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【かもめAI小説塾】小説のアイディア出しを自動化する方法
前回、「連想からアイディアを作ろう」にてアイディアの連想をマインドマップにして活用する方法を解説しました。
今回はこの連想のマインドマップをAIを使って自動的に作成する方法を解説します。
普通に質問してもうまくいかない
まずは参考のために、何も考えずにプロンプトを入力してみます。
「ガラス」から単語を連想してマインドマップを作成してください。
回答)
「ガラス」という単語から連想されるマインドマップを作成します。以下にその要素を列挙してみましょう:
材質
透明
壊れやすい
硬い
用途
窓ガラス
食器(コップ、皿など)
装飾品(ビーズ、彫刻など)
レンズ(眼鏡、顕微鏡、カメラのレンズなど)
種類
強化ガラス
フロートガラス
クリスタルガラス
レンズ用ガラス
ステンドグラス
製造過程
原料(砂、ソーダ灰、石灰石)
溶融
成形
冷却
リサイクル
再利用
リサイクルプロセス
環境への影響
科学的特性
屈折率
透過性
熱伝導率
歴史
古代ガラス製造
各文化での利用と発展
産業革命後の技術進化
アートとデザイン
ガラスアート
モダンアートの一形態
インテリアデザインの要素
このリストを基に、各要素をさらに詳細に拡張していくことで、より豊かなマインドマップが形成されます。それぞれのカテゴリからさらに細分化し、具体的な例や応用を探求することができます。
普通に質問しただけでは、Wikipediaみたいな「ガラス」を説明するための項目を列挙する形になってしまいました。
アイディアを連想するマインドマップを出力するには
うまく連想してもらうためには一工夫必要なことが分かったと思います。それでは、まずプロンプトの内容を解説して、次の章で出力例を紹介します。
マインドマップを作成したいです。まず「ガラス」から連想される単語を4つ生成し、次に作成した単語からさらに連想される単語を2つ生成して、MarkMapのmarkdown記法を用いて出力してください。
このプロンプトのポイントは2つです。
1. 何をするかを具体的に言語化する
欲しいのは連想のマインドマップなので、それを指定します。これは実際に自分が行う手順をひとつひとつ文章にするとよいです。
連想のマインドマップは、まず中心にある単語から連想し、さらにそこから次の単語を連想していきます。ここの言語化が弱いと、欲しい出力は得られません。
例えば、下記のように質問してみます。
マインドマップを作成したいです。まず「ガラス」から連想される単語でマインドマップを作成して、MarkMapのmarkdown記法を用いて出力してください。
回答)
マインドマップを作成するために、「ガラス」というテーマから連想されるいくつかのキーワードを挙げ、それをMarkMapのMarkdown形式で整理します。
MarkMapのMarkdown記法でのマインドマップ
# ガラス
## 用途
- 窓
- ボトル
- カップ
- 眼鏡
## 特性
- 透明性
- 脆さ
- 硬度
## 種類
- 強化ガラス
- 防弾ガラス
- フロートガラス
## リサイクル
- 環境への影響
- 再利用
## 製造工程
- 原料
- 砂
- ソーダ灰
- 石灰石
- 溶解
- 成形
- 冷却
このMarkdownをMarkMapなどの対応ツールに入力することで、視覚的なマインドマップが生成され、ガラスに関連する様々な要素が整理されて表示されます。このマインドマップは、「ガラス」に関する多角的な理解やアイデア発想に役立つでしょう。
工夫せずに質問した時と同じく、Wikipediaのような出力になってしまいました。
具体的に手順を言語化することが大切です。「まず」「次に」などの順番を指示する言葉も有効です。
2. MarkMapのMarkdown記法を指定する
これは先ほどの回答にて黒背景で表示されていた形式のことです。単語が階層になって出力されていましたが、これがマインドマップを意味しています。
