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vo.2:一日中、笑顔で過ごせるカフェ

日曜の朝。

相変わらずの猛暑の中、ベビーカーを押しながら、坂を上がる。


もう少しで11時。
早めのお昼ごはんである。

1歳9か月の娘は、前髪をべったりと額にはりつけたまま、ベビーカーで眠っている。

うん。予想通り。


コーヒーチェーンのロゴが目に入ったあたりで、ふんわりとパンの焼けるにおい。

目指すお店が、もうすぐそこだ。

テラスで待っている人、人、人。
想像を絶する行列に、一瞬立ち尽くす。

整理券の発券機の前に立つ。

49組待ち。

よ、よんじゅう・・・。


人気店といえど、カフェで49組待ち・・・

いや、でもこれも想定内。
(2時間くらいかかるかな・・・となんとなく計算しておく。50番目の私たちの番が来るまでの過ごし方も、すでに計画済みである。)


はたして、2時間後。

無事、ベビーカーのまま入店。
(順番待ちの間、2駅となりにある東京ドームシティー内の屋内型キッズ施設「アソボーノ」で遊んでいたので、娘も適度に疲れてているものの、ニコニコとご機嫌)


入ってすぐの右手のショーケースには、美しい焼き色のパンたち。

まずクロワッサンが目に入った。
媚びない凛とした顔。

ジュエリーのようにフルーツがギュッと詰まった、フルーツブレッドも気になる。


店内のテーブル席はさほど多くなく、テーブル同士も子連れでなくとも恐縮するほどの距離感。

テキパキと店員さんに案内していただき、もともとあった椅子を1客はずしていただいて、ベビーカーをそこにつけさせてもらった。

オーダーは、テーブルにあるQRコードで。
ショーケースの中のパンも店内で食べて良いそうなので、娘用にクロワッサンを買う。


スタンプしても隠し切れない娘の嬉しそうな顔


このクロワッサン。
パリっとしているけれど、デニッシュみたいにハラハラと層が落ちるタイプではなく、しっとり。
ぎゅーっと噛むと、小麦の甘さ。

うまく言えないけど、ちゃんと食事になる味。

看板商品のフレンチトースト

そして、私の頼んだフレンチトースト。

ブリオッシュを使っているので、フワッフワ。
フォークどころか、スプーンで切れる軽さと歯切れの良さ。

そして口に入れた途端、シュワッと溶ける。

でも、儚さではなく。
ちゃんと口に残るおいしい余韻。


フレンチトーストにしたからフワフワなのではなく、パン自体がとにかくフワフワでしゅわしゅわなんだと思う。

その柔らかさは頼りなさではなく、逆にパンの力強さというか。

「ブリオッシュたるもの」という気概すら感じる。


上にのっている塩ホイップクリームも、パンと一緒に溶ける。

そのほのかな塩味が、フレンチトーストの卵感にめちゃくちゃよく合う。


フレンチトーストって、残ったパンの救済方法じゃないんだ!
おいしいものとおいしくなる方法を組み合わせた、立派な一皿。


もちろん娘にも大ヒットで。

一口食べるなり。

「これ!(食べたい、と指さす)」


自分の顔くらいある大きなクロワッサンをほぼ完食したにも関わらず、フレンチトーストも半分くらい食べた。


おいしくて、楽しくて。

娘と顔を見合わせて、「おいしいねー」と言い合う時間が嬉しい。


まだ2歳にならない娘にとって、食事は栄養バランスがとても大切。

主食+たんぱく質+ビタミン(野菜や果物)

となんとなく思っていて、毎食そう心掛けてはいる。つもり。

でも、あくまでも「つもり」

娘にも気分があるし、昨日大好きだったものでも、今日は食べたくないという時もある。

私も頑張れない時もある。多々・・


食事の楽しさ。

と簡単に言うけど、「会話のコミュニケーション」とか「家族そろって」とか縛られすぎなくても良いじゃないか。


張り切って、品数多く作る日もあって。
休みの日の一食は、外食に頼ることもあって。

お腹がそんなに空いてなかったら、無理して食べなくても。



笑顔でいられるために食事は大事。

そのためには「こうでなきゃ」は、気にしなくても良い。


オールデイダイニングとは。

1日中、笑顔で過ごせる。
「こうあらねば」の枠なんてない、自由なカフェ。


☆パン旅エッセイを記録する「パン旅ノート」☆

今回のお店は「No4(ナンバーフォー)」(東京・千代田区)
カフェでもレストランでもベーカリーでもない。朝から晩まで「ハンドクラフト」を楽しめる空間。
オールデイダイニングならぬオールデイハンドクラフト。
自分の生活時間に合わせて、食べたいものを食べられる。
そして、圧倒的なパンのおいしさが何よりの魅力。


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