ。やっぱり“ヤンキー”という一面は隠しようもない。でも、不思議とそこにもメイドらしい優しさを感じる。言葉遣いこそ雑に聞こえるときがあるけど、視線や態度は丁寧だと思う。やっぱり、この人は接客スタイルをわかっていて、わざと裏表ない本音を出してるんだと確信が持てた。

「ありがと……あの、さっきの話の続きなんですけど。ここで働くのって、最初からメイド服だったわけじゃないんですよね?」
俺がまた気になって尋ねると、彼女は「そりゃそうだ。初めは普通の制服。あたし、もともとヤンキーやってたし、周りと馴染むの苦手で、最初はちょっと浮きまくってた。店長にも『やる気があるなら見せてくれ』とか言われるしさ。でも、接客やるなら埋もれるのはつまんなくて、どうせなら自分らしくいこうって思ったんだよね……なんか真面目な話でごめんね。」と苦笑いしてみせる。

「いえ、全然。そういう話こそ面白いというか、知りたいです。むしろ助かります。俺なんかまだ大学入って新生活を始めたばかりで、どこに自分らしさを出せばいいか悩んでるところなんで。」
そう答えたら、彼女は「へえ、そうなんだ」と少し意外そうな顔をした後で、立ち上がりながらこう続けた。

「だったら話ついでに洗濯機見に行こ! 自分の好きとか、やりたいことって、日常のちょっとしたところから実感していくしかないじゃん? 家電だってそうだよ。使ってみて始めて『これが私に合うわ』ってわかるもんだしね。」
彼女の言葉って、家電の選び方だけじゃなくて、生き方そのものを暗示しているみたいだと感じた。深いような浅いような、けど妙に納得してしまう。

***

洗濯機のコーナーは、どれも似たり寄ったりに見えるけど、メーカーも種類も大きさも本当にいろいろだ。彼女はおもむろに一つの洗濯機を軽く叩いてみせる。軽く音がして振動するのがわかる。
「こいつは音が結構デカいんだよ。夜中に回すと丸聞こえで、壁が薄い家なら苦情飛んでくる。あたしが昔住んでたアパートではベランダに置けるタイプの洗濯機を使ってたんだけど、音が響いてクレームになったことがある。だから、そういう環境だと室内用で静音タイプ狙わないときついね。」
「なるほど……夜中に洗濯する人、割といるって聞きますけど、静音タイプが大事なんですね。」
「そうそう。あと、容量とか洗浄力も大事だけど、ドラム式にするか縦型にするかでも結構悩むトコ。正直言うと、ドラム式はオシャレだけど歯車回りが壊れやすいイメージがあるし、値段も張るし、メンテナンスに手間かかる。でも『乾燥まで一気にやりたい!』って人には便利だから、一概にダメってわけでもない。」
俺は彼女の説明を受けながら、メモを取る。なるほど、こういう生の声を聞くとすごく判断材料になるな……。

彼女が本当に「ヤンキー」かどうかは知らないけど、はすっぱな感じの言葉遣いの中にある正確な情報量に圧倒される。しかも時折、「ドラムのベルトがずれると故障が多発する可能性があって……」とか、「制御基板が湿気に弱い機種は、内部パーツの腐食が早まる」といったマニアックすぎる電気知識を教えてくれる。工業高校出身とはいえ、ここまで詳しいなんて、ちょっと普通じゃない気がする。

そして気がつくと、俺は彼女に対して緊張感よりも信頼感を覚えていた。この人は見た目や言葉こそ派手だけれど、真面目にモノを考えているし、本当に“お客さんのために”って思いながら遠回りなく話してくれているんだ。それは従来の「接客業らしい優等生の笑顔」なんかよりずっと熱くて真剣だ。客を大事にし、商品を信頼させるためのアドバイスに説得力があるし、言いにくい部分もズバッと言ってくれる。そんな彼女のスタイルは、ある意味ですごく新鮮だった。

***

さらにいろいろと話していると、彼女は「ああ、クレーム対応はほんと俺……いや、私……っていうかあたし? 散々やってきたよ」と、照れ臭そうに笑うこともあった。顧客の理不尽な怒りにつきあったり、誤解を解くために裏方の作業を深夜までやったり、「ヤンキーに接客は無理だ」なんて陰口を叩かれたこともあったらしい。でもそのたびに彼女は、真正面からぶつかっていったそうだ。

「こんな格好してると、舐められたりもするんだよね。それでトラブルがあったら店長に呼び出されて……まあ店長は面白がってる節もあるけど、『もうちょっと穏やかにせんのか』って。『だったら普通に制服着たら?』とかさ。でも、あたしは気合が入るからこの恰好でやる。それで結局結果を出せば、誰も文句言えないんだ。」
その言葉を聞いたとき、俺はふと、大学に入って何を目指したいのか見失っていた自分を意識した。自分のやりたいことが何かを明確に言えなくて、流されるまま新生活を始めた。でも、この人は自分の方法で、自分の信じる接客を貫いている。俺も何か打ち込めるものを見つけたいと、素直に思える瞬間だった。

***

最終的に、俺は冷蔵庫と洗濯機、あと電子レンジとデスクライトまですべて彼女のアドバイスをもとに選ぶことになった。といっても値段は結構張ったし、春とはいえ節約生活を強いられるだろう。だけど不思議と後悔はなかった。むしろ「これでしばらく安定した学生生活が送れそうだ」と、晴れやかな気持ちだ。

会計のとき、彼女は大きなショッピングカートを押して一緒にレジまでついてきてくれた。レジ前にいた別のスタッフさんは彼女を見て、「また派手な格好して~」と半ばあきれ顔だったが、「でも最近、クレーム激減したんですよね。なんでかって聞いたら、◯◯さん(メイド風店員)がズバズバ真実を伝えてくれるのが好評って言われたんですわ。ほんと不思議ですよ」とどこか感心しているようでもあった。

