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ソムタムの思い出

今日はタイ料理のソムタムの思い出について、書いておこうと思う。

ソムタムとは熟していないパパイヤをささがきにしたものに、刻んだインゲン、トマト、ピーナッツ、干し海老などを加え、ナンプラー、ニンニク、ライム、砂糖、唐辛子などで味付けしたタイ風サラダのこと。

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↑ソムタムタイ

ただサラダといっても、味はしっかりついているし、しんなりしているし、どちらかと言うと酢の物と言ったほうが感覚的に近いかなと、僕は密かに思っていた。

上記の材料を使ったものが「ソムタムタイ」と呼ばれる最もオーソドックスなもので、他にも小さいカニが入ったものなどソムタムにも様々な種類がある。

辛い、酸っぱい、甘い、しょっぱいが融合した味付けにまず感動し、さらにパパイヤのシャキシャキ感、トマトのフニャフニャ感、インゲンのカリカリ感と3種のオノマトペの融合にさらに感動する。干し海老やナンプラーから魚介の香りも食欲を増進させる。

そんな美味しいソムタムなんだけれど、タイ人が食べるソムタムは辛い。これが日本人の感覚だと
単なる「辛い」ではなく、「超激辛」なのである。

僕はこの超激辛のソムタムを食べることは難しかったので、いつもソムタム売りのおばちゃんに
「辛くしないで」とか「唐辛子をあまり入れないで」とお願いしていた。

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↑ソムタム売りのおばちゃん

これで辛すぎないソムタムを味わえると安心したら大間違い。「超激辛」から「激辛」に変わったくらいなのだ。

これはなぜかと言うと、一つ目の理由がタイ人の「ちょっと」は僕たちが思っている「ちょっと」の5倍くらいだから。

「唐辛子をあまり入れないで」なんて曖昧な注文をしても意味がない。国が違えば「ちょっと」とか「あまり」の概念も変わるのだ。

だから「本当にすこーーーーーしだけでいいです!」と顔で「少し」を体現することが適度な辛さのソムタムを食べるコツと言えると思っている。

しかしこのように「少し」の強調というスペシャルスキルを駆使してもまだ激辛である時がある。
それはなぜか。

ソムタムを作るときに使う鉢の中に、前回作った時に入れた唐辛子が残っているからだ。鉢の底や内側の側面に唐辛子のかすがたくさんこびりついているのだろう。それが例のスペシャルスキルの効力をかき消してしまうのである。

だからどうしても辛いのが苦手な人は作る前に一度鉢を水洗いしてもらうしかないと思う。僕はそこまでしてもらったことはないが辛いのが苦手なタイ人はそうしてもらっているようだ。

このようないくつもの障壁を乗り超えて入手できた自分好みのソムタムは本当においしい。面倒臭い注文を色々と聞いてくれたおばちゃんに感謝だ。

その味以外に店でのコミカルなやりとりも忘れられないのが僕にとってのソムタムの思い出だ。

2020年8月5日

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