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一度は諦めた一人でのお出かけ。あしらせで叶えた小さなルーティンがもたらした変化

みなさん、こんにちは。この記事では、あしらせを実際に使用いただいているユーザーさんへのインタビューをお届けします。

今回のインタビュー対象者は、新潟にお住まいのBさん。

生まれたときから弱視で、その後徐々に光を失っていき、お住まいの環境の変化などから1人で出歩くことを諦めかけていたBさん。
そんなBさんに当時の心境やあしらせとの出会いや行動と気持ちの変化についてお伺いしました。

1人で歩くことを諦めてしまっている。
でも、本当は出来たらいいなと思っている。

そのような方の後押しになるような内容です。是非ご覧ください。こちらのインタビューはBさんの許可をいただいています。

視えない中での生活の模索

インタビューを受けるBさんの後ろ姿と弊社香山
インタビューを受けるBさん(手前)と弊社香山(奥)

ー本日はよろしくお願いいたします。初めに、Bさんの見え方についてお伺いできますでしょうか?

生まれつき片方の目は光を捉えることができるだけ、もう片方は視力が0.01程度の見え方でした。
学生の時は、一番前の席でも黒板が見えないくらいでした。
外出するときは、いつも人の後ろにくっついて歩いていました。ビルや商店街にある目の高さにある看板はかろうじて見えるものの、もっと高いところにある看板は全く見えず、どこに何の建物があるのか分からなかったからです。

ーその後の変化について教えていただけますか?

中学生になるちょっと前くらいから、視力がそこからさらにガタンと落ちました。そうなると、昼間は道路の白線を、夜は街灯を何とか確認して歩くしかありませんでした。
そこからどんどん視力が悪くなって、次第にけがをすることも増えてきました。何かにぶつかってしまったり、下水に落ちてしまったり。。。本当、たんこぶとお友達って感じでした。

ー白杖歩行を始めたのはその頃からですか?

いや、その時は白杖を使う決心がなかなかつかなくて、使っていませんでした。なんとかやりくりしていたんですが、それに耐えることができなくなったのが20歳ぐらいの時です。
その時は、夜に学校から帰るときにカバンから白杖を取り出して、家が近づいてきたらしまう、というような生活を送っていました。
学校を卒業してからは、親元を離れて一人暮らしを始めたため、通勤や帰省の時に白杖を使って歩くようになりました。
それから25歳くらいには、もうほとんど何も見えなくなってしまいました。以前は、夕方ごろに建物の屋根と空の境目辺りだったり、夜の電気で光っている看板とかが見えていて、それを目印で歩いていたのですが、見えなくなりました。

ー親御さんは1人暮らしされることについて、とても心配したんじゃないですか?

どうだったんでしょう・・・。心配してたのかもしれないですね。両親には目が見えない生活というのが、なかなか想像つかなかったようでした。
危ないからなるべく出かけないでほしい、という感じでしたので、自分で自分のスタイルを見つけなきゃなと思って、1人で家を出ることを決めました。

ーその時に支えてくださった方はいたのでしょうか?

職場の人たちにずいぶん助けていただきました。先輩たちの背中を見ながら模索してきました。一人暮らしで生活されている方もいたので「やっていけないことはないだろう」という気持ちになれたのだと思います。

ー一人暮らしを始めて、特に大変に感じたことなど何かありましたか?

買い物、ですかね。
当時、職場の近くに商店街があって、そこを通って通勤していたのですが、途中そこのお店に寄って買い物したりしていたんですね。ただ、1人で買い物するのは難しくて、でも最初のうちは「お手伝いしてください」と頼むのもなかなか言い出せずにいました。
大きな店舗だと店員さんを探すこともできないので、小さな店舗をちょっとずつ回って店員さんに聞きながら買い物をしたり、時々職場の人と一緒に行ってもらったりしていましたね。特に最初のうちはスムーズにいかず大変でした。

ー当時はお出かけはされていたんでしょうか?その際にお困りの事とか何かありましたか?

その頃は白杖を使って歩くことが、「意外と楽しい部分もあるな」と思い始めた時期だったんですね。道を人に尋ねて記憶して、歩道や道のヘリを確認しながら歩いていけば、結構いろんなところに行けたんです。
美容院へ行くときに、美容師さんから町のどこにどんな建物があるとか、その隣にあるのはどんなものとか、色々聞いてイメージを膨らませていました。

ー白杖歩行については何か訓練などされていたんですか?

白杖歩行のポイントみたいなものを簡単に習って、あとは、ほぼ我流でやっていました。
ただ、当時は職場の近くの市街地に住んでいたんですけど、そこから郊外に引っ越したんですね。実は、郊外の住宅地に住むのはその時が初めてで、そこでの生活の難易度が高くて。
それを機会に歩行訓練を受けたりもしました。

引越しに伴う外出の難易度と、それに伴う心境の変化


ー郊外での暮らしはどのような点が難しかったのでしょうか?