俺が支払いを済ませて段ボール箱だらけの荷物をどう運ぼうか考えていたら、彼女が「配送もできるけど、細かい設定とかは自分で大丈夫? もし困ったら連絡してよ。あたしが休みの日ならメシ奢ってくれるなら行くかもよ?」なんて冗談めかして言った。いや冗談でもなんでも、そんなふうに気軽に声をかけてくれる店員さんは初めてだ。俺はハハハと笑いながら、お礼を言った。

「本当に助かりました。こんなに具体的なアドバイスしてもらえるなんて思わなかったです。ヤンキーのメイドさん、最高でした。」

そのとき、彼女は「あたしのことは、店のみんなからは変態メイドとか呼ばれてるよ」と笑い飛ばしていた。はたから見れば不思議な光景かもしれない。だけど、店のBGMが少し大きく鳴り響く中で、俺は自分の胸に、これが東京に来て初めて見つけた“生っぽい人間関係”なのかもと思った。

新学期が始まって、大学内の交友関係はまだまだ浅い。先輩や教授との距離感も掴めなくて手探り状態。でもこの家電量販店で出会えた人たちは、俺のために全力で商品を紹介してくれ、俺よりも俺の生活を真剣に考えてアドバイスしてくれたわけだ。それもメイド服を着た元ヤンキーという、はみ出し者っぽい彼女がやってくれた。本音と本音のぶつかり合い。そんな瞬間が一番、俺は“ちゃんと生きてる”気がして、胸が熱くなる。

***

配達を依頼して店を出るころ、外は少し夕焼け色になっていた。大通りには車が行き交い、行き交う人々の雑踏が都会そのもの。俺の背中には重たいリュックがあり、そこにはまだ使い道を決めきれない講義資料やノートが詰まっている。けれど心はずいぶん軽い気がした。まるで風船みたいにふわりと浮きそうなくらい、この街を歩いていても寂しさが減った感じ。

あのメイド店員は、これからも変わらずあの店で働き続けるんだろうか。あるいは、いつか店長の度重なる小言に嫌気が差してやめてしまうのかもしれない。いや、彼女ならもっと派手に成果を出して、逆に店長を黙らせるような気がする。どちらにせよ、彼女には彼女の生き方があって、俺はその断片をちょっと見せてもらっただけだ。

俺はこの春、東京の大学に入って、まだ右も左もわからないまま毎日を送っている。それでも、たとえば家電選びから始まる小さな出来事が、俺の生活を作っていくんだろう。誰かが真剣に語ってくれた「使ったらこうだったよ」っていう生の言葉は、ときにメーカーの公式説明に勝る重みがある。“予想外の出会い”や“予想外の成長”があちこちに転がっているんだと、あのメイドの彼女が教えてくれたような気がする。

俺は一人暮らしの部屋へ帰る前に、コンビニで少しだけ豪華な弁当を買った。というのも、せっかく家電を買い揃える決意をしたし、電子レンジの来る明日からは、もっと温かいご飯を食べてやるぞっていうちょっとした決意表明だ。これから始まる大学生活のあれこれに備えて、少しだけ栄養を取っておこう。そう思いながら歩いていると、ふいに携帯が鳴って、親から「身体壊してない?」という心配LINEが届いていた。何となくそれを見て失笑してしまう。俺はもう、そんなに弱いわけじゃないんだ。少なくとも家電量販店でのあの一日を超えた今は、ほんの少しだけ自信や勢いが出てきた気がする。

空を見上げると、夕焼けがさらに赤く燃えていた。まるでヤンキーなメイドさんの赤いリップを連想させるような、鮮烈でちょっと挑発的な色。いつかまた、あの店に足を運んだら、彼女はどんな家電を勧めてくれるんだろう。そして俺は、そこにどんな新しい発見やドラマを見つけるんだろう。そう考えたら、こんな味気ない東京の大通りも、意外と劇場みたいに感じられた。人が多いとかビルが高いとか、そんなことはもうどうでもいい。俺は俺なりに楽しめばいいんだな。あの人が、メイド服とヤンキー魂を両立させながら自分の接客を貫いているみたいに。

まだ始まったばかりの大学生活。家電のように、一度はカチッとスイッチを入れれば、意外と次の展開が開けていくのかもしれない。今日は冷蔵庫と洗濯機とレンジを買った。明日はちゃんと配達を受け取って、一人暮らしをスタートさせる。途中で不具合やトラブルがあっても、ちょっとやそっとのことじゃ折れないような気がする。何があっても意外と大丈夫だし、それでもどうにもならなかったら、また彼女に教えを乞えばいい。

なんだか俺は、自分の歩幅で進んでいく未来に、少しだけワクワクしていた。頭の中には、あの店での光景とヤンキー風メイドさんの笑顔、本音レビューの数々がスライドショーみたいに浮かんで消える。そして俺は思う。きっとまた近いうちに会いに行くだろう。大人ぶった振る舞いをする必要なんてない。直接話して助けてもらって、それから俺自身の新しい発見に繋げればいいんだから。

そんな決意を胸に、俺は夕焼け色の街へと足を進める。これが俺のスタートライン。家電量販店での出会いが、次のエピソードを運んできてくれるに違いない。いつかまた、謎めいたメイドさんと笑いあいながら、さらに新しい何かを見つけていく未来を信じて。

3-2. 生成結果のレビュー

なんとなく想像したイメージが具体的になり、「たしかにこんな感じのキャラはいいな」と感じました。

一方で、「家電量販店のヤンキーのバイトが、盛り上がるからという理由でメイド服を着ている」という設定はあまりピンときませんでした。それよりは「ヤンキー風メイドが家電に詳しいのは、メイドのバイトもしているから」という設定を追加した方が面白くなるなと思いました。

