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Boy meets yonige「健全な社会」
こんばんは。急に寒くなって、一切具体性を帯びない「当時」が恋しくなり毎日胸が痛みます。小野寺です。
本日はyonigeの傑作アルバム「健全な社会」について。
yonigeとの出会いは2015年。
「Coming Spring」というアルバムを偶然タワーレコードで見かけて購入して以降、「恋と退屈」という曲をヘビーローテーションしていた時期がありました。
死に損ない死に損ない死に損ない死に損ない
僕らは 希望をどこかで抱いてる
退屈なあの日々も どうにもならん君への思いも
全てをぶち壊したかったの
当時15歳の私、ドキッとするようなサビの歌詞に、愕然。
諦念を孕んだ牛丸さんのボーカルに惚れ、以来yonigeには全信頼を置いています。
そんなyonigeが2020年に発売したアルバム「健全な社会」。
当時、始まりたてのコロナ禍によって大学の始業が延期。
アルバイトも中止。会いたい人にも会えず。
札幌の部屋で1人、ただ天井を眺めるばかりだった私に救いをもたらしてくれたアルバムです。
大きくトーンを下げた牛丸さんのボーカルから漂う無気力な日々と眼差し。
何も起きない、歌詞。
当時の生き殺しのような生活にそっと寄り添ってくれました。
煎りつくような騒音に
目を閉じて耳を澄まして
少し暑くなってきた 部屋の窓開けて
酷いことは起きない
日々はただ 過ぎていくだけで
暮らしの中にはきっと 山も谷もなく
行きたい場所なら たくさんある
どこにも行けないって気づく夜は
決まって眩しい満月だな
どうでもいいよ どうだってなるよ
時期的に(おそらく)コロナ禍前に制作されたはずのこのアルバム。
にもかかわらず、すっかり変わってしまったあとの日常を照らし、憂うようなこの歌詞。温度。
特に、アルバム最後の「ピオニー」の歌詞は当時の閉塞感、孤独感を見事に歌ってくれているかのようです。
夜が明ける頃に僕はまぶたを落とす
意味があることに意味を感じなくなって
伝えたいことない手紙を書いて
紙飛行機にしてとばしているような
何も無い日だった
今日と昨日の間、たれながしたテレビ
ナイトスクープに依頼したいことが
思いつかないし
明日を生きること、忘れたくなって
体に悪いこと、繰り返している
眠たくなっていくよ
当時、誰にも会えず、どこにも行けず、家に1人。
世界から忘れられてしまったかのような、体験したことの無い孤独を味わっていた私の日々は、まさに手紙を紙飛行機にして飛ばしているような、やけくそになりそうな寂しさでいっぱいでした。
多くの人の努力と犠牲とによって、
また世界は動き初めました。
新しい日常にもすっかり慣れ、
忙しい日々を憂うような今になって、
このアルバムはまた違う意味を持って響いています。
是非。