例えばちょっと広い空間みたいなものが結構あるんですが、それが駐車場なのか、道路なのか、別の何かなのかというのが全く分からなかったんですね。
当時はタクシーで帰ってくるときも、正しい道を伝えることができなくて。何度か誘導できずにいたので、家に着いた後タクシーの運転手さんに「どういう風に伝えたらいいですか?」と聞いたんです。そうすると、「交差点を過ぎたら何もないところを右に曲がって、というと分かりますよ」と言われたんです。
その時に、「あ、何もないのか・・・」って。そういう場所が結構多くて、1人で出歩くことはどんどん減ってしまいました。

ー環境が変化して、歩くことの難易度が変わったんですね。気持ちの変化もありましたか?

そうですね。なんていうんでしょう・・・。
歩くことへの恐怖心というか、プレッシャーというか、気持ち的にはすごく波があって、沈んでいた時には外には出かけにくくなっていきましたね。

ーあしらせを購入いただいたのは2023年の3月でしたが、その時のご心境はどうでしたか?

その時はまさにって感じで、歩くことについてはとても消極的になっていた時期でした。1人で歩くことはもうやめようっていうか。実際にもう1人で歩くことはなくなっていたんですね。6,7年前からでしょうか。
1人で出かけるんじゃなくて、どなたかにお願いして自宅から一緒に出掛けるとか、家族と一緒に出掛けるとか。
もうこれからは自分はそうしていこう。そう思っていました。

あしらせとの出会い

Bさんがあしらせアプリを操作している後ろ姿
あしらせを使うBさん。当初芽生えた好奇心が大きくなり、購入を決めた。

ーでは、この流れのままあしらせについてお伺いさせてください。まず、あしらせのことを知ったのはどのような経緯だったんですか?

実は、ネットニュースが最初だったんです。
当時スマホをちょうど使い始めた時期でして、練習のために触っていたら視覚障がい者向けのニュースが流れてきまして、そこで偶然あしらせのことを知ったんです。
最初は、「へえ、こんなのが出るんだ」という程度だったのですが、ああいうのって一度見ると、スマホの方で覚えるのか何度も出てくるじゃないですか(笑)
それでなんとなくあしらせのことを追うようになっていました。

ーそれはすごい偶然ですね(笑)そこから実際購入に至るまでに、どのような経緯があったんでしょうか?

決断するのはまだまだ先なんですけど、ある時、付き添いの方と一緒に街を歩いていたんです。そうすると、そういえばこの辺りに美味しいカフェがあるって友達から聞いたことを思い出して、そのお店を探してもらったんです。でも、その時は見つけることができなくて。
それで、「もしかして、あしらせみたいなものがあれば、こういう時に自分も一緒に探せたりするのかなあ」なんて思ったりして。
そうやってその後もあしらせの新しい情報が入ってくるようになっていて、小さな好奇心のようなものが芽生えてちょっとずつ大きくなっていく。そんな感じでした。
当時は1人で歩くということは考えてなくて、あしらせをちょっとずつ使いながら誰かと一緒に街を歩いたりしたら、目的地に近づいてるのが分かったりして楽しいんじゃないかなって考えていました。

ーここからは購入後のことをお聞きしていきますね。最初のセットアップはお困りになることはなかったですか?

使いかたの説明を聞きながらBluetooth接続をしたり、アプリの設定をしたり、ゆっくりでしたけど、自分でやることができました。

ー実際に使い始めたときは何をされたんでしょうか?

まずは近くて安全なルートでということで、ゴミ捨て場までの道で練習を始めました。
前にも行ったことがあるし、練習するにはいいコースだなと思って。でも、その道を歩いたのも15年前くらいのことで、周りの植物とか建物が全然変わっていました。
最初は1人で行くのは不安だったので、夫と一緒に何回か往復して練習しました。

白杖とあしらせを装着した靴でゴミ捨て場に到着した足元の様子
白杖とあしらせでゴミ捨て場に到着したBさん。

ー2023年8月に新機能で追加したマイルート機能、ご活用いただいていますよね。

マイルート機能は毎回使わせてもらっています。
実は、使い始めたころはあしらせが曲がり角を通知するのが少し早かったんですね。思っているよりも家2軒分くらい手前で曲がるようになってしまっていて、ちょっと戸惑いつつもそれに慣れようとしていたんです。
そんな時にマイルート機能ができて、使ってみたら全然違うことに驚きました。正確に目的地まで案内されて、迷うこともかなり減ったし、「これならゴミ捨てに1人で行けるようになるかも・・・!」と思いました。

ーありがとうございます!安心して歩けるようになるまで、どのくらいかかりましたか?

私が週に1度しか歩かないということもあると思いますが、3か月くらいかかりましたね。
最初は本当に振動ばかり気になって、他のことに注意を払うことが出来なかったんです。「大丈夫かな・・・」と思っていたのですが、それから音声での案内が加わって、それでかなり使いやすくなったのを覚えてます。
3か月くらいたった後では、あしらせがどういうタイミングでどういう通知を送るんだなっていうのが、ある程度感覚的に分かるようになっていました。

ー当時は冬で、足元も悪い時期だったかと思うのですが、そのような季節での使い心地はいかがでしたか?