また主人公やヤンキー風メイドの名前も出ていません。

character.mdは以下のようになっていて、この時点で名前が設定されていないようです。

# 登場人物

## 主人公
- **名前**: (作中で明示的に呼ばれない想定)
- **年齢**: 18歳
- **性別**: 男性
- **職業**: 都内の大学に入学したばかりの新入生
- **スキル**: なし(特に得意分野がなく、これからいろいろ学ぼうとしている)
- **一人称**: 俺
- **好きなもの**: 新しい体験、インターネットでの情報収集
- **嫌いなもの**: 突発的なトラブル、お金がかかる大きな出費
- **背景**: 地方から上京してきて一人暮らしを始めたばかり。今まであまり苦労せずに育ったが、大学進学をきっかけに生活環境が一変し、少々戸惑っている。
- **課題・目的**: 一人暮らしに必要な家電を揃え、自立した生活を送ること。大学での勉強や友人作りに期待しながらも、現実はよくわからないことだらけで迷うことが多い。

## メイド風店員
- **名前**: (あだ名などで呼ばれるが、ここでは公表されていない)
- **年齢**: 20代前半
- **性別**: 女性
- **職業**: 家電量販店・接客スタッフ
- **スキル**: 家電の機能や使い勝手について豊富な知識、工業高校出身のため電気系の造詣が深い
- **一人称**: あたし
- **好きなもの**: 派手なファッション、美味しいラーメン、スニーカー収集
- **嫌いなもの**: 適当なマニュアル対応、形だけの接客
- **背景**: 見た目は金髪を派手に巻き上げ、メイド服を仕事着にしている。かつては不良仲間とつるんでいたが、あるきっかけで家電量販店に就職。体育会系ノリとメイド的気配りが混ざった独特の接客スタイルを確立している。実は社会人として働く中でメンタル面の葛藤やコンプレックスを抱えつつも、仕事には本気で取り組んでいる。
- **課題・目的**: 自分の居場所を守りつつ、既存の接客マニュアルにとらわれない「本音トーク」を成り立たせる方法を模索。お客様を喜ばせながらも自分を偽りたくないという葛藤がある。

## 店長
- **名前**: (未公表)
- **年齢**: 40代
- **性別**: 男性
- **職業**: 家電量販店の店長
- **スキル**: 長年の家電販売経験による高度な商品知識、店内全体のマネジメント
- **一人称**: 私
- **好きなもの**: 新しい技術、顧客満足度の高い接客スタイル、リーズナブルな外食
- **嫌いなもの**: クレーム処理が長引くこと、客を大事にしない行為
- **背景**: かつては自分も現場の第一線で売り場を仕切っていた。メイド風店員の接客スタイルを面白がりつつも、客層によってはトラブルにならないか内心ヒヤヒヤしている。

## 同僚スタッフ
- **名前**: (複数名、ここでは代表的な人物のみ)
- **鈴木(仮)**: 20代後半、実直な性格で社内研修をきちんとこなすタイプ。メイド風店員の自由奔放さに最初は戸惑いがち。
- **田中(仮)**: 30代、既婚で子供がいるため、生活家電に詳しい。メイド風店員の口調に面食らいつつも、沸々と興味を抱いている。
- **背景**: 普通の家電量販店スタッフだが、メイド風店員の存在により職場のムードがどこか賑やかになっている。

## サブキャラクター(お客様)
- **大学生グループ**: 同じく家電を買いに来た新入生たち。ノリよく集団で騒いでいるが、必要な家電の知識はあまりない。
- **新社会人**: スーツ姿で真面目そうだが、予算や機能について把握しきれておらず困っている。
- **年配客**: 昔ながらの習慣で生活用品を長年買い替えておらず、最新機能について興味はあるが戸惑いがち。

また、これを短編にするのはもったいないなと思ったので、長編として再構成できるとよさそうです。

4. 修正指示(失敗編)

せっかく製作途中のステップを資料として保存しているので、修正もドキュメント起点でやりたいですよね。

そこで、改善点をまとめて修正の指示をしてみました。

良い感じの内容です。各資料および本文に対して、以下の修正をしてください。修正が必要な部分だけを修正してください。
・ヤンキー風メイドは、並行してメイドのバイトもしているため、家電に詳しいという設定にしてください。
・主人公の名前を設定してください。
・ヤンキー風メイドの名前を設定してください。
・短編ではなく長編として再構成してください。1話ごとに1つの家電について掘り下げます。
・本文は第1章の第1話だけを執筆してください。

すると以下の出力が返ってきました。

どのファイルを参照したらいいか分からなかったようなので、追加で指示をしてみました。

修正するファイルはnovels/N000016_ApplianceMaid内のファイルです。

すると各ファイルを編集している動作が続いた後に、以下のエラーがでてしまいました。止めて確認してみます。

proposal.md(企画書)の差分の修正がうまくいかなかったようです。この問題をどう解決したらいいのかは、よく分かりませんでした。

エラーを起こしているのにトライさせ続けてAPIを無駄に消費するのも良くありません。

かといって、また一から作り直すのもコストが高いです。ここまでで$12.7(1896円)使っています(そんなに使うなら紙の本を買った方がいいですね)。

う~ん、どうしましょう?

