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時には特別な言葉になる。

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貴方とはいろんなことがしっくりくる。
この時をずっと"待ってた"
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寝る前、恋人と電話している時にふとこんなことを言われた。この言葉を聞いた瞬間、私は鳥肌が立ち、隣に居るはずがない恋人の存在を側で感じた。そして、優しくぎゅっと抱きしめてくれるような、温かくて深い何かを感じた。心の奥底にある何かが共鳴した。

“待ってた"

日常にありふれた言葉だと思うが、その時の私は違った。恋人から発せられたこの言葉でこんなにも心が震えることがあるのかと、寝る前でうとうとしながらも衝撃を受けたこと、そして、一言では説明できない温かい想いが溢れたことを覚えている。これを愛と呼ぶのか。

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同じ言葉(たとえば夫が妻に言う「愛してるよ」)でも、言い方によって、陳腐なセリフにも、特別な意味をもった言葉にもなりうる。その言い方は、何気なく発した言葉が人間存在のどれくらい深い領域から出てきたかによって決まる。そして驚くべき合致によって、その言葉はそれを聞く者の同じ領域に届く。それで聞き手に多少の洞察力があれば、その言葉がどれほどの重みをもっているかを見極めることができる。

愛するということ

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いつも思ったことを言葉にしてくれる恋人だからこそ、どんな背景があって、どんな想いでその言葉が発せられたのか、その言葉にどれほどの重みがあるのかよく分かる。

そして、恋人と同様、私も待っていたのだ。

周りの同年代の子たちが、次々と結婚や子育てのフェーズに移り、焦りたくなくても、気にしたくなくても考えてしまう。昨今ではマッチングアプリも主流になり、恋人を作ろうと思えば、簡単に作れてしまうのかもしれないが、私にはできなかった。そんな、見せかけの恋人はいらなかった。(勿論ちゃんと真面目に関係性を築き上げている人もいるだろうが。)
相手のことを気になって、知って、好きになって、付き合うというプロセスを大事にしたかった。私の全てを共有できるような人を探していた。だから待っていた。白馬の王子様とまでは言わないが、しっくりくる人を待っていた。

そして今、恋人にしたいなと思った人が私の恋人になっている。

お互い待っていた。だから、あのとき恋人から発せられた言葉に私の心が共鳴したんだ。

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