「Markdown記法」とは、ブログのレイアウトなどに使われる記法のことです。「# ガラス」というテキストが、実際にウェブで表示される時には下記のように見出しへと自動的にレイアウト化されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1713621073604-6smbGx7Q5o.png)
「MarkMap」は、VSCodeというプログラミング用のソフトウェアのプラグインで、Markdown記法で書かれたテキストからマインドマップの画像を作成することができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1713621205454-m5hSR2KjHN.png)
少しプログラミングに詳しい方であれば、こうした画像を出力することは比較的容易ですが、別に画像化する必要はありません。
ここで大事なのは、マインドマップの階層構造をテキストで表現することができ、その階層構造をAIが処理できるということです。生成AIは様々なデータを学習しているため、MarkMap形式のデータにも対応できるのです。
実際に出力してみる
それでは実際の出力を見てみましょう。
マインドマップを作成したいです。まず「ガラス」から連想される単語を4つ生成し、次に作成した単語からさらに連想される単語を2つ生成して、MarkMapのmarkdown記法を用いて出力してください。
回答)
マインドマップを作成するには、「ガラス」というキーワードから連想される単語を4つ選び、その各単語からさらに2つずつ連想する単語を選ぶというステップになります。以下に、この構造をMarkMapのmarkdown記法で表現したものを示します。
- ガラス
- 透明
- クリスタル
- ウィンドウ
- 壊れやすい
- 安全対策
- 事故
- リサイクル
- 環境保護
- 資源
- 美術
- ステンドグラス
- 彫刻
このマインドマップは、「ガラス」から「透明」「壊れやすい」「リサイクル」「美術」というキーワードを連想し、それぞれの単語からさらに2つずつ連想される単語を展開しています。これをMarkMapなどのツールで視覚的なマップに変換することができます。
意図していたマインドマップを作成できましたね。
階層を深くする
これを応用して、階層を深くすることもできます。
マインドマップを作成したいです。まず「ガラス」から連想される単語を3つ生成し、次に作成した単語からさらに連想される単語を2番目の階層に2つ生成して、次にさらに連想される単語を3番目の階層に2つ生成して、MarkMapのmarkdown記法を用いて出力してください。
回答)
もちろんです。マインドマップを「ガラス」から始めて展開していきましょう。以下のような階層構造になります。
ガラス
透明性
クリア
透明
透過
ピュア
純粋
清潔
壊れやすい
デリケート
繊細
脆い
危険
鋭い
危険性
リサイクル
エコロジー
環境保護
再利用
サステナビリティ
持続可能
エコフレンドリー
この構造をMarkMapのmarkdown記法で表現すると以下のようになります:
# ガラス
## 透明性
### クリア
- 透明
- 透過
### ピュア
- 純粋
- 清潔
## 壊れやすい
### デリケート
- 繊細
- 脆い
### 危険
- 鋭い
- 危険性
## リサイクル
### エコロジー
- 環境保護
- 再利用
### サステナビリティ
- 持続可能
- エコフレンドリー
このテキストをMarkMapツールにコピー&ペーストすることで、視覚的なマインドマップが生成されます。それぞれの単語はさらに連想される要素に基づいて選ばれています。
うまく出力できましたね。
このMarkMap形式のメリットは、テキストなので気に入らないところは自分で直せますし、一から自分で作ったマインドマップをこの形式で作ることもできるという点です。
慣れてくれば、データ形式を自由自在に操って効果的なプロンプトを書くことができるようになります。「AIにはうまく作れない」と言っている人の多くは、こうした感覚なしにAIと対話して勝手に幻滅しているのです。つまり、知識があるだけで大きなアドバンテージとなります。
賢い方は「この階層構造を応用すれば、あんなことやこんなことも作れそうだな」と思いついていることでしょう。ぜひ活用してみてください!