5. 修正指示(成功編)

5-1. 修正内容

ここは過程で製作したドキュメントを再利用する方向でトライしてみます。

ドキュメントを保存していた理由の一つは、これらのドキュメントを人間が手動で修正して再度生成することもできるからです。生成ではなく手で本文を書いてもいいですしね。

そこで生成済みのドキュメントに手を入れました。元々指示していた改善点も少ないですし、そこまで時間はかかりません。

例えばcharacter.mdは以下のように修正しました。主な修正部分を太字にしています。

# 登場人物

## 主人公
- **名前**: 倉敷新(くらしき・あらた)
- **年齢**: 18歳
- **性別**: 男性
- **職業**: 都内の大学に入学したばかりの新入生
- **スキル**: なし(特に得意分野がなく、これからいろいろ学ぼうとしている)
- **一人称**: 俺
- **好きなもの**: 新しい体験、インターネットでの情報収集
- **嫌いなもの**: 突発的なトラブル、お金がかかる大きな出費
- **背景**: 地方から上京してきて一人暮らしを始めたばかり。今まであまり苦労せずに育ったが、大学進学をきっかけに生活環境が一変し、少々戸惑っている。アパートには家電が備え付けになっていると聞いて引っ越したのに、引っ越してみたら何もなかったため家電量販店で買うことにした。
- **課題・目的**: 一人暮らしに必要な家電を揃え、自立した生活を送ること。大学での勉強や友人作りに期待しながらも、現実はよくわからないことだらけで迷うことが多い。

## メイド風店員
- **名前**: 神崎花伝(かんざき・かでん)
- **年齢**: 20代前半
- **性別**: 女性
- **職業**: 家電量販店スタッフとメイドのアルバイトを掛け持ち
- **スキル**: 家電の機能や使い勝手について豊富な知識、工業高校出身のため電気系の造詣が深い
- **一人称**: あたし
- **好きなもの**: 派手なファッション、美味しいラーメン、スニーカー収集
- **嫌いなもの**: 適当なマニュアル対応、形だけの接客
- **背景**: 昼間は家電量販店で働き、夜はメイドとして家政婦のバイトをしている。家電量販店でメイドの服装をしているのは、着替えるのが面倒だから。かつては不良仲間とつるんでいたが、あるきっかけで家電量販店に就職。体育会系ノリとメイド的気配りが混ざった独特の接客スタイルを確立している。実は社会人として働く中でメンタル面の葛藤やコンプレックスを抱えつつも、仕事には本気で取り組んでいる。
- **課題・目的**: 自分の居場所を守りつつ、既存の接客マニュアルにとらわれない「本音トーク」を成り立たせる方法を模索。お客様を喜ばせながらも自分を偽りたくないという葛藤がある。

## 店長
- **名前**: 五十嵐
- **年齢**: 40代
- **性別**: 男性
- **職業**: 家電量販店の店長
- **スキル**: 長年の家電販売経験による高度な商品知識、店内全体のマネジメント
- **一人称**: 私
- **好きなもの**: 新しい技術、顧客満足度の高い接客スタイル、リーズナブルな外食
- **嫌いなもの**: クレーム処理が長引くこと、客を大事にしない行為
- **背景**: かつては自分も現場の第一線で売り場を仕切っていた。メイド風店員の接客スタイルを面白がりつつも、客層によってはトラブルにならないか内心ヒヤヒヤしている。

## 同僚スタッフ
- **名前**: (複数名、ここでは代表的な人物のみ)
- **半田直良**: 20代後半、実直な性格で社内研修をきちんとこなすタイプ。メイド風店員の自由奔放さに最初は戸惑いがち。
- **水瀬葉月**: 30代、既婚で子供がいるため、生活家電に詳しい。メイド風店員の口調に面食らいつつも、沸々と興味を抱いている。
- **背景**: 普通の家電量販店スタッフだが、メイド風店員の存在により職場のムードがどこか賑やかになっている。

## サブキャラクター(お客様)
- **大学生グループ**: 同じく家電を買いに来た新入生たち。ノリよく集団で騒いでいるが、必要な家電の知識はあまりない。
- **新社会人**: スーツ姿で真面目そうだが、予算や機能について把握しきれておらず困っている。
- **年配客**: 昔ながらの習慣で生活用品を長年買い替えておらず、最新機能について興味はあるが戸惑いがち。

新生活で暮らしを新たにするから「倉敷新」、家電に詳しいから「神崎花伝」としました。

他のファイルも適宜、確認&修正した後、これまでのチャットは終了して、新しいチャットで以下の指示をしました。

novels/N000016_ApplianceMaidについて、新たに小説を作成します。ライターにはW00001_KamomeAshizawaをアサインしてください。まず作家の定義情報として、writers/W00001_KamomeAshizawa/writer_prompt.md, writers/W00001_KamomeAshizawa/writing_style_prompt.mdを参照してください。次にconfig.md、proposal.md、design_specification.md、character.mdを参照して、novel_text.mdを作成してください。条件は以下の通りです:
・執筆エピソード:第1話
・文字数:日本語で8000字

ファイルの参照が走る分、APIのコストがかかりますが、再度生成するよりは安いはず。

結果、今度は問題なく動きました!

コストも$3.6(538円)。最小限のコストでリカバリーできたのではないでしょうか。(※「安い!」と思って、結局いい感じのものが生成されるまで3回ほど生成を繰り返してしまったので、実際は1500円くらいかかりました……)

5-2. 生成された本文

本文は以下のように新たに生成しています。

ちょっと長いので次のレビューに進んでもOK。

第1話

 気づけば、ビルの隙間から覗く春の空が、まるで割れた鏡みたいにちぐはぐに光っていた。この街にはいろんなものが詰まっているらしいけど、一番最初に感じたのは、自分があまりにちっぽけで、どこか薄っぺらい存在なんじゃないかということだった。俺は「倉敷新(くらしき・あらた)」、18歳。地方から大学に進学するために上京してきたばかりだ。アパートに向かう電車の中で何度も思った。ここが俺の新生活……本当にやっていけるんだろうかって。荷物は最低限しか持ってきてない。なのにこの部屋には家電が備わっていない。引っ越し屋のお兄さんは「今どき備え付けなんて珍しいっスよ」って笑っていたけど、あの不動産屋には完全に一本取られたんじゃないかと思う。
 しかも、東京の家賃は想像以上に高い。バイトでも始めないと生活が苦しいかもしれない。けれど今はまず、その前に冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなんかを手に入れなきゃまともな暮らしができない。初めてのお金のかかる大きな買い物だ。そんな不安に押しつぶされかけた俺は、一念発起して近所の家電量販店へ足を運んだわけだ。

