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ゲーム「ヴァルキリープロファイル-レナス-」を語り尽くす


~はじめに~

今回ご紹介するのは、「VALKYRIE PROFILE -LENNESTH-(ヴァルキリープロファイル-レナス-)」(VPL)である。以前、このブログの記事で「ヴァルキリープロファイルシリーズ」については語らせていただいたが、その中でも最初の作品であるVPLは最も完成度が高いシリーズ屈指(日本RPG屈指)の名作である。本日はその魅力について長文で語っていきたい。


~あらすじ~

アース神族ヴァン神族が争いを続けている神界・アスガルドアース神族の王・オーディンは未来を予言するという「ユミールの首」から「神々の黄昏(ラグナロク」が近いことを知る。そこでオーディンは来る決戦に向け、戦力となる人間の英雄達(エインフェリア)の魂を選定し、神界へと導く命を戦乙女・ヴァルキリーの一人であるレナス・ヴァルキュリアに下したのであった。







ヴァルキリープロファイルの魅力~


①ストーリー編(Aエンディング、順序や内容は一部脚色あり)

①-1:アリューゼ・ジェラード

ヴァルキリーは3女神(長女アーリィ、次女レナス、三女シルメリア)で一つの身体を共有しているため、他の一人が活動中は人間に転生するという特殊な存在である。人間に転生することで、それによってより人の感情・思いを理解できるようになり、神と人とを橋渡しする役割を担う。アーリィが最も神に近い考えを持ち、シルメリアが人間に近い考えを持ち、レナスはその中間とされる。今回、オーディンからエインフェリア選定の命を受けて目覚めたのはレナス。しかし目覚めたレナスには人間に転生していた頃の記憶がなかった。これはラグナロクに向けて魂の選定を確実に遂行させるためにオーディンによって記憶を封印されていたためだが、レナス自身はその事を知らない。

人間達の住む世界・ミッドガルドへと舞い降りたレナス。レナスには意識を集中することで死に瀕した者の感情や想いを読み取ることができるという能力があり、この能力を使って神界で戦力となり得るエインフェリアを探すのである。耳を澄ましたレナスに聞こえてきたのはアリューゼというある傭兵の声だった。アリューゼは凄腕の傭兵で、先の戦いでも大活躍し国王から報奨を貰うのだが、栄誉のために戦っているのではないと足蹴にする。すると数日後、アリューゼの家に明らかに変装した幼い女性・アンジェラが尋ねてきた。アンジェラの正体は実は王女・ジェラードで、父親を馬鹿にされた恨みを晴らしに来たことを知りアリューゼは反省する。そんなある日、アリューゼは傭兵仲間から積み荷を隣国まで護衛する仕事を受ける。中身を見てはいけないという怪しい仕事だったが引き受ける。しかし途中で王国の兵達に止められ、中を確認すると何と王女・ジェラードであった。大臣の一人が王国の転覆を狙って隣国に王女を受け渡したのだ。逃げ出したアリューゼだったが、悲鳴を聞いて引き返すとそこには広告の兵達を襲うバケモノが立っていた。実は大臣は2重の手を打っており、王女を探す兵達に人間をバケモノに変える「グールパウダー」という薬を持たせ、見つかった場合には関係者もろとも皆殺しにするつもりだったのだ。レナスの力を借りて、迷いながらもバケモノと化した王女を殺したアリューゼ。アリューゼは怒り、大臣を殺すことを決意する。城に突入するも多くの兵達を殺してしまい、これ以上暴れると弟にまで被害が及ぶと思ったアリューゼは自害するのであった。死したアリューゼをレナスはエインフェリアとして迎えようとしたが、「死神とお前はどう違う?」と拒絶する。しかしそんなアリューゼを窘める声があった。ジェラードである。彼女もエインフェリアとしてレナスに選定されていたのだ。彼女の説得もありアリューゼはエインフェリアとしてレナスと共に行くことを決意したのであった。


