【企画参加】反抗期って…
かすみさんの企画に参加します。ぽくぽくちーん!
自分では「反抗期は無かった」と思っている。
おそらく今、母に聞いてもそう答えると思う。
我が家は父が、大変手がかかる存在であった。
父の機嫌によって家族が右往左往した。
感情の波を穏やかにすることに努め、爆発してしまった時は身を小さくしながら自然に鎮まるのを待つしかなかった。
「こんな人と、どうして結婚したのだろう」
母の気持ちを考えると、いたたまれなくなることもあった。
「100のうち99が合わなくても、たった一つ、合うところがあって、そこがお父さんとしか合わない、私しか分かってあげられないところだから。99よりも1が大切に思えることがあるの」
今なら母の思いは理解出来るのだが、子ども時代の私は、ひたすらに怒鳴る父が怖かった。
子どもに手をあげることはなかったが、大声や激しい言葉や、物にあたることが恐ろしかった。
だがしかし、父の機嫌を損ねないよう、感情を完全に抑え込んでいたのかと思うとそうではなかった。
思春期の私の中には、「反抗したい」とか「なんだかイライラする」という気持ちが起きなかった。
ただ漠然と
「この家はなんだか嫌だなぁ。お母さんがかわいそう」
と思いながら粛々と暮らしていた。
父の両親、私にとっては祖父母も同居していて、
祖母の、母に対する言動は目に余るものがあった。
「人を見下す」ような態度をとる人が自分の祖母で、血がつながっているのかと思うと悲しくなった。
祖母はまた、父のことも見下していた。
「三兄弟のなかで医者になれなかったダメな息子」として扱い、医者になった父の兄弟を奉った。
叔父達の配偶者も医者や医療従事者。
祖母にとっては「医者はすごい人」であり、医者ではない母への言葉は辛辣だったし、私には「医者を目指すか、医者と結婚しなさい」が口癖だった。
私から見たら、同居し、高齢の祖父母の暮らしをサポートしている両親は偉いなぁと思っていた。
(父の感情の波はあれども。祖母は大声を出す父をバカにし、ほかの息子達はやさしいし優秀だと父と比べた)
祖母はどうしてこんな風に、職業で人を判断したりするのかと、心底情けなく思った。
祖父は祖母の性格だとあきらめていて、何も言わずにいた。
うちの家族、変な人、多いなぁ。
そんな気持ちを抱きながら、十代を過ごした。
私は、言われる前に先回りしてやっておく、まわりの空気を読むことがわりと得意で、家族からも重宝がられているのが自分でもわかっていた。
それは無理矢理やっているのではなく、自発的に湧き上がるものだから、イライラもムカムカもなかった。
家族はみんな、私に「ありがとう」を言ってくれた。
母はよく「どうやって育てたらああいう子になるの」と言われたそうだ。
中学1年の頃、数ヶ月学校に行けない時期があったのを、両親は懸命にサポートしてくれた。
その時の"恩"を返したいとも思っていた。
家族って、大切だけど、めんどくさい。
私はもし結婚したら、うちみたいな家族にはならないようにしよう、誰かと新しい家族をつくりたい、いつもそう思っていた。
それは今思い返せば「反抗期」なのだろうか。
言葉にして発したことはなく、行動で示したこともない。
でも、新聞の折り込みチラシや不要な紙をハサミで短冊状に切っていると、心が落ち着いた。
玄関でじっと座り、靴をしばらく見つめた。
自宅屋上で早朝、父の竹刀(父は元・剣道部)をひたすら素振りした。
私の心はそれなりに波打って、自分の中でいなしてきたのだと、今そう思っている。
◇◇◇◇◇◇
私には中学2年生の長男がいる。
声をかければ
「あ"?」
眉間に皺を寄せて返事。
「うぜー」
「はいはいはい、俺はこういう人間ですよーー」
「そうです、やる気ナシオちゃんです」
「くっそ」
「◯ね、ハゲ」
「てめー」
「まじ老害」
「出ました、昭和!」
戦場に放たれる弓矢のように降ってくる言葉。
盾!盾!間に合わない~~~!
今のところ、うちの壁に穴はあいてない。
夫のトレーニングルームのサンドバッグはよく殴っている音がする。
「お母さんとオレは違う人間だ!」
「自分と一緒にすんなっ!」
傷つくし、頭に血が昇るし、こちらもひどい言葉を言い返してしまう。
長男と口喧嘩する私は、亡き父が乗り移ったかのように口汚い。怒鳴る。物にあたる。おとーさーん!
こういう言葉を私にぶつけてくる長男に、腹を立てながらもにやけてしまう自分もいる。
なんだよ、これ、反抗期かよ。
まじムカつくんですけどー。
反抗期、人それぞれ。
かすみさん、素敵な企画をありがとうございました。
参加記事を拝読し、勇気づけられています。
中2、かわいいですよね!
中2、サイコーッ!!!
ウェェェーーーーーイ!!!
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お読みいただきありがとうございました。
※見出し画像は、みんなのフォトギャラリーよりきゃらをさんの作品をお借りしました。ありがとうございました。