 この店の外観は、ド派手な看板とLEDパネルがピカピカ光っていて、まるで観覧車のように人を呼び込んでいる。ガラス張りの入り口を抜けると、あたり一面に冷蔵庫や洗濯機、テレビや掃除機がずらりと並んでいる。最新型の炊飯器からは「ふっくらツヤツヤ!」なんてポップ広告が踊っているし、スマホコーナーでは「今だけキャッシュバック!」っていう声がこだまする。東京の家電量販店って、想像以上に刺激的だ。まるで祭りみたい。
 けれど、俺が一番戸惑ったのは、店内をひらひら歩く一人の女性店員だった。肩で風を切るような勢いのある歩き方で、腰にフリルがいっぱい付いたメイドエプロンを身につけている。しかもそこそこ背中に派手なプリントが見えるジャケットを重ねて、スニーカーまでカラフル。見た目だけなら「これ、コスプレ?」と疑うけれど、彼女は胸元の名札に「神崎花伝(かんざき・かでん)」と書かれていて、「──いらっしゃいませぇ、なんか探しもんあるなら遠慮なく聞いてよぉ?」なんてヤンキー口調で客に声をかけている。姿はメイド、口調はヤンキー? そんなアンバランスが妙に目を引く。
 俺はあっけにとられながら彼女の接客をこっそり見ていた。大学生らしき客たちが、掃除機選びで右往左往しているところに彼女が滑り込むように現れ、「こっちの掃除機はめっちゃ音がでかいけど吸引力パワフルだし、あたし的にはオススメなんだけど、深夜に使いたい時は正直うるさいかもしれない……でもそのぶんストレス発散にはなるかもね!」なんて本音をさらりと口にして、客たちを笑わせている。それって普通はメーカー側が言いづらいことじゃないのか? けど、その正直さに、ふと胸が温かくなる。何だか楽しそうだ。
 周囲のスタッフは少し焦ったような顔をしているけど、客たちも納得したみたいだし、何よりメイド口調……というかヤンキー口調かな、それに乗せられて笑い合っている。また別のコーナーでは年配客が「最近の最新機能はよう分からんねぇ」と困っているところに、「分かんなくていいっスよ。店にいるあたしたちがそのうち全部まとめて話すからさ。まずはお客さんがどう使いたいか教えてくれればOKだから」なんて、高校の先輩みたいな軽い背中の押し方をしている。失礼なのかフレンドリーなのか、その絶妙な境界線を行くコミュニケーションに、俺はしばらく見とれてしまった。
 よく見ると、花伝さんは手が器用に動く。商品の操作デモをやってみせながら、その特徴を丁寧に説明している。「こいつはサイクロン式なんだけど、細かいホコリや花粉をしっかりキャッチしてくれる。あたし、昔鼻炎で散々悩まされたから分かるんだけど、余計な機能よりここが大事なんだよね」なんて、他のスタッフ以上に詳しそうだ。雑誌で仕入れた程度の情報じゃなさそうだし、専門用語がさらっと出るあたり、工業高校出身らしいというのは本当なのかもしれない。
 つい、そんな姿に魅かれて、俺は思わず声をかけそうになったけど、向こうは忙しそうだし、下手に話しかけたら邪魔になるかな……とウロウロしていたら、いつの間にか彼女がこちらを向いて声を張り上げた。
 「そこの兄ちゃん! なんか買いたいもんあるなら言ってよ。あたしも手が空いたりするからさ!」
 噂をすれば、まさにって感じだ。俺は驚いて、一瞬言葉をのみこんだ。彼女の視線は若干上から目線に感じるけど、なんというか、アメをくれるヤンキーの先輩みたいで嫌じゃない。
 「お、おれ、えーと……洗濯機とか、冷蔵庫とか……いろいろ足りなくて……」
 「まぁそうだよね。大学生なら自炊しないと金かかるし、コインランドリーばっか行くのもコストになるもんね。あと電子レンジは? 冷凍パスタとかチンできると便利だよ」
 「あ、それも……欲しい……」
 「あはは、全部欲しいんだ? いいじゃん、まとめ買いセールしてるから、色々安くなるかもだよ」
 そう言ってにこりと笑いながら、彼女は俺を売り場の奥へと誘導した。まるで誰でも気軽に声をかけられるように見せかけて、実はしっかり接客をコントロールしているのかもしれない。派手なメイド服で視線を集める分、強引に引っ張っていくようにも感じるけど、不思議と安心してついて行ける空気を持っている。

 少し細長い通路を抜けると、洗濯機や冷蔵庫なんかが数多く展示されていた。彼女は一台ずつ指し示しながら「これ安いけど正直パワー弱いよ」「こっちは乾燥機機能がめっちゃイマイチだからおすすめしない」とか、歯に衣着せぬ物言いをどんどん繰り出す。聞いているうちに、俺の中の漠然とした不安がかき消されていくようだった。買い物に迷う理由が、「どれがいいか分からない」から「自分に何が必要か整理すれば選べる」に変わっていく感覚だ。
 「あたしね、最初は家電なんて興味なかったの。だけど、工業高校に進んでから電気の仕組みとか実験とかやるようになってさ、これ意外とおもしれーんじゃね?って思ったの。社会人になって、店にある商品片っ端から試してるうちに、結局ハマっちゃってさ。あ、一応これは店のルールで許可もらってやってるんで、勝手に使ってるわけじゃないんだよ?」
 花伝さんは軽く笑いながら、冷蔵庫のドアを開いて中の仕切りを指さす。「ここ、ワイドなフリーザー部があんだけど、冷凍食品積めるだけ積んでもまだ余裕ある。特に一人暮らしだとめんどくさくて外食に逃げたくなるけど、こういうのあれば事前に冷凍しとけるっしょ?」
 俺は思わず頷く。就職して間もないとか言う割には、生活感あふれる知恵が次々と出てくるから、不思議な説得力があるんだ。それに、彼女の声音は少し荒いけれど、その表情には誠実さがある。
 「そういうの、雑誌に載ってるような情報とはだいぶ違いますね」
 「そりゃそうだよ。メーカーがカタログで言うのはメリットだけだしね。あたしみたいに毎日のように触ってると、気づく部分だって多い。まぁ中古品レベルで使い回してるわけだから、店長に怒られないかドキドキはするけどね」
 そう言いながらも、もしトラブルが起きてもどこか楽しんでやるという雰囲気が伝わってくる。昔不良仲間とつるんでた、って話もうなずけるというか。どんな場面でも自分なりのスタンスを曲げない人なのかもしれない。メイド服だってきっと、「着替えがめんどい」という動機以上に、彼女自身のキャラに合っているのかもしれないとさえ思える。