①-2:プラチナ・ルシオ

レナスは再び耳を澄ます。聞こえてきたのはスラム街に暮らす少年・ルシオの声だった。彼には昔プラチナというレナスと同じ美しい銀髪を持つ幼なじみがいた。実はプラチナはレナスの転生体なのだがルシオはもちろんその事を知らず、レナスもまた記憶を封印されているためルシオを覚えていない。プラチナの家は貧しく、プラチナは母親から虐待に近い仕打ちを受けていた。そんな状況下でもルシオと過ごす時間は楽しくなんとか生きていたのであった。しかしある日ルシオはプラチナが身売りに出されるという情報を入手し、夜中にプラチナを連れて逃げ出した。一面スズランの草原に逃げてきた二人だったが、プラチナの心は限界だった。ルシオといるのは楽しいが生きるのが辛い、全て忘れてしまいたいと言い、スズランの毒に当てられて死ぬことを選んでしまった。その後ルシオはスラム街で仲間達とスリをやって生きていたが、ある日仲間が貴族の財布に手を出し、見せしめにスラム街は焼き討ちに遭ってしまう。仲間を逃がすルシオだったが、仲間を庇い矢に打たれて死んでしまう。勇敢な彼をエインフェリアとして迎えたレナスにルシオはプラチナの影を見る。レナスも何かを感じ取るが、プラチナの頃の記憶が封印されているためルシオのことを思い出すことはできない。


①-3:レザード・メルティーナ

レナスは再び耳を澄ます。聞こえてきたのは傲慢な天才魔術師・メルティーの声だった。 彼女は天才魔術師だったが、エゴイスト・ナルシストで周りの反感を買っていた。ある日、共に魔法学園を追放された中である魔術師・レザードの研究施設に忍び込み、実験用のホムンクルスを盗み出してしまう。取り戻しに来たレザードに対し、メルティーナは条件を出す。人間界と神界を繋ぐ虹の橋・ビフレストに関する情報である。レザードはエルフの住む森の奥に入口があり、霊体であれば通過できることを伝える。早速その夜幽体離脱してビフレストに向かうメルティーナだったが、実はそれはレザードの罠だった。幽体離脱した彼女の身体はレザードによって氷漬けにされ、メルティーナは死んでしまった。性格に問題はあるものの優れた魔術師である彼女を、レナスはエインフェリアとして迎えた。 メルティーナを殺し、ホムンクルスを奪還したレザードは笑っていた。彼にとってこのホムンクルスは重要な物だった。愛しの女神を手に入れるために。レザードもメルティーナと共に学園で学んだ錬金術ネクロマンサーの二足のわらじを履きこなす天才魔術師だったが、残虐でエゴイストであった。そんな彼が賢者の石を手にし強大な力を手にしてしまっていた。そんな彼がある日レナスの存在を知知り、人と神の間の不安定な存在に惹かれ、レナスに歪んだ恋心を抱く。そして彼はエルフを使ってレナスそっくりのホムンクルスを彼女の器として創り、そこに彼女の魂を入れることで彼女を神々の支配から解放し、自分のものにしようとしていた。神と人間の許されざる恋。通常ならば諦めざる得ない状況だが、不幸なことにレザードには賢者の石によって手にしたそれを可能にする力があった。それが後々世界をゆがめていくこととなるのだがそれはまた別の話(VP2


①-4:レナス覚醒

レナスは転生体・プラチナの頃の記憶をオーディンに封印されていた。プラチナの時に受けた母親からの虐待やルシオとの思い出が、エインフェリアを選定するのに邪魔になると考えたからだ。

レナスも当初は何も覚えてはおらず、オーディンの命に従って忠実に任務をこなしていた。しかし、ルシオとの運命の再会やレザードに言われた「あなたは自分がどのような存在なのか丸で理解していない」という言葉により、徐々に封印が解けていく。

