【3】小人語!?
そんなある夜。
1人、早めに寝ていたケイの指が激しくタイピングを始め…
私もナッツもアカルンも、怖さ半分、ワクワク半分でケイのベッドの部屋に入り静かに見守っていた。
するとー
「シュシュッカシャッシュクシュショシュルルコシュルス〇△□*#…」
吐く息と一緒に口からもれる、声にならないささやき声が!
ケイの口が、いつも話すときよりすごいスピードで、大げさに激しく唇を動かして。
でも、声は前に出ず、口の中、のどの奥?で何か日本語じゃない言葉をささやいていて。
口からもれるのは、カシャカシャ空気の漏れるような音。
時折、「・・・」と黙って。
眉間にしわを寄せ黙って首を横にふったり…。
「・・・」と口の動きが止まり、ニヤリと笑ったり。
そしてまた、ひとしきりコショコショしゃべった後にー。
「・・・」
と無言になり…
ゆっくりうなずいたかと思ったら。
目を開けた!!
(どーすんの!?)
というナッツとアカルンの視線を感じながらー。
「ケイ?」と聞くと、やわらかい優しい笑顔でうなずく小人さん。
もう、ケイにある程度聞いていたので、遠い星の小人さんなんでしょ?って聞いてみようかな…
でも。
そんなことある?とやっぱり信じきれていない自分もいて黙っていると
「ママ♪お水くれる?」
と笑顔で言うので、テーブルに座らせてお水をあげた。
こんなに大事に、嬉しそうにお水を飲む姿、お水を注いだこっちまで幸せな気持ちになる。
にこにこ♪ きょろきょろしている姿が愛らしくて。
「ね。ケイから聞いたよ。遠い星の小人さんなんでしょ?」と聞いてみた。
「ケイだよ♪」と笑いながら言うので
「小人バージョンのケイなんでしょ?」と言ってみると
「うん♪」と笑いながら答えた。
「同じ、ケイだと紛らわしいからなんて呼ぶ?」
とお姉ちゃんたちが言うので、それもそうだと思い
「なんて呼んだらいい?」と聞いても
「ケイ♪」と言うので…
「ケイはケイなんだよねぇ…小人のこの子は少し幼い感じだから、ケイちゃん♪て呼ぶのはどう?」と言うと
「ちゃん♪!!」と言って笑って。
かなり『ちゃん』という響きを気に入ったらしく
「ちゃんでいいよ♪」と。
こうして、私たちは、地球から遠く離れた小人の星に住んでいるという、ケイの意識をち『ちゃん』と呼ぶことになった。
そして、『ちゃん』のことを、人間ではない他の星から来た小人さんって認識しながらも、普通に話すようになっていった。
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