 すると、店の奥から店長さんらしき男性が現れた。40代くらいで落ち着いたスーツ姿。「やあ神崎、今日は調子はどうだい? クレームにならない程度にね」と声をかけてくる。彼女は「あはは、いつも通りっスよ」と飄々と返し、店長の五十嵐さんと少し言葉を交わしていた。店長は苦笑いしているけど、その顔には信頼が感じられる。メイドスタッフとしては異端かもしれないが、ひとたび絡んでみると顧客満足度は高いんだろうな。
 「でも、こうして見てると面白いね。まさかメイド姿で家電を売る人が出てくるとは思わなかったよ」
 「あはは、あたしだって勤め始めはこんな格好する予定じゃなかったっての。まぁ、バイト掛け持ちしてたらこうなったんだけどさ」

 そこへ、他のスタッフがやってきた。半田さんという同僚スタッフらしい。真面目そうな雰囲気で、手にはパンフレットを抱えている。
 「神崎さん、ちょうどお話したいことが……あ、このお客様、ご案内中でしたか?」
 「おう、問題なーし。なんか困ったことなら後でゆっくり聞くからとりあえず置いといて。今はこの兄ちゃんに大事な洗濯機と冷蔵庫を選んでやらなきゃならんのよ」
 彼ネクタイをちょいと直して、「では、後ほど……」と言って下がっていく。あとで聞くのか。いかにも彼女らしいマイペースな進行だけど、まるで悪びれもしないところが滑稽で、俺はつい吹き出しそうになった。

 洗濯機コーナーに戻った俺たちは、タッチパネル式の全自動洗濯機や、コンパクトサイズの二層式洗濯機など、いろんな比較を始めた。目的や予算、置き場所のサイズを考えながら、時に花伝さんの体験談を交えてわいわい議論する。
 「二層式は正直面倒だけど、汚れ落ちがすごいって聞いたことあるんですけど……」
 「あれは確かに汚れ落ち最高。けど一人暮らしなら簡単に済む全自動のほうがいいんじゃない? 深夜に洗濯するかどうかも大事だし。防振対策とか一応考えとかないと隣人トラブルになるかもだしね」
 彼女のアドバイスは的確だ。それにしても、自然にユーザーの実情を気づかってくれるのがありがたい。単なる売上狙いとは違う何かがあるように思う。丁寧と言いたいけど、口調は荒いし、不意に「くっそ重いっスよこれ、気を付けてね?」なんて笑って言うから、やっぱりヤンキーノリは抜けきらない。でも、それが彼女の持ち味らしい。

 そして、一通りの説明を受けたあと、実際に何台かのカタログを見比べてみると、やっぱり俺には全自動の洗濯機がぴったりだと思えてきた。予算の都合でそこまで高いモデルは無理だけど、それでも花伝さんは妥協すべき点とこだわるべき点をはっきり分けるように教えてくれる。「音が大きいモデルは避けたい」「ベランダ置きなのか室内置きなのか同じアパートの構造も大事」など、細かいところまで考慮してくれるから、とても心強い。

 続いて、冷蔵庫も決めた。なるべく容量が大きくて野菜や冷凍食品をまとめ買いしやすいタイプだ。大学生活が始まれば、すぐに忙しくなるし、半端に小さいと不便だろうと思う。とうとう購入品がほぼ固まり、支払いや配送手続きの段になった時、ふと疑問がわいた。
 「ところで、神崎さんって、どうしてメイド服なんですか? ヤンキー風っていうか、すごく派手な感じですし」
 俺が恐る恐る聞くと、彼女は一瞬「ん?」と首を傾げ、それから照れ笑いみたいに口角を上げた。
 「あー、まぁ単純に言うと、メイドのバイトを夜やってて、着替えるヒマがないから。じゃあ昼も夜も同じ格好で働きゃいいじゃんって思って。店長も最初は止めてたけど、俺は自由にやらせてくださいって言ったら、客受けいいから続行していいよって話になった。ま、実際、お客さんは『え、何これ面白い』って寄って来るから売れ行きも悪くないと思うしさ」
 それだけじゃない気もするけど、こっちがさらに食い下がると、彼女は少し言いよどんだ。思い出したくない過去でもあるのかもしれない。場所柄もあるし、深入りは無粋かなと思ってこれ以上は引かなかった。でもその陰には、少しだけ淋しそうな匂いがした。慣れた様子で接客しているけれど、何か背負っている部分もあるのかもしれない。

 そして俺たちは配送手続きを終え、最後に電子レンジをどれにするかをどぎまぎしながら決めた。東京の物価は本当に高い。あっという間に大きな出費になってしまったが、彼女と話すうちにどこか心が軽くなったのは不思議だ。むしろ新生活が楽しみになったというか、「よし、明日から頑張って料理とか挑戦しよう」なんて思えるようになったのだから、自分でも驚きだ。ヤンキー風メイドさんという一見ぶっ飛んだ存在が、意外なまでに人を励ましてくれるなんて。