ある日レナスは、スズランが咲き誇るに草原に降り立った。そこには不死者たちが集まっていた。レナスが不死者を蹴散らすと、そこには石が積まれた小さなお墓のような物があった。レナスの頭に何かがよぎる。これはルシオが作ったプラチナのお墓だった。

ある日レナスはとてつもなく強烈な波動を感じ取った。その波動は、数多の不死者を束ねる不死者の王・ブラムスのものだった。彼は世界を安定化させる四宝(ドラゴンオーブ・グングニル・レヴァンテイン・シルヴァンボウ)に匹敵する力を持っていると言われ、長く神々と対立してきた。そんな彼と対峙したレナス。その頭上には三女・シルメリアの精神体が捕らわれていた。「決着をつけに来たというわけではなさそうだな」とブラムス。レナスには何を言っているのか分からない。「オーディンはお前を人形にでも変えるつもりなのか」「妹(シルメリア)を見ても何も思わないのか」とブラムスは繰り返すが、レナスには何も分からない。不死者の戯れ言と構わず闘いを挑むが、圧倒的な力の前に敗北し、ブラムスは去って行った。レナスには自分が覚えていないことがあるという蟠りが残った(シルメリアとブラムスについてはVP2で語られる)。

ある日レナスは、ルシオを神兵としてアスガルドに送ることにした。レナスは選定したエインフェリア達を育て、十分な戦力になったと判断すると神界に送ることが使命である。その順番がルシオにも来たのだ。幼馴染み・プラチナのおもかげをレナスに見ているルシオは別れを惜しむ。ルシオの持つ蟠りをなんとか解消したいと思うレナスは、ルシオと話をする。ルシオはレナスをプラチナが育った村へと連れ出す。何か思い出さないかとルシオは言うが、レナスには何も思い出せない。スズランの草原に着いた。ルシオはここで昔プラチナを死なせてしまったこと、レナスにプラチナの影を見ていることを話す。ルシオはレナスに髪飾りを取ってくれないかと頼む。レナスは髪飾りを外し、プラチナと同じ顔でそっとルシオ口づけをする。これで未練が消えるのならと。神界にルシオを送った後レナスはつぶやく。人間と神との間に、愛情が成立するはずがないと。しかしレナスはルシオとの再会を楽しみにしている自分に気付いたのだった。

神界・ヴァルハラ。エインフェリアとして転送されたルシオは神兵として戦いながらもレナスのことが忘れられずにいた。そんな彼に神の一柱であるロキがレナスの記憶が封印されていることを教える。更にロキは、禁じられてはいるが水鏡を使うことでレナスと連絡をとることができ、ルシオが語りかけることでレナスの封印を解くことができるのではないかと伝えた。ルシオは迷いながらも水鏡を使用し、レナスと連絡をとった。突然の連絡に戸惑うレナス。ルシオイヤリングの片側を送り、もう片方は別の場所に隠したと告げる。本当に受け取ってほしいものはイヤリングなんかじゃないけど、想いが伝わればもう片方の場所も分かるはずと。しかしレナスは無断で水鏡を使った事を責めてしまう。こんなくだらないことのために、と。通信は途切れ、ルシオは何でこうなってしまったんだと悔いる。そこにロキが現れる。ロキは四宝の一つ・ドラゴンオーブを盗み出し、その力でオーディンに封印された力を取り戻していた。そしてルシオに告げる。お前はこれからオレに殺される、ドラゴンオーブを盗んだ犯人として、と。そう、ルシオロキがドラゴンオーブを盗むのに利用されてしまったのだ。ルシオはロキに殺害されてしまう。ロキはオーディンルシオがオーブを盗み出し、現場に居合わせた自分が始末した、オーブはルシオが水鏡を使ってミッドガルドに隠されたと報告する。オーディンは怪しみながらもロキを泳がせることにしたのだった。

