銀行のサイレント利上げに気づけ
日銀が追加の利上げを決めたことを受けて、国内の大手銀行の間で住宅ローンなどの金利の基準となる「短期プライムレート」を引き上げる動きが広がっています。
日銀は7月31日の金融政策決定会合で、今年3月のマイナス金利の解除に続く追加の利上げに踏み切り、政策金利を0.25%程度に引き上げることを決めました。
これを受けて、大手銀行のうち三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行は、来月2日から短期の貸し出し金利の基準となる「短期プライムレート」を年1.475%から年1.625%に引き上げると発表しました。
目安は+0.15%です。
この大手銀行の決定を受けて、地銀や信用金庫でも変動金利を+0.15%上げることになりました。
実際に先日、お客様のところに訪問した際に、某信用金庫の返済予定表が届いていて、よく見てみると金利が0.8%から0.95%にしれっと改定されていました。
私はこれを、サイレント利上げと呼んでいます。
そのお客様は大地主の方で、信用金庫から借りている金額も6億円に上ります。信用金庫にとって6億円の貸出先は超VIP待遇となります。その先に対しても、何の通告もなく金利を上げてきているのですから、金融機関としては今回の金利引き上げは相当本気だということですね。仕入が上がっているわけですから売値も上げてくるのは当然の判断ですが。
後日、担当者が慌てて謝罪に来て「返済予定表は本部から自動的に送付される仕組みになっていて、支店担当者は今一斉にその調整にかけ回っているところでして。。。」とのことでしたが、どうなんでしょうかね。全件対応できるわけではないので、本音の部分では、一斉に通知を出してしまって、反応があったところだけ調整するという腹なのかもしれません。
ただ、冷静さが大切です。
直線本能を捨てよう
まず1つ目は「物事は永遠に続くという先入観を捨てる」ということです。短プラがこれほどの低水準で2000年よりも前から20年以上にわたり動いていないから、変動しないことに慣れてしまいましたが、経済が回っている以上そんなことはそもそもあり得ないのです。
GDPが永遠に右肩上がりに伸び続けていくなんて夢物語を見ている時代はとうに終わっているわけです。人間は、しばらくその環境が続くと、勝手に「永遠に手に入れた」なんて思いこむ習慣がありますが、これを捨てないといけない。
こちらのグラフをご覧ください。
短期プライムレートの過去の推移です。
このようなグラフを見ると、人間はこの先の予測を立てるときに「直線はこれからも永遠に続く」という錯覚に陥ります。
これを「直線本能」と言います。(「FACTFULUNESS」日経BP ハンス・ロスリング著)
次に、世界の人口の推移を見てみましょう。
こんなグラフを見てしまうと、あたかも人類は1900年あたりから、ひたすらに人口を伸ばし続けて、これからもとんでもない勢いで人口が増えていくような”錯覚”に陥ります。
私たちは、まず一度立ち止まって、この直線本能で動いてしまっている自分の脳をリセットさせる必要があります。
永遠などない。この流れもいずれ変わるという、冷静に考えれば、至極当たり前の考えを取り戻しましょう。
比較対象を間違えるな
2つ目は、たかが+0.15%ということです。
0と0.15%で比較するから大きく感じてしまいますが、大した話ではありません。
今まで1.0%の金利だった方が、1.15%という金利を見ると、あたかも15%も増えたという錯覚に陥ってしまいます。
しかし、6億円借りているお客様で言っても、年間金利負担増加は90万円に過ぎない。6億円以上の事業において90万円など気にする金額ではありません。
利益率が0.15%下がった程度の話です。
住宅ローンを借りている人も、これを機に「繰り上げ返済してしまおうか」と言う方も多いと思いますが、例えば3000万円の借入額の方でも年間返済増加額は45000円です。月3750円です。
住宅ローンは繰上返済するな
そのまま派生して3つ目の話をすると、借入金を返済するというのは「その返済額相当の投資をする」ということと同義です。
仮に3000万円の残債が残る金利0.8%の住宅ローンを一括返済するということは「3000万円の利回り0.8%の投資商品を買う」と同じことです。
不思議なもので、住宅ローンの0.8%は低いと感じながら、0.8%の投資商品なんて魅力を感じませんよね。
とすると、やはり住宅ローンの一括返済や、事業融資の一括返済はあまりお勧めしません。
いずれにしても、この物価や金利上昇局面において、日本円一本で事業または生活をしていこうと考えているのはリスクと言えます。ドルや他金融資産などに適切に資産を振り分けていくことが、これからはとても重要になりますね。
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