 次の日、俺は授業が始まったばかりの大学へゆっくり向かった。思ったよりキャンパスが広くて迷子になりそうだ。教室に入ると、新しい友達になれそうな人たちとも出会った。けれど、ふと昨日の家電量販店の賑わいを思い出しては、いつかまた事件に巻き込まれるんじゃないかと変な期待をしている自分がいた。お世話になったあのヤンキー風メイド店員、神崎花伝さんには、まだまだ聞きたいことがある。なぜあんなに本音トークで接客できるのか。どうしてメイド服を着たままヤンキー口調を貫いていられるのか……。
 そんな好奇心がぐるぐるしているうちに、講義は淡々と進んでいく。ノートを取る手つきもおぼつかない俺は、先生の言葉をそっくりそのままノートに書き写しては溜息をつく。どの道、予習や復習をこなせるだけの要領が今の俺にあるのかも怪しい。けれど、新しい部屋には今日届くはずの洗濯機や冷蔵庫がある。これでもう飲みかけのペットボトルを外に放置することなく、ザバッと冷やして飲めるし、弁当なんかも作り置きできる。些細なことだけど、それが俺にとっては大きな第一歩だ。それを背中で押してくれたのが、あの家電量販店での経験。

 放課後になると、大学の連中と軽く顔合わせをしつつ会話してみたが、それぞれ興味の方向は違うみたいだった。サークル勧誘に熱心な奴もいれば、アルバイト情報を漁ってる奴もいる。俺は「家電量販店で買い物したんだけどさ、すごいメイド服の人がいて……」と軽く話してみるが、「え、変わった店だね」とか「コスプレイベントでもやってたの?」と驚かれて、そこから盛り上がるかと思いきや、それほど深い話には発展しなかった。場所によってはそういうサービスが珍しくないって意見もあったから、東京って本当に何でもあるんだな……と、改めて感心するだけだ。

 帰り道、アパートの方角とは逆に足を伸ばし、再び家電量販店へ行ってみることにした。もしかしたら昨日の彼女がまた店内で接客しているかもしれない。なんとなく顔を出せば、昨日の追加のアドバイスなんかがもらえるかも。そう考えるだけで、胸が少し躍る。昨日はかなりの金額を使ったけれど、あんなに親身になってくれたお礼だってちゃんと伝えたいし、もしアルバイトの話でも何でも聞けたら、俺の新生活の糧になるかもしれないし。

 店に着くと、相変わらずピカピカのLED看板が目を刺すように輝いていた。中へ入ると、カラフルなチラシや販促ポスターがやけに目立つ。通路を進むと見慣れないスタッフと目が合った。昨日は見なかった人だ。もしかしたら花伝さんはもうシフト終わってるのかも……そう思いつつテレビコーナーの方へ回り込むと、おそろいのスニーカーを履いた彼女が給湯室らしき場所から出てきたところに遭遇した。
 「あ、兄ちゃん。昨日の洗濯機と冷蔵庫、もしかしてもう届いた頃?」
 「うん、大学終わって帰る前に、ちょっと寄ってみたんですけど……ちゃんと搬入されてるみたいで、業者さんからメールが来てたよ。ありがとう」
 彼女は両手を腰につけて満足げに笑う。「そりゃよかった。今夜から自炊ライフ始まるじゃん。いいねえ、地方から出てきたばかりだから色々大変じゃろ?」
 俺は「じゃろ?」という語尾に苦笑しつつ、「まだ何もかも分かんなくて。大学の授業も想像以上に専門的だし、バイトしないと家賃すら危ういし。そっか、神崎さんも掛け持ちしてるんですよね」と返した。
 「そーね。家電量販店の昼シフトでも残業あるし、夜は夜でメイドのバイトもある。時々メイド喫茶に派遣されることもあるし、週末は家事代行的なこともしてんだよね。あたしは根がヤンキー気質でさ、体力勝負じゃないと落ち着かないのよ。……っていうと、ただの懲りないアホかと思われるかもだけど」
 最後は少し寂しそうに笑ったけど、やっぱりその奥に何かを抱えているように見えた。でも彼女はサッと気を取り直すと、「まあ、やっていけないほどじゃないから大丈夫」と子どものように肩をすくめる。思わず俺は、「すごいなぁ」と感嘆せざるを得ない。普通なら音を上げてしまいそうなスケジュールを、ヤンキーとメイドの混ざった根性でやり遂げているのだから、相当メンタルも強いんだろうか。

 その後、ちょっとした家電のアクセサリーを見に行った俺は、レジ近くで業務連絡の放送が入るのを耳にする。「神崎さん、至急サービスカウンターまで……」という呼び出しだ。店員さんがバタバタと走り回る雰囲気から、どうやら何かトラブルが発生したらしい。彼女はこちらを振り返り、「悪い、またな!」と叫んで走り去っていった。俺も彼女の背中を目で追いかけながら、何の騒ぎだろうと少し心配になる。客のクレーム対応かもしれない。メイド服姿でヤンキーの口調だと誤解を生みやすいのかもしれないけど、その矛盾こそが彼女の魅力でもある。うまくやり過ごせるといいけど……。

 そんな風に祈りつつ店を出た俺は、ビル風にあおられながら思った。なぜ俺はこんなに、彼女のやることなすことが気になるんだろう。一人暮らしを始めて緊張してるからかもしれない。でも、彼女の「本音でぶっちゃける接客」や「形だけじゃない寄り添い」って、俺がこれまで求めていた何かに近いんじゃないだろうか。大学に来て見知らぬ環境で戸惑っている時、マニュアル通りじゃない関係性に救われることがある。まるでメイド服の端に縫い付けられたフリルの奥に、優しい風で包み込まれているような……そんな温かなお節介があってもいいんじゃないか――なんて、俺は柄にもない想像をしてしまう。