その頃レナスは、スズランの草原にいた。なぜか分からないがここにもう片方のイヤリングがあると思ったからだ。そしてイヤリングはプラチナのお墓に隠されていた。それを見つけたとき、封印されていたレナスの記憶が戻る。しかし、封印が解けそうになった瞬間、レナスは強制的に転生させられ、代わりに長女・アーリィが召喚されてしまう。強制的に自分に従うように命令するアーリィに、アリューゼ・ジェラート・メルティーナたちエインフェリアは反抗するがその力の前に歯が立たない。殺されそうになったところを残っていたレナスの精神体が守り、アーリィはどうせ行き場はないと去って行った。草原には共生転生によって散らばったレナスの精神体が漂っていた。しかしこのままでは消えてしまう。突如聞こえてきた声に従ってメルティーナは魔法により空間を凍結し、散らばったレナスの精神体を回収した。そしてそのようにアドヴァイスしたのはかつての敵・レザードであった。しかしレナスを取り戻すという点において彼とは利害が一致しており、一時的に協力することに。まずはレザードの作ったレナスそっくりのホムンクルスに回収した精神体を入れて劣化した魂を保存することに。しかしこれは一時的な措置に過ぎず、本当にレナスを取り戻すには、アーリィを倒し、肉体という器を取り戻す必要がある。そこで彼らはアーリィがいるブラムス城へと向かった。ブラムスはアーリィの前世からの宿敵であり、早速闘いに来ていたのだ。事情を知ったブラムスはレザードらと協力することを選び、アーリィは倒される。砕け散った器を再び空間凍結で結晶化して入手した彼らは、その器とホムンクルスに入った精神体とを融合させ、レナスは復活した。しかし復活したレナスは取り乱していた。記憶が戻り、ルシオにひどいことを言ってしまったこと、そしてルシオが殺されてしまった事を知ったためだ。心を取り戻した彼女はもはや神ではなく、一人の女性として嘆き悲しんでいた。

その頃ヴァルハラでは、オーブを盗んだロキがアース神族の敵である、ヴァン神族の元を訪れていた。ロキは四宝の一つ・魔剣レヴァンテインを飲み込んだ魔竜・ブラッドヴェインと魔狼・フェンリルを連れて寝返りを提案しに来たのだ。しかしアース神族の王・スルトは、魔物の力を借りるほど落ちぶれてはいないとロキを拒絶する。するとロキはあなたたちに選択肢はない、とドラゴンオーブの力を解放し、アース神族を、そして神界を滅ぼしてしまう。ラグナロクの予言は現実のものとなってしまったのである。ロキはアース神族ヴァン神族の間に生まれた子で双方から蔑まれて育ってきた。そんな彼は全てを憎んでおり、オーディンラグナロクに備えて人間界から持ち帰っていたドラゴンオーブを利用して逆にラグナロクを起こしてしまったのであった。

知らせを受けて神界に戻ったレナスは無残に焼き払われたヴァルハラを目にする。そしてロキを止めるために戦うことを決意する。オーディンを殺され、生き残ったフレイはロキを倒すより神族全体を立て直す方が先だとレナスを止めるが、人間の心を取り戻したレナスにとっては、ラグナロクを引き起こしたのは地上の安寧をもたらすドラゴンオーブを盗んで持ち帰っていたオーディンの自業自得だった。そしてオーディンの死を悲しむフレイに対して、どうしてその感情を人間にも向けてあげられないのかと怒るのであった。

