あしてあとれ

どこかで、あなたと出逢えるでしょうか。 想像することに助けてもらい続けた人間が、想像することでもっと何かできないかなと考えています。なにを作れるか実験しながら失敗しながら…と思っています、お気づきのことがあったらどうぞ、お気軽に。

あしてあとれ

どこかで、あなたと出逢えるでしょうか。 想像することに助けてもらい続けた人間が、想像することでもっと何かできないかなと考えています。なにを作れるか実験しながら失敗しながら…と思っています、お気づきのことがあったらどうぞ、お気軽に。

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読みに来てくださったあなたへ

 あなたは、何に引かれてここまで来てくれたのでしょう。  今はおでかけ先ですか、お家でしょうか。  リラックスできていますか、片手間ですか。  書き手の私には分かりようのないこと。読んでくださるあなたへすべて放りなげて、私はこんなふうに自分が遊んで並べた文字をここに置いています。  ひとつ、試しに記事を書いてみて。正直、なるほど、と。なんだか悶々としました。  あんまりしんどい言葉を並べるのは自分が苦しいなぁと思いつつ、けれど結局触れてゆくのはそれら『痛み』を伴う事柄に

    • 言葉だけが歩き回って、やわらかさをブルトーザーみたいに引き潰していった

      とある特別企画、詩人と哲学者の対談をオンラインで視聴した。期待が高すぎたな、と片付けようとして…それだけでは終われない不全感の内側に、もっと根本的なこと、どうして自分がアカデミックな場で壊れてしまったのかという答えが出ないと思っていた問いに、パチリとパーツがハマった気がした。書いておく。 ほぼひとりごとです。 ◯ 言語に身体性がないの。 体が放って置かれている。ただの肉の塊みたいに。とても居心地が悪そうで、けれど誰もそれを口にはしない。字面だけがツルツルと空中を滑り、その

      • 私がこれを書けているのが

        自分の加害性を語ることの難しさについて考えていた。 例えばTNR手術を、自分が関わる猫たちに施したことについて。 加害性をどう語れるのか。それを考えて立ち尽くしていてそうしている間に夏の盛りが来て、 彼女がみるみる衰弱していった。 彼女は猫である。 名前はパピ。 職場の敷地内で生まれたにも関わらず、猫が『いてはいけないことになっている』当該敷地内において彼らは“侵入者”だった。 私が人生で初めてTNRをさせた猫だった。パピは。 兄弟姉妹のまとまりに、テキトーに呼びかけられた

        • 約束する

          ※身近な人物の生死にまつわることを扱う内容になります。  不安を感じた方は無理せず立ち去ってください。  読み進めたとしても、その先で不安になった時にはすぐに画面を閉じてください。  今回の記載はこれまで以上に切実に、作者の毒出しです。 私は、何かが再生するの見るのが好きでね。 いつからかはわからない、けれど圧倒的にそうだと気づいたのは成人して恋人と二人暮らし始めてから。 料理は全然得意じゃなくて、そもそも食べること自体がそう得意ではないから、食べることが大好きな森のクマ

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        読みに来てくださったあなたへ

          たなばたのよるに

          すべてのきれいな想い、美しい記憶は 利用される。 そう思っていてもいいと思う。 それでも、手放してはいけんのじゃ。 それこそが、 すべてのきれいな想い、美しい記憶を 彼らが屠る、理由なのだから。 すべてのきれいな想い美しい記憶を 葬いながら、その源泉がそれでも朽ちないことを『寿ぐ』ために進む。 源泉は朽ちない、どれだけこちらが 希望の息をいっそとめてしまおうと願っても。 朝日は昇る、鳥も虫も鳴く。 雲が移ろい、風が樹々を揺らし、 花々がわざとらしくも鮮やかにひらく。

          たなばたのよるに

          チクタクチクタクたゆまなく

          単二電池を買いました  恩師のお家から時計をいただいた。  彼の手を介すとすべてが愛おしいに変わる『愛着』という魔法によって、「文字盤も針も白いからよ。見えんわけさ」と持ち主にディスられた時計はめでたく我が家の家宝になった。年季物の、裏には『祝・新築』と金文字で書かれた時計。使用する電池が単二というのもなんとも味わい深い。 カチコチと、秒針に連動して絶え間なく揺れる飾り。カラクリ仕掛けというやつ…ゆらゆら揺れ続ける、遠くをゆく汽車の煙。手前にいる少年少女の振る虫捕り網と、

          チクタクチクタクたゆまなく

          その光の方へ

           『他人様(たにんさま)』。  近く遠く、知人と呼び得るくらいの方から気の置けない友人まで、私は時々彼らをそう呼ぶ。私の周りを彩るさまざまの人々。私の近況を、他人事に聴いて面白がってくれる人。そうやって、近づきすぎず遠ざかることなく、けれど想像を遥かに超えるあたたかさで、世界を見せてくれる人。  遠くの親戚より近くの他人、とはよく言うけれど、私のなかの「他人様』という概念、他人という存在は、明らかにそれ以上の価値を抱いている人々だ。あなたたちがいてこそ。あなたたちがいてこそ…

          自分を幸福にしておくことの、手綱をゆるめない

             6月なので、勝手に『トラウマサバイブ強化月間』なぞ心がけてみようかな、と思います。  なんで6月だとそうなるのかっていうと、加害親の命日が近いので、っていう理由です。傾向と対策。今後、トラウマに殺されることはおそらくないけれど、なるべく傷を深めたくもないので。立てときましょ、傾向と対策。  前の記事を書いたとき、もう少し丁寧に言語化しておきたかったことから、まずは書いてみます。  「自分を幸せにすることの手綱をゆるめない」ということについて。 問題は、ね。  