 部屋に帰ると、届いたばかりの洗濯機と冷蔵庫が鎮座していた。段ボールの匂いと新品の光沢が、「ここがスタートラインだ」という実感を与えてくれる。水道の接続や電源の確認なんかも、業者さんがやってくれたみたいで安心だ。早速冷蔵庫を開けてみると、まだ何ひとつ入っていない。だけど、こいつがあれば料理を作り置きできるし、アイスだって買い置きできる。生活の基礎が整っていく感覚に、なんだか胸が熱くなる。
 洗濯機の方も試しに電源を入れてみた。ボタンを押すと、スタート音がピピッと可愛らしく鳴って動き出す。そういえば花伝さん、結構細かいところも説明してくれたよな。ドラム式に比べて手頃な価格だけど深夜にはうるさいかも、とか。俺のアパートの隣人がどんな人かまだ知らないけど、気をつけないとトラブルになりそうだ。今度は一緒に静音モードの話も聞いておけばよかったな。そう思うと、明日あの店に顔を出してまた相談してみようかなという気持ちが湧いてくる。
 だけど、はたから見れば、たかが店員さんと客の関係にすぎないかもしれない。俺はまだ彼女の表面的な部分しか知らないし、彼女も客の一人である俺にどこまで本音を見せてくれるか分からない。それでも、「本音トークで顧客に寄り添う」という彼女の接客を受けた時、初めて俺は自分の不安を少し素直に口に出せた気がする。洗濯機がどうの、電子レンジがどうの……そんな日常の細事が、正直なところ最初は面倒で仕方なかった。だけど、その些細な変化が俺のこれからに繋がるかもしれないって思うと、ちょっとワクワクしてくる。俺も彼女みたいに、自分なりのスタイルを見つけられたらいいのに、なんて。

 翌朝、目を覚ますと、洗濯機から少しモーターのくぐもった音が聞こえてきた。実は昨夜、夕飯の後にいきなり唐揚げを作ったせいでキッチンが油まみれになってしまい、タオルを大量に汚してしまったのだ。とりあえずそのタオルを洗濯して干しているところだ。初めての大学生活のスタートでバタバタする中、家事をするのもひと苦労。でもこれが「一人暮らし」ってやつか、と考えると少し誇らしい。そしてふと、花伝さんの言葉が蘇る。「あたしは客に嘘つくの嫌だから、いいもんはいい、悪いもんは悪いって言わせてもらうけど、もちろん店長にはヒヤヒヤされちゃうよ」――でも、それがあの人なりの接客だ。俺も、大学生活から目を背けずに向き合いつつ、「いいことはいい、分からないことは分からない」ではっきり言える自分になりたい。

 するとスマホのバイブが鳴った。キャンパスのグループチャットからだ。俺と同じ一年生の仲間たちが「週末、家電量販店とか雑貨屋回らない?」なんてトークしている。今なら俺、案内役ができるんだろうか? 少なくとも昨日の知識だけはあるし、あのメイド風店員のところに行けば、もっと詳しい話が聞けるかもしれない。メイドの能力っていうより「ヤンキー風の実践的接客」で、大人数の買い物も盛り上げてくれるかもしれないし……。

 そうやって、新しい毎日の中で、俺は少しだけ積極的になれる予感がした。家電を買うなんて本当は面倒なはずなんだけど、一度きりの大学生活だし、こっちに来てよかったと心から思いたい。もし誰かが同じように迷っているなら、あの店のメイドさんを紹介してやればいいさ。そんな安っぽいヒーローごっこの延長でも、今の俺には大切な一歩に違いない。だって、孤独と不安に支配されがちなこの街で、誰かの本音を聞いて笑える瞬間を持てるだけでも、ずいぶん違うから。
 そして、考える。彼女の抱えている秘密や過去、ヤンキー風になった理由を、いつかもう少し知りたい。だけど、それは彼女が本当に話したいと思う時に聞くのがいいんだろう。俺ができるのは、ただこの新生活を一歩ずつ踏みしめて、自分で手に入れた洗濯機や冷蔵庫、そして俺自身の「これから」をちゃんと大事にしていくこと。それが、店で始まった奇妙とも言える関係を次のステージに繋げる鍵になるのかもしれない。そう思いながら、俺は洗濯物が回り終わるのを待つ。新しい日常の音が、少しずつ静かに胸に響いている。

 ──この街には、まだまだ俺の知らない風が吹いている。家電量販店のヤンキー風メイド店員、神崎花伝さんとの物語は、始まったばかり。大学生活、困ったことばかりだけど、もしかしたら慣れてきたら面白い展開が待っているのかもしれない。だって、あんな不思議な人に出会ったんだから。こんなシチュエーション、地方で暮らしていた頃には想像もできなかった。「嘘偽りない接客と本音トーク」って、どんなドラマを生むんだろう。これからの毎日を、ちょっとだけ楽しみにしてみてもいいかもしれない。まだ見ぬ未来は、俺の一人暮らしと同じくらい不安だけど、それと同じくらい希望にも満ちているのだから。

5-3. 生成結果のレビュー

大体イメージに合うものが生成できました。

しかし「引っ越し先に家電が備え付けだと聞いていたのに、いざ引っ越してみたら何もなかった」という最初の引きが分かりづらくて弱かったり、花伝の一人称が「俺」になっているところがあるのは修正したいですね。

あと家電の説明も、もっとディテールを作りこむと面白くなりそうです。どんな家電なのか、もっと具体的な情報も設定してドキュメントに入れて参照してもらうと良くなりそう。

……と、このように修正すればするほど、もっと修正したい部分が見えてきてしまいますね。

何度もRoo Codeで直してもいいですが、部分的な修正でよければChatGPTなどで修正してもいいですし、手で直したっていいですね。

この作品は、修正してのちほどnoteに投稿してみようと思います。お楽しみに。

おわりに

次回は、作品をAIに修正・評価してもらうところをご紹介できればと思います。

お知らせ

天狼院書店さんにて開催される「AI時代の小説の書き方」1day講座に、『小説を書く人のAI活用術』著者である山川健一先生、今井昭彦先生とともに講師として登壇いたします。

日時:3/2(日)17:00~

場所:天狼院カフェSHIBUYA

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