サメに乗った少年
小5の次男は、生きものが好き。
虫、動物、魚、両生類。
図鑑やテレビ番組、YouTubeの生きもの動画をみては、うっとり。
飼ったことがあるのは、カブトムシとコクワガタ。
今飼っているのは、淡水の熱帯魚。
これから飼ってみたいのは、フトアゴヒゲトカゲとケヅメリクガメ。
突然「サメが好き」と言い出した数年前。
「サメがいる水族館」で検索し、品川水族館や大洗アクアワールドへ家族で行った。
サメブームの波がおさまってきたかな……と思っていたら、昨年に再燃。
きっかけは「スプラトゥーン3」という任天堂Switchのゲームで、この中で「サメライド」という"スペシャルウェポン"がある。
我が家には任天堂Switchはない。(iPadでオンラインゲームはしている)
次男は、うちから3分の超ご近所さん、親友H君の家で一緒に遊びながらプレイしている。
サメライドというのは、次男の説明の通りに書くと、
だそうで、プレイヤーがサメに乗れることが、サメ好きとしてはワクワクでたまらないらしい。
そんな彼と「冬休み中にサメを見に行こう」と選んだ水族館が、葛西臨海水族園だった。
水族園までの道中、スプラ3のサメライドのことや、なぜサメが好きなのかを聞いてみた。
サメライドの説明は先述の通り。
好きな理由に関しては、
愚問だった。母を許して。
好きな理由を聞くなんて、学校の感想文じゃあるまいし。
わからないけど好き、その気持ちを大切にして欲しい。
JR葛西臨海公園駅から徒歩5分、葛西臨海水族園。
エスカレーターで降りていくと、鑑賞ゾーンへ。
一つひとつ、ほぼ全ての水槽を見て、撮影する次男。
3時間ほどかけて、ゆっくり館内をまわった。
私は少し離れた後ろから、その姿をずっと見ていた。
魚達と、次男の後ろ姿。
大きくなったなぁ。
これから彼はもっともっと大きくなって、たくさんの魚達が泳ぐ海にひとり、出ていくのだ。
色やかたちや住む場所も違うこの魚達のような、多様な人々があふれる社会に。
寒い海かもしれない。
温かい海かもしれない。
ちゃんとごはんを食べられるかな。
楽しく過ごせる仲間と出会えるといいな。
想像を巡らして内心しんみりしていたが、次男の楽しそうな様子に引っ張られ、お土産コーナーをひやかしに行ってみる。
さんざん迷い、お父さんのお酒のつまみにタコ煎餅、自分には真珠貝の缶詰とシュモクザメの箸置きをお土産に選んだ。
「カメのにしようかと思ったけど、やっぱサメにするわ」
サメ、何匹もいたよね。
「あー、楽しかった。想像以上。すごくいい水族館。小学生まで無料なんて、いいのかなって思っちゃう」
そうだ、今から心配することはないのだ。
この子はきっとサメに乗って、どんな海でも楽しめるだろう。
親ばかだけど、そう信じている。
その日まで一緒に楽しく過ごそうぜ。
帰り道、次男に難しい質問をされる。
「お母さん、どっちがいいか選んで。
ライオンに喰われるか、ワニに喰われるか」
私はワニ、あなたはどっち?
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お読みいただきありがとうございました。
ヘッダーの写真は、私の亡き父のコレクション、サメの歯です。
近くに置いたブルーの小さなものが、今回の次男お土産、シュモクザメの箸置きです。
父が、趣味のデッサンで描くためのモチーフなのか、単に好きだから集めていたのか分かりませんが、動物の骨がうちにはあります。サメの歯もその一つです。
お父さん、孫がサメの歯、喜んでるよ。
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