          自分を幸福にしておくことの、手綱をゆるめない

          この先が、あるよ

           私にとって加害者の死というのは無味乾燥な味わいだった。  けれどそれは始めだけだった。  ちなみにその時点で被害からは28年、被害の自覚を持ってからは15年が経過していた。  何の味わいも無かったというのはだからきっと事実ではない。それを味わう感覚をシャットダウンしていただけだろうとは思う。  ただ、その約30年を無為に過ごしてはいなかったおかげで、トリガーを避ける、安全地帯を死守する、危険地帯に入る前と安全地帯に戻る前のルートや行動を様式化して自分の心理的安全性を高

          この先が、あるよ

          彼女はこんぺいとう、針の入った

           深い池のようだった色の空が、ゆっくりとを彩度を上げてゆく。そうしてそこにいくつかの千切れ雲が浮かんでいるのが判ってくる。地上に近いほうから、さあっと薄く、筆で色水を掃いたように、淡くやわい虹の色が滲んで。  今年いちばんの空はそんな感じだった。  ショッピングモールのベージュブラウンの壁にもたれて、レンガ地の床面に新聞紙をひいて座っている私の左隣に、少し体の小さくなった叔父が。右隣には、年越しイベント勤務からのそのままここへきた流れ、ほとんど徹夜の我が脳みそには少し大き

          彼女はこんぺいとう、針の入った

          助けてくれたもの(食べる、こと)

          ※全体にわたって「食べる」ことについて書きます。不安を感じた時には、引き返してくださいね…  料理を愛する人を、尊敬して止みません。  あなたは、…食べることはお好きですか。  この問い自体が、ある種の暴力性を持っていることを知っています。なのであまり無邪気には問いかけられないのですが、けれど。  ただ、問うことを恐れすぎずに書いてみます。  食べることは、お好きですか。  食べることはつらいです、そういう答えも返ってくるはずでしょう。  しんどさの代名詞でもあ

          助けてくれたもの(食べる、こと)

          台所には、天使がいて

           本当はきっとずっと泣きたかった。  台所で、ひどい嗚咽がこぼれ出して、居間を挟んだむこうの応接間でゲームに興じていた彼が異常を察して駆け寄って来てくれて。  相手の分厚い胸に顔を埋めて泣いた。  本当はずっとこうして泣きたかった。  一人で台所に立つのが辛いのだ、怖いのだ、と…そんな滅茶苦茶な状態に自分があることを自覚した、二十四歳の春。  理解のある彼君。  彼はそう呼ばれるのに相応しい人物だった。性的虐待被害を自覚し、もう家には居られない、けれど行くあてがない。そ

          台所には、天使がいて

          違う世界があなたの瞳に映る、その瞬間へ。

          ※虐待体験に関わる描写がちょびっとございます。いやだなと思ったら無理はなさらず。  ちょっと先生について、書いてみよう。  ちょっと先生について、書いてみようと思う。  私がこの世界に根をおろす土台になってくれた、大切な人について。  彼は一体、私の何なのだろう?  シンプルに言えば、中学三年生の時の担任だった。以降も現在に至るまで、折につけささやかな交流をさせてくださる恩師。  けれどこういうふうにまとめると、彼について何にも書いていないことになる。  書きたいの

          違う世界があなたの瞳に映る、その瞬間へ。

          花の名

           花の名前のなかに、あのひとをみる。  雨あがり、鈍色に光る車道脇、白く光るあれは。 「ぁ、車輪梅がきれい」  呟いてから、気づく。  今の一言はいつか、あのひとが呟いた言葉。  運転席の呟きを、助手席で聞いた。  花の図鑑を真面目に開いたことはない。だから私の知る花の名前は、その多くが、つまり、あのひとから教わったものだ。きっと教えるつもりもなく、ただ無邪気に、あのひとが傍で呟き続けた感嘆と、その花の色。  シャリンバイ。フヨウ、コデマリ、イジュ、…チガヤ。  「母

          助けてくれたもの (もう。いいんだよ。)

          もう。いいんだよ。  解離が始まるなあ、という前兆、なにかお持ちでしょうか。  それが分かっているとちょっと楽ですよね、あー、「楽」ていうのは語弊があるかしら、「マシ」?  私は…最近は逆によく分からなくなってきました。気がついたら、「お、ちょっと…離れてるな」と思う。怪我しないように、変な事しないように、安心安全にさせなきゃな。と思ってちょっと小さく過ごします。  不安なんだね、何がいやだったんかなぁ。そう呟いて、とりあえず自分で自分をひとりぼっちにしないようにする…

          助けてくれたもの (もう。いいんだよ。)

          ただ、両想いなだけだった。

           猫の日に、犬を拾った。仕事帰りの通勤路で。  その背に触れた、ただその一瞬で、棄てられたのではと想像させる犬だった。  脂で固くなった体毛、ムーンストーンのように白く光る瞳。首輪はない。けれど首輪のあったあとを示すように、首回りだけは毛が短い。  ケアが足りていない容貌。けれど雑草や泥などの汚れは一切ないその様子から…長く放浪してきたわけではないことが察せられた。そして、歩きながらよろめく後脚、音にも光にも匂いにも鈍い反応…これから長い放浪も不可能だろうという事も、予想

          ただ、両想いなだけだった。