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Kutulu 2020(Kutuluを現代日本で遊ぶための二次創作ルール・アイデア)

 Kutuluは、クトゥルフ神話をモチーフとした推理と恐怖を味わうための独特かつ簡潔なゲームシステムです。このシステムは、クトゥルフ神話体系の原作者H.P.ラブクラフトがその小説の舞台とした1920年代~1930年代のアメリカ(あるいはヨーロッパ)を上手く再現している一方、その頃より社会がはるかに複雑で、かつ「銃器」について所持や使用が極めて厳しく制限される現代日本を舞台にしてそのまま運用するのはかなり厳しいものがあります。
 このKutulu二次創作サプリメントは、Kutulu本体のルール(オリジナルルールと呼称します)を最小限の変更で現代日本らしく運用できるようにすることを目指すものです。

〇キャラクターの職業

 オリジナルルールの職業は、そのままでも十分、現代日本で使用できるでしょう。ここでは、いくつか現代日本を舞台にした場合に適した職業を追加します。

学生: 現代であれば、大学生あるいは大学院生であれば十分に探索者の職業足り得るでしょう。

サラリーマン / OL: 営業マン、SE、事務等、あらゆる職種が考えられます。事件に巻き込まれるシナリオの職業としては十分です。

クリエイター: イラスト、音楽、ゲーム、動画、何かを創作する人達はクリエイターと総称されます。芸術家と役割が被る部分がありますが、その在り方は芸術家よりも多様でカジュアルでしょう。

〇アクティブ能力値

 オリジナルルールには〔射撃〕〔白兵〕〔隠密〕〔敏捷〕〔筋力〕の5つのアクティブ能力値があります。これは、基本的にそのまま現代日本でも適用可能でしょう。〔射撃〕〔白兵〕に関して、PCの個性化を図る以下の選択ルールを提案します。

〔射撃〕と〔白兵〕の専門化: 〔射撃〕〔白兵〕は、それぞれ遠隔攻撃と接近攻撃の優劣を示す指標です。例えば〔射撃〕が3点あれば、拳銃だろうが弓だろうが、石を投げても「プロとして訓練を受けている」になります。「〔射撃〕と〔白兵〕の専門化」は、汎用的に使用できるこの二つのアクティブ能力値にPCの個性付けとしての特徴を出すものです。
 この2つの能力値にレベルを配分するときに、その中身を決めてください。例えば、〔射撃(弓)〕というようにします。このとき、その能力値は、その専門化したものを扱う際には配分したレベルより1高いものとして扱います。一方、専門化したもの以外を扱う場合は、アクティブ能力値が何レベルであろうが1レベルとして扱います。キャラクターシートに記入する際は、最初から配分したレベルより1高い値を記入してください。
例1:〔射撃(弓)〕3は、弓を扱う場合は3レベルとして判定できますが、拳銃を撃つ、何かを投擲するという行為については1レベルとして判定します。弓の名手でも、拳銃については素人には毛が生えた程度のものです。3レベルにするために配分するレベルは2レベルだけです。
例2: 〔白兵〕の専門化の例は、〔白兵(柔道)〕〔白兵(空手)〕〔白兵(剣術)〕等になります。〔白兵(柔道)〕は、相手を投げ飛ばしたり絞め落としたりはできますが、殴ったり蹴ったりには向きません(レベル1で判定)。

 このルールについて、「専門化で1レベルだけとれば1点お得だ」と感じた人もいるかもしれません。無論、そのようにしていただいても構わないと思いますが、このルールの目的は「PCの個性付け」です。例えば、柔道でなら大の男も投げ飛ばせる女子大生、とか猟銃一筋の老猟師といったキャラクターをルール上でそれらしく再現するためのものです。

〇パッシブ能力値

 オリジナルルールには〔名声〕〔弁舌〕〔家格〕〔信用〕の4つのパッシブ能力値があります。
 〔名声〕〔弁舌〕はそのままで良いでしょう。〔弁舌〕は声によるコミュニケーションだけではなく、文章によるもの(SNS上でのやり取り、レスバ)も兼ねます。
 現代日本では〔家格〕はあまり探索者の社会性や交渉の共通の尺度になり難い(一部、重視する人もいるかもしれませんが……)能力値です。現代日本で、よく似た尺度になりうるものとして〔社会的地位〕がよいでしょう。未成年や学生、失業者は〔社会的地位〕が低いでしょうし、何らかの職やそれなりの会社、官公庁等の組織に属していたり、優れた才能を活かしそれが広く認められている職についていたりするなら〔社会的地位〕は高くなるでしょう。〔信用〕も、現代日本においてはもはや社会性や交渉の尺度になり得ないでしょう。ゴールドのクレジットカードを見せたら〔信用〕してもらえる、といった場面もちょっと想像しづらいですね。普通に〔財産〕でいいと思います。これは、現金、預金、動産、不動産が全て含まれています。

〇専門分野

 オリジナルルールは〔人類学&民俗学〕〔考古学&歴史学〕〔図書館&古文書学〕〔経済学&法学〕〔芸術&工芸〕〔犯罪学〕〔医学〕〔機械工学〕〔自然科学〕〔オカルト〕〔心理学〕〔言語学〕の12の専門分野があり、これは、そのまま現代日本で使うことが可能ですが、現代日本における科学技術、社会、文化の発展を幾らか反映させましょう。

〔図書館&古文書学〕: 現代日本においては、インターネットにおける検索や資料探索もこの専門分野で扱うべきでしょう。信頼のおける報道サイト、論文データベース、有識者のSNSアカウントなどの識別もこの専門分野で取り扱います。

〔芸術&工芸〕: 伝統的な絵画、音楽の他デジタルイラストレーションやミュージック、画像加工、動画編集などもこの専門分野で扱えるでしょう。

〔心理学〕: 現代日本では〔心理学&精神医学〕とすべきでしょう。オリジナルルールにある効果の他、精神疾患とその治療に関する諸知識、自分以外の人間がどれほどの狂気深度にあるのかも漠然と判定できるかもしれません。

〔言語学〕: オリジナルルールの効果(現在話されている言語や既に失われた言語の特定・翻訳)は〔人類学&民俗学〕の方にいれるべきかもしれません。ここでは〔他言語〕という専門分野に変更することを提案します。レベルと同じ個数だけ母国語以外の会話・読み書きを習得しています。

〇追加される専門分野

〔プログラミング&ネットワーク技術〕: 未知のソフトウェアを解析したり自作のアプリケーションを製作したり、ネットワークを介した侵入、逆に特定のネットワーク空間に適切なセキュリティを施すといったことに関する知識と技術です。

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