マインドマップから物語を作ろう
それでは、生成したマインドマップをベースにして物語を作ってみましょう。
「実際に出力してみる」では、下記のマインドマップを出力しました。
- ガラス
- 透明
- クリスタル
- ウィンドウ
- 壊れやすい
- 安全対策
- 事故
- リサイクル
- 環境保護
- 資源
- 美術
- ステンドグラス
- 彫刻
これを出力した会話に続けて、次のプロンプトを入力してみます。
上記の単語のマインドマップの内容にもとづいて、200文字程度の物語のあらすじを作成します。まず最上層から最下層までつながっている3個の単語のうち、テーマに合致する組み合わせを選んでください。物語のテーマは「命の儚さ」です。そして単語のつながりのうち、どちらかの端にある単語についての描写からあらすじを始めてください。一つの段落では、一つの単語をテーマとします。次の段落に進んだら次の単語を登場させてください。あらすじの結末でもう片方の端にある単語を初めて登場させて、意外性のあるオチにしてください。
このプロンプトは、テーマを与えて、それに合う3つの単語の組み合わせを抽出して、それをキーワードとしてあらすじを作成するものです。
回答)
選んだ単語の組み合わせは、「ガラス」、「壊れやすい」、そして「事故」です。
ある静かな朝、小さな町の家々はまばゆい陽光に照らされていた。町の中心には、古い教会の大きなステンドグラスがあり、そのガラスは何世紀にもわたって多くの嵐を耐え抜いてきた。このガラスは、その透明さと美しさで知られ、町の人々にとって誇りの象徴でもあった。
しかし、その日は何かが違った。教会の前で、小さな子供たちがボール遊びをしていると、ボールが誤って飛んで行き、ステンドグラスにぶつかった。ガラスはその壊れやすさを証明するかのように、音を立てて砕け散った。町の人々はショックを受け、その場に静まり返った。
その事故の瞬間、ガラスの破片が飛び散り、遊んでいた子供の一人が重傷を負ってしまう。突然の出来事に、町の人々は命の儚さを痛感し、それぞれが大切なものを守るために何ができるかを真剣に考え始める。この悲劇が、町に新たな絆と深い思いやりをもたらしたのだった。
余談:140字小説のススメ
私はTwitterで140字小説(#twnovel)を約600作ほど書いていた経験から、小説を書き始める時には、まず全体を140字小説で書くことが多いです。そうすることで全体の見通しがよくなり、不要な要素も見えるようになります。
この140字小説を作るテクニックの1つとして、私はこの連想した単語から作ることがあります。単語の列の片方の端から順番に描写をしていくことで物語を自然に展開できますし、最後の単語をどうオチにするかというのも考えやすくなります。
例えば、「ガラス→壊れやすい→安全対策」から、こんな感じの140字小説が書けます。これは、私がAIを使わずに書いた作品です。
羽ばたく鳩を再現したガラスの彫刻。それを観衆の前で粉々に壊して、ガラスの壊れやすさで平和の儚さを表現するのが、私の作品の計画だった。しかし会場に着いた私は驚いた。美術館の安全対策で、作品は強化ガラスの箱で密封されていたのである。どうすれば平和を壊せるのだろうか?
140字小説は、小説執筆に不慣れな人でも完成させやすい敷居の低さと、必要な要素を取捨選択しなければならない奥深さが両方あるので、初心者の練習にはちょうどいいです。何よりひとつの作品を完成させることは良い経験になります。おすすめです。
ただし既存のハッシュタグにAI生成作品を投稿するのはあまり良くないと思います。もしAI生成した作品を投稿する場合は、以下の点に気をつけましょう。
AI生成を明示する
ハッシュタグをつけないか、もしくは新しいハッシュタグにする
例えば「#ai_xnovel」というタグを付けてみるといいかもしれません。2024年4月21日現在、誰にも使われていないので、あまり迷惑にはなりません。どうせこの記事を読んだ人が投稿しているので、「いいね」や「リポスト」などしてフォローしてみてもいいでしょう。ただし自動投稿のボットにするとBANされる可能性もあるので注意してください。