そうなんです。私が住んでる新潟では、今年は雪があまり多くなかった方で、道が凍ることもなかったんですが、それでも30cmは積もっていました。
雪の上に轍が無数にできていて、普段目印にしている道路と側溝の間にある段差も全部雪の下に隠れてしまい、何も手がかりがない状態だったのですが、あしらせを使えばゴミ捨て場まで歩けるかなと思って歩いてみたら、目的地に着くことが出来たんです。
白杖で何も探せない中で本当にあしらせだけが頼りだったのですが、自分で行って帰ってくることが出来たんだって。なんていうか、嬉しいというか、安堵感が凄くありましたね。

歩くようになってから現れた変化

あしらせをつけた靴と白杖でゴミ捨て場へ歩くBさんの足の様子
あしらせを使ってゴミ捨て場へ歩くBさん

ーこちらまで嬉しくなりました!実際そのような経験を経て、何か気持ちの面で変化はあったりしましたか?

そうですね。やっぱり違いましたね。
ゴミ捨てという、本当に本当に小さなルーティーンなんですけど、「自分でやれるんだ、自分でもこの用事をこなせるんだ」っていう安堵感があるんですよね。

ー旦那さんはその様子を見られる中で、何かおっしゃったりされたんですか?

はい。これは私も意外だったのですが、そういったことがあってから、例えば一緒にスーパーに買い物に行くようなときに、夫が「1人で歩いてみるか?」って聞いてくるようになったんです。
以前はずっと手を引いて歩いていて、用事を済ませてさっさと帰る、という感じだったのですが、ちょっと時間はかかるけど1人で歩いてみるかって夫が言うようになったんですね。
私が「前までそんなこと言わなかったよね」と言うと、夫曰く、前までは歩くときに必死の形相をしていたって言うんです。
思い返すと、一歩一歩に集中するがあまり、歩数を数えながら歩いているときに、車を避けたりすると数えてきた歩数を忘れてしまったり、すれ違いに、挨拶をしてくださるほうに、笑顔をむけてこなかったかもしれないですね。
でも、あしらせを使うようになってからそれがなくなって、何か考えながら歩くようになったって言われたんです。自分では全然気づかなかったのですが、夫に言われてその変化に気づきました。

ー旦那様も色んな変化に気づかれていたんですね。ゴミ捨て場以外でも、1人でどこか行かれたりはされているんですか?

1人でどこかに行くことはまだしてないですね。
ただ、友達との待ち合わせだったり、そこからお出かけするときにあしらせをつけて出かけたりしています。
連れて歩いてもらっている時とかも、何回か角を曲がったりしたら自分がどっちの方向を向いているのか分からなくなる時があるんです。そんな時でも、あしらせは振動や音声で向かうべき方向を教えてくれます。それがとても安心できて、良かったと感じました。

ーまたまた嬉しいお言葉ありがとうございます! その他にも使われている機能はありましたか?

はい、AIおすすめ検索を最近使いました。
とても色んな検索ができますよね。例えば、目的地に近い宿泊施設というといくつか候補が出てきて、今度はその宿泊施設に近い駅というと、またそこから候補が出てきて。どんどんどんどん検索していけるので、まだ使いこなせてはいないんですが、便利だなと思っています。

ーありがとうございます。最後に、今後Bさんが暮らしの中で、こういうことをやっていきたいな、というのは何かありますか?

なんでしょうね。穏やかな気持ちで暮らしていけたらいいなって思いますね。ラジオを聴いたり、読書をしたり。あとは、簡単で美味しい料理を作れたらいいなって思いますね。
夫も弱視なんですが、私とは見え方が違うのでお互い困るポイントもまるで違うんですね。なので、お互いが自分のスタイルをもって、一緒にできることは一緒にやりつつ、一緒にできないことは各々でやっていければいいなと思います。そうやって穏やかに暮らしていきたいなと思いますね。

ー旦那様との信頼関係、本当に素敵だなと思いました。是非、その暮らしにあしらせがこれからも貢献できたらと思います。本日はありがとうございました。

終わりに

いかがでしたか。
環境が変化した中で、一度は1人で歩くことを諦めてしまったBさんですが、その後ゴミ捨て場に1人で歩いて行けるようになったことで気持ちの面でも「自分でやれるんだ」と大きな変化があったことが印象的でした。その変化にあしらせが貢献できていたことが本当に嬉しいです。
Bさんのような人を増やすことができるよう、これからも頑張っていきたいと思いました。

あしらせは2024年8月から新モデルの先行予約を開始します。これからもユーザーさんのインタビューを続々と公開したり、さまざまなイベントも予定しています。最新情報はメールマガジンやXで配信していますので、興味のある方はぜひご登録やフォローをお願いします。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。