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〈震える弱いアンテナ〉とともに

朝日新聞の天声人語に、新成人に向けて茨木のり子さんの『汲む』が紹介されていた。
 
最後の一文、

「やわらかい」心の中には、いつも「わかい」が隠れている。

2025年1月13日(月)朝日新聞「天声人語」

に胸がぽっと温かくなった。

やわらかい、は、わかい、かぁ

 
心が苦しい時、いつまでも成長しない自分が情けなくて落ち込む時、泣きたくなる夜、
私は茨木のり子さんの詩『汲むーY・Yにー』を開く。
 

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外に向かってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・

茨木のり子「汲む―Y・Yにー」から抜粋(『おんなのことば』童話社)

私は私のままでいいんだ、と支えてくれる言葉。
 
どぎまぎして、
恥ずかしくて、
傷ついて、
 
そんな自分もいいんだよ、
自分を偽り背伸びしなくていいんだよ、
 
そんなふうに力づけてくれる、言葉たち。


 いつも頁を開くと茨木のり子さんに会える。

背筋がすっと伸びる。


一歩、一歩、進もう。
 


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