ヤングケアラーの年齢とともに変わるケアのかたち
メディアに取り上げられるようになって
「ヤングケアラー」が社会的な関心を集めることで
透明だった存在が浮かび上がってきました
日々、活動する中で、
「ヤングケアラーって何ですか」?
と聞かれることが多くなりました
言葉は知っているけれど、
その言葉の意味や、具体的にどのような人たちが
どのような困難に直面しているのか、
実際のところはまだ多くの人にとって
当事者や支援者以外ではあまり実感がわかないものです
ヤングケアラーとその現状
ヤングケアラーとは、家族の介護や日常生活の世話を行う子ども・若者のことを指します。【子ども・若者育成支援推進法】こども家庭庁より
イギリスでは「Young Carer」として、既に広く知られており、
日本においてもその支援の重要性が増しています。
2024年6月に改正された「子ども・若者育成支援推進法」によれば、
「こども期(18歳未満)に加え、進学や就職の選択など、
自立に向けた重要な移行期を含む若者期を切れ目なく支えるという
観点からおおむね30歳未満を中心としているが、
状況等に応じ、40歳未満の者も対象となり得る。」
とされており、支援の対象が拡大されました。
ヤングケアラーが行うケアには、身体的な介助だけでなく、病気や障害、精神疾患を持つ家族のメンタルサポートや、幼いきょうだいの世話、通訳など、多岐にわたります。
しかし、メディアで取り上げられるのは主に
「介護をしている子ども」といったイメージが強く、
そのため、そのような介護に該当しないケースでは、
自分をヤングケアラーと認識できない子どもたちも多くいます。
ケアはグラデーションがあって、上にあげたケアがまじりあっています。
100人のケアラーいれば100通りのケアが存在します
例えば、私の場合、母の介護があった時は
家事と障害を持っている弟の身体のケア
母の看病、精神的なケアが重なっていました
ヤングケアラーが抱える問題
ヤングケアラーの子どもたちは、学校生活や友人関係、家族とのかかわり方将来の進路選択といった日常のさまざまな場面で
家族のケアと向き合いながら生活しています。
私は、「ケア」はお手伝いと違って責任が伴うどうかと考えています
ケアは命と向き合うこと
子どもにとっては、大きな負担になります。
介護の専門家でも知識も持ち合わせていない中で
これに伴う責任感は非常に大きく、精神的なプレッシャーを
日々感じながら生活しています。
例えば、「介護が終わることを考えると、
それは介護をしている相手の死を望んでいることになる」
と感じるなど、複雑な感情を抱えています。
また、「かわいそうな子ども」
「頑張っている子ども」という見方をされることに対しても、
違和感を感じることがあります。
ケアがある中で困りごとがあって、
どうしたらいいかわからないことが多くある状態です。
これは、私自身も支援活動をしている中で
発信の在り方やケアとは何かを丁寧に
伝えていくことを心がけています。
ケアはどの年代にもあるから
実際に私のような障害者があるきょうだいは、
生涯にわたって介護があります。
それに加えて、年代が上がるにつれて
ケアの在り方も変わってきます
仕事と介護の両立、結婚した場合は、
育児、新たな介護が加わり負担が増します。
「家族の介護=家族がやるもの」?
仕事を辞めて時間を作って介護をすることは、よいことと見られがちです。
ですが、いつ終わりが来るかわからない介護だからこそ
介護する人たちが全てのことを犠牲にしても頑張ろうではなく
社会から孤立することなく
ケアラー自身が選択肢を持ち、支援を受ける権利があることを社会全体で認識する必要があります。
ケアをするということは自分の時間を犠牲にして家族のために過ごす時間が多いということ。
いろいろとあきらめてしまうのは、生きる力が弱まってしまいます。
私が目指すのは
サポートを活用しながら、ヤングケアラー自身も経済的・精神的に自立し、
働きたいのに働けない、または仕事とケアの両立に悩むことなく、自分の人生を楽しみ生きられる社会です。
ヤングケアラーを一括りにするのではなく、彼らの多様な価値観や考え方を尊重しながら、選ぶ楽しさを提供する社会です。