無意識に人を傷つけないために 心がけポイント①②
はじめに
みなさんは、「2次加害」や「セカンドレイプ」、「セカンドハラスメント」、または欧米でよく使われている「victim blaming (被害者非難) 」という言葉を聞いたことはありますか?
これらの言葉は、サバイバー(性暴力被害者)が性暴力被害のあとに、周囲の人からさらに受ける言葉や態度などによる暴力のことをいいます。
性暴力は、望まない性的なことすべてを含みます。電車で痴漢にあったり、嫌だと言っているにも関わらずパートナーから無理に性的な行為を迫られたり。同意のない性的な行為はすべて性暴力です。また、性暴力の被害にあったことのある人を、困難と戦った人と称してサバイバーと呼ぶことがあります。性暴力被害にあった人たちの中でも、自分のことを被害者と呼んでほしいか、サバイバーと読んでほしいかは人それぞれなので、ここではサバイバーと性暴力被害者を併記します。
サバイバー(性暴力被害者)は被害を知った他の人から、「あなたにも原因がある」と責められたり、被害を信じてもらえなかったりして、さらに傷つくことがあります。また嫌がらせや、性被害を思い出させるような言葉で精神的に苦しむこともあります。
日本では「セカンドレイプ」と呼ばれることが多いのですが、「レイプ」という言葉を含むため、レイプの後の被害のことを指すものだと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらの被害は、痴漢や、覗き、セクハラなど、さまざまな被害の後に発生します。
実は、2次加害・被害者非難は、ドラマや映画、漫画などに溢れています。それらの言葉は私たちの記憶に焼きつき、サバイバー(性暴力被害者)をサポートする言葉よりも、2次加害に当たる言葉をとっさに言ってしまい、意に反して大切な人を傷つけてしまったというケースも多いのです。
それでは、もし、友人や家族から、性暴力被害を打ち明けられたらどうすれば良いでしょうか?一番大切なことは、勇気を出して打ち明けてくれたことを認めること、相手を信じること、否定したり軽んじたりしないこと、そして決めつけないことです。
気づかないうちに被害者非難をしないよう、よくある発言例から思いやりのある接し方を考えていきましょう。
心がけポイント① 「打ち明けてくれてありがとう」
日本では、性的被害についての情報が少なく、被害を伝えても疑われ、責められる状況が多いようです。嘘だと言われがちな性被害の告白ですが、さて、性被害が嘘である可能性はそんなに多いのでしょうか?
私たちはそうは思いません。セクハラを告発・相談する人は、仕事を失ったり、2次加害にあうかもしれないのです。多くの被害者はどうして被害にあってしまったのか、悩み苦しみながら打ち明けています。リスクや苦しみをおってまで、わざわざ嘘を言うでしょうか。性暴力被害の告白を嘘だと疑うことは、被害者を傷つけます。
また、どんな立派な行いをしていても、どんなに教養があっても、裏で性暴力をおこなっている人はいます。家庭があって真面目に仕事をしていても、性暴力をしている人はいます。加害者がどんな人間かは、第三者にはわかりません。
まずは、私たちが被害の訴えに耳を傾けること。「打ち明けてくれてありがとう」と受け止めることで、性被害を打ち明けやすい社会になるのではないでしょうか?
もし、あなたが、このような2次加害にあったらどうしたら良いのでしょうか。2次加害は、暴力です。我慢したり、かわす必要はありません。みんなで被害を打ち明けやすい空気を作り、サバイバー(性暴力被害者)を孤立させない社会を作りましょう。
心がけポイント② 本人にしかわからない苦しみがある
性被害はサバイバー(性暴力被害者)の心に大きな傷を残します。他者の心の傷を他人が小さい、大きいと決めつけることはできません。
「望まない性的な行為」の「望まない」範囲を他者が口出しするものではありません。自分の身体は自分のものです。自分の尊厳を守る境界線は自分の不快であるという感覚で決めていいのです。本番行為がなくとも、子供がするようなスカートめくりやカンチョウであっても、どんな性被害も心に傷を残します。
性暴力被害は一生忘れられないものです。忘れたくても、何年もPTSDに悩まされる被害者の方は多くいます。被害を忘れて、性暴力被害の経験に振り回されずに自分の人生を生きたいのは、他でもないサバイバー(性暴力被害者)自身ではないでしょうか?
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これからも「心がけポイント」をたくさん紹介していきます。続きもお楽しみに!
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