ロキを探すレナス。途中、魔狼フェンリルや魔竜ブラッドヴェインを倒し、四宝の一つ・レヴァンテインを手にし、ロキに決戦を挑む。しかしレナスはエインフェリア達への被害を恐れ、レヴァンテインの力を解放しきれずにいた。一方ロキはドラゴンオーブの力を解放し、一面を焼け野原にしてしまう。レヴァンテインの力によって一人だけ生き残ったレナスにロキは,自分のためだけに力を使うのが正しいと言うがレナスは聞いていなかった。耳を澄ませていたのだ。世界に存在する全ての人々の声に。感じていたのだ。世界に存在する全ての人々の悲しみを。そしてなんとレナスは、ロキに破壊された世界を再生する力を発揮した。レナスがこの創造の力を手にしたのは、アーリィに奪われた身体を取り戻した際にホムンクルスを使ったことに起因していた。ホムンクルスは人間とエルフを半々使って作られる、つまりハーフエルフと同等なのだ。ハーフエルフは神の器でありながら人間と同じ「成長する力」を持っており、本来完璧で成長することのない神が成長し、更なる力を得ることができるのだ。何を隠そうオーディンがハーフエルフであり、故に神々の王になる力を得たのである。その力がレナスにも宿り、創造する力を手に入れたのである。その力によって創造神・レナスはロキに破壊された世界を再生したのであった。そしてロキを倒した彼女の前に死んだはずのルシオが現れる。創造の力によって生まれ変わったのだ。レナスはルシオと抱き合いこう言う。「一緒に、生きましょう」と。

FIN.


上記ストーリーの詳細や美しいイベントシーンについては

ぜひこちらの動画を御覧頂きたい。


上記メインストーリーの他にも、ロウファ・ベリナス・ラウリィ・ジェイクリーナス・ジェイル / レティシア・カシェル・ロレンタ・エイミ・バドラック・ガノッサ・グレイ・リセリア・洵(ジュン)・那々美(ナナミ)・夢瑠(ユメル)・詩帆(シホ)・蘇芳(スオウ)といった多くのエインフェリア達を仲間にでき、それぞれの一言では語れない人生を垣間見ることができる。そして彼らもレナスと出会い、共に生きていくことを選択するのである。難易度によって仲間にできない者もいるので注意。




②システム編


②-1:バトルシステム

戦闘は4人まで参加することができ、レナスは確定でその他に3人のエインフェリアを選択して戦う。各人にHPが設定されているが、レナスが倒されるとエインフェリアを実体化するためにレナスから供給されているディバイン・マテリアライズエナジーDME)が供給されなくなるため、数ターン後に消滅してゲームオーバーとなってします。戦闘はターン制で、アイテムや通常攻撃、魔法や必殺技を選んで戦う。装備する武器によって1ターンで攻撃できる回数が決まっており、ヒットが繋がるとゲージが貯まり、ゲージが貯まると各人に設定された必殺技を放つことができる。また、必殺技でもゲージが貯まるため、最大で4人連続で必殺技を打つことができ、後の方ほど威力が上がるため、どのような順番で必殺技を放つかが重要になってくる。必殺技を打った後や魔法を打った後はそれぞれに設定されたチャージターン(CT)を経過するまで再び使用することができないが、ダウン中の敵を攻撃することで落とす紫炎石を取ることでCTを短縮することができる。その他にも空中に浮いている敵を攻撃すると経験値をアップさせる魔晶石を落とすため、どのようなタイミングで攻撃しコンボを繋げるかが重要になっている。


②-2:スキルシステム

キャラクターはレベルアップ時にキャパシティポイント(CP)を与えられ、これをスキルに割り振ることで能力がアップする。CPは戦闘スキル、技能スキル、人物特性に割り振ることができ、戦闘スキルはその名の通り戦闘時の攻撃力を上げたり、追加ヒットが付与されたりする。技能スキルも一部はステータスがアップするが、ステータスに影響しないスキルもある。ステータスに影響しない技能スキル人物特性は、エインフェリアとしての適性に影響し、詳しくは後述するが、神界に送ったときの評価や神界での神兵としての活躍に影響してくるため、神界転送する場合には気を付ける必要がある。特に終盤やクリア後の隠しダンジョンでは、Guts(残りHP以上の攻撃を食らった際に一定確率で生き残るスキル)などのスキルは必須に近く、スキルをいかにうまく活用するかがこのゲームの肝の一つとなっている。


