震災で考えるリーダー像
全体最適か個別最適か
能登の地震で有志のボランティアが殺到して渋滞が発生しているという報道があります。現地では寒い中避難生活を余儀なくされていたり孤立集落に物資も届かない状態です。有志ボランティアの方は居ても立ってもいられず震災後間も無く車1台で現地に向かったと聞きました。すごい行動力と正義感で私にはとても真似できないのですごいと思います。
一方でその車1台分の物資が届いた人にとっては有難いですが、それ以外の被災者の救助や物資運搬の妨げになっている可能性も考えなければなりません。個別最適を優先すると全体最適が難しくなるということだと思います。
これをプロジェクトの炎上案件に当てはめると、リーダが手を動かし火消し対応をしているとメンバーに的確な指示が行き届かず、現場は混乱するかもしれません。有事の時はリーダーが個別最適を図り手を動かすということは避けた方がいいのでしょう。
有事の際には、全体俯瞰し指示を出しながら「ここぞ」というタイミングで動くのがリーダーであると思います。これは1/2に起きた日航機と海保の飛行機事故で、日航機CAが冷静に乗客をリードしたから乗客全員を救うことができたということも同じことが言えます。
有事と平時のスタンス
このように有事の際は、全員が同じ方向を向かなければなりません。トラブル解消、命を最優先にやるわけです。この場合は全体最適を考え、状況判断をすることがリーダーの役割だと思います。戦後復興、高度経済成長も日本が同じ方向を向いていたから経済大国になったように、有事の際に一丸となったリーダーシップは日本人の特長かもしれません。
一方で、平時の時に全体最適ばかり追い求めると振り落とされる人も出てくると思います。DX、デジタル推進の文脈でも全社DXを掲げて全体最適を目指しますが、追いつかない現場や使いこなせない年配の方もいます。先に進んでいるところは賞賛され、遅れているところは「おまえ達も見習え」と言われ、最悪の場合嫌になって辞めてしまいます。
個の時代と言われる中どのように全体最適に持って行けば良いのか?経営層が「何十年に一度の変革期」と危機感を煽るのも「有事だから皆で一つの方向を向こうよ。それで危機を乗り越えようよ。」と言うことで一つの空気感を作り出すことでリーダーシップを発揮してるのかもしれません。一方現場にとって有事とは設備や生産が停まることで、DXは平時ににやるものだという意識は少なからずともあり食い違いも発生するのだと思います。
このように平時(だと思っている)時にいくら全体最適だけを目指しても食い違いや格差が生じていくと思うので、有事に備え各々が準備する事が大事だと思います。自身を高めるための場を提供したり、個に寄り添っていくのが平時のリーダーシップのスタンスで、状況に応じてそれは違うのだなと考えてます。
やっぱりバランス
有事は全体最適を図り、平時は個人に寄り添いながら有事に力が発揮できるように備える。そのために徐々に全体最適化できるようにしておく。今の時代のリーダーは状況を見極める能力と結局は個別と全体のバランスが大事なんだな。