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『沢村忠に真空を飛ばせた男 ―昭和のプロモーター・野口修 評伝―』 細田昌志 を読むための参考に

細田昌志著『沢村忠に真空を飛ばせた男 ―昭和のプロモーター・野口修 評伝―』を読んだ。とても読み応えのある本だった。本書の前半部分、野口修の父親 野口進の章が、後に重要な鍵になってくるのであるが、登場人物が多く読み進めるのに苦労した。私みたいな人のために、ちょっとした図を作ってみた。

この本を読もうと思ったきっかけは、水道橋博士のYoutubeで紹介していたのを見たからだった。そこで私が興味を持ったのは、キックボクシングが生まれたきっかけの裏にあった右翼団体「愛国社」の人脈や右翼の大物である児玉誉士夫の存在、つまり裏社会と関係が詳細に書かれていると言っていたからだ。最近でも、PRIDEやRIZINなどの格闘技興行と反社会的勢力の関係は時々ニュースになる。私の感覚だと、格闘技興行と裏社会は、なんとなく関係があって当たり前という認識と現代では時代遅れだという認識とがぼんやりとある。そんなぼんやりとした感覚をもう少し明確な理解にしたい。そんな欲求がこの本を読んでみたくなった理由だ。

<前半>
この本の前半部分を占める、父親 野口進の周りの出来事の記述には、そのへんの話が詳細に書かれている。繰り返しになるが、この部分は後半の野口修の歴史において重要な影響をもたらす。作品中でも安部譲二氏の言葉として、

「野口修を書くということは、野口家について書くということです。そこに触れないと意味がない。あなたは、そのことを判っていますか」
本書中の安部譲二の言葉より引用

と書かれている。なので深く理解して読み進みたいのだが、この野口進の個人史が複雑だ。まず登場人物が多い。若槻礼次郎襲撃という歴史的事件を起こしているため、その事件の背後にいる人々が大勢いる。また、これは野口進が立派だった証明なのかもだが、野口進のボクシングジムに出入りしていた人々が、現在のボクシング界においての大物ばかりだ。さらに、その活動範囲も日本のみならず、中国まで広がっている。この中国行きの際には、あの児玉誉士夫も関わってくる。このような複雑な人間関係を把握しながら読み進むのは結構骨が折れる。なので私が作った相関図が多少の参考になればと思う。

野口進 相関図

<中盤>
そして、中盤から野口進の経歴に入っていく。そこからは、キックボクシングという興行がどのように生まれて、どのように大きくなって行ったかということが詳細に語られていく。その際に私が気になったのは時間だ。どの位のスピード感でキックボクシングが一般に認知されていったのか?人気が出たのか?もちろん読んだだけで感じ取れる人もいるだろうが、私は並べてみないと感覚的に理解出来ないタチなので、ちょっとした年表を作ってみた。こちらも参考になればと思う。

キックボクシング黎明期 野口修の実績

<後半>
そして後半は、野口進の芸能界での話しに移っていく。後半はものすごい快進撃と墜落撃が待っているが、是非本書を読んで確認して欲しいと思う。

以上、もし読むのを迷っている方、読み辛いと思ってる方の参考になればと思う。




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