②-3:エインフェリア転送システム

本作では、前述の通りレナスは神の戦力となる英雄の魂(エインフェリア)を選定するという使命を持っており、これをきっちりこなさないとフレイに粛正(殺害)されるバットエンド(Cエンディング)となってしまう。ストーリー中8つあるchapterそれぞれが終わると神界フェイズが始まり、フレイから神界の戦況や転送したエインフェリアの状況、レナスの評価を受ける。エインフェリアは誰でも良いというわけではなく、ある程度レベルを上げて、人物特性を修正した勇者適正値が高く、フレイが要求した能力(俊敏、泳ぎが得意など)を満たす必要がある。勇者適正値以外は低くても神界転送することはできるが、フレイからの評価が低かったり、神界で活躍できずに戦死してしまう。フレイからの評価が悪いとフレイからもらえるアーティファクト(強力な武器や防具、アイテム)やMP(マテリアライズポイント、武器や防具・回復アイテムなどを生成するのに必要)が少なくなり、ゲーム攻略の上で非常に不利になる。メイン戦力となるキャラは手元に残しつつある程度育成したキャラを手放して神界に送るという駆け引き・バランスがこのゲーム最大の特徴と言えるだろう。ちなみに一部のキャラクターは勇者適正値がどう頑張っても上がらず神界に転送できないようになっている。


②-4:アーティファクト献上システム

アーティファクトとは、神によって作られた武器や防具・アイテムなどで、これらの所有権は主神・オーディンにあるため、これらを見つけた場合にはオーディンに献上する必要がある。アーティファクトはダンジョンでボスを倒した後などに宝箱に入った状態で出現する。宝箱を開けるとアイテム命が表示され、オーディンに献上するか否かを選択することとなる。献上すると評価値が上がり、パクると下がる。評価値は前述の通り下がりすぎるとフレイに粛正されてしまうため、アーティファクトは献上した方がよいように思うがこれが実は落とし穴である。アーティファクトの中には非常に強力な武器や防具が混ざっておりそれらを使うことで戦力が跳ね上がったり、一見使えなさそうなアイテムであっても、ゲーム中にある場所で入手できる配列変換の宝珠・上級配列変換の宝珠というアイテムを使って配列変換すると、非常に有用なアイテムに変換できたりするのだ。また、アーティファクトはMP変換というコマンドにより大量のMPに変換することも可能で、前述のようにフレイから貰ったMPだけでは足りないという場合にも使い道がある。つまり、必要な物を見極めてパクり、いらないアーティファクトオーディンに献上するという見極めがこのゲームにおいては重要になってくるのである。



②-5:マルチエンディングシステム

本作はマルチエンディングを採用している。一つは前述の通り、エインフェリア選定の仕事を怠りフレイに粛正されるCエンディング(ゲームオーバー)。もう一つは、神として指示通りに仕事をこなし神界でのアース神族との戦争とその結膜が描かれるBエンディング。多くの方が一周目はBエンドを迎えることだろう。しかしこのエンドでは多くの伏線が回収されることなく、謎が残ったままとなる。そこでゲームタイトルを見てみるとそこには“Should Deny The Divine Destiny of The Destinies”(神の意思に反逆せよ)という文字が。実はこれこそが真のエンディングであるAエンディングへのヒントなのである。神の意志、つまりはオーディンの意思に背く。オーディンはレナスの記憶を封印し、エインフェリア選定に集中させようとしていた。つまり、レナスの記憶を戻すことがAエンディングに繋がる、というわけである。正直この一文から気付く方は少ないかもしれないが、レナスのステータスには「封印値」というものが設定されていることに気付く方は多いかもしれない。封印値は、レナスの前世の記憶に迫るイベントでは低下し、エインフェリアを神界に送ると上昇する。この値を下げまくったらどうなるかを試したプレイヤーは多くいるかもしれない。実は封印値が一定以下になることがAエンディング分岐に必要な要素であり、プレイヤーがAエンディングに辿り着くための指標となっているのだ。ただし前述の通り、エインフェリアを全く送らないとCエンドを迎えてしまうため、最低限のエインフェリアは送りつつも封印値を下げるという難しい調整が必要になる。また、フレイからの評価も下がるためもらえるMPも少なくなり、アイテムのやりくりも大変になる(これについては前述のMP変換により解決する)。なおイージーモードではルシオなどが仲間にならないためAエンディングを見ることはできないので注意が必要だ。



②-6:本編ダンジョン

本作には多種多様なダンジョンが登場する。登場するダンジョンの種類は 最初に登場する難易度によって変化し、ハードモードではより謎解き・アクション要素が強く攻略が難しいダンジョンが登場する。ただしハードモードでのみ出現するダンジョンでは後述するクリア後のエクストラダンジョンを楽しむために必要な「紅蓮の宝珠」というアイテムやより強力なアイテムを入手できるため、できればハードモードで挑んで貰いたい。


ダンジョンでは、レナスを操作して左右に走る・ジャンプ・スライディング・剣を振る・物を持ち上げて下ろすなどの操作ができ、プレイヤーはそれらを駆使して隠されたスイッチを探したり、迷路を脱出したりする。その中でも特に本作品で特徴的なのが晶石アクションだ。これはレナスが打ち出すことができる晶石という氷塊を使ったアクションで、晶石の上に乗ることでより高いところに届いたり、砕いた晶石を重ねてより高くしたり、粉々にした晶石が空中を舞っている間はそこに乗れる事を利用して一見行けなさそうな所に行ったり、レーザーを晶石で反射させてスイッチを押したりと用途は様々である。この晶石アクションをうまくできるか否かによってダンジョンの難易度は大きく変わってくるが、苦手な方はかなり辛いかもしれない。晶石アクション以外にも特定の位置に物を動かしたり、薬品でツタを枯らして道を切り開いたり、果ては過去と現在を行き来したりなど、様々な謎解きを楽しむことができる。ちなみに本作でダンジョンとして登場する街やボスとして登場する人物などはVPLよりも過去物の語りであるVP2と関連が深いものも多く、また、本編のストーリー中にもVP2と関連するシーンもあるのでVP2をプレイするとより楽しめるかもしれない(中々プレイできる環境にはないので以下の動画を御覧頂くだけでも楽しめる)。


②-7:エクストラダンジョン

本作ではクリア後に「セラフィックゲート」というエクストラダンジョンを楽しむことができる。セラフィックゲートでは本編以上の強敵や謎解きを楽しめるほか、ハードモードでのみ入手できる「紅蓮の宝珠」を持っていれば、本編では仲間にできない「フレイ」「レザード」「ブラムス」を仲間にできる。ボスとしては中ボスにガブリエ・セレスタ、ラスボスにイセリア・クイーンというトライエース恒例の隠しボスが登場する。前者は割と弱いがイセリア・クイーンはかなりの強敵である。イセリアを倒すと最初はトライエンブレムという強力なアクセサリーを、2~9周目はスタッフからの言葉が書かれた謎の書物を、そして10周クリアすると「咎人の剣”神を斬獲せし者”」という破格の攻撃力を持つ(ただしダメージに大きくぶれがある)武器を入手することができる。また、セラフィックゲート内には「ハムスター」という敵が現れ、ハムスターそのもののかわいらしい外観でありながら、破壊的な攻撃力と攻撃が全く当たらない小ささでプレイヤーを苦戦させ、本作最強の敵とも言われている。余談だが、本作では「ディメンション・スリップ」というアイテムを装備することでザコ的とエンカウントしないという良心的な設定になっており、10周でもイライラすることなくプレイできる。




~終わりに~

1万字を超える長編でお届けした本記事だが、いかがだっただろうか。ゲーム未プレイの方には分かりにくく、プレイ済の方には物足りなかったかもしれないが、個人的な趣味の記事と言うことでご勘弁いただきたい。途中にリンクを張っているプレイ動画を御覧頂けば詳細はお分かりいただけると思う(本ブログの意味が薄くなるが、本作を知っていただけるなら本望)。少しでもこの日本RPG界屈指の名作に興味を持っていただければ幸いだ。


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