駿河メイと梅咲遥
2019.6.10市ヶ谷チョコレート広場では、いつものように我闘雲舞の大会が行われていた。事件は座談会で起きる。
この日は6.4新木場が終わってすぐの大会だったため特にテーマがあるわけではなく、いつも通りの我闘雲舞で終わるものと思っていた。が、急にさくらさんから7.2の追加カードが発表された。それも、メイ、美鶴、ゆなもんそれぞれシングルマッチだと言う。まずそこでテンションが上がる。
そして、一人ずつカードが読み上げられる。まず、駿河メイの相手…読み上げられるまでの短い時間で、誰が来るのか?いつもリングでの大会では、他団体の上の選手とやることが通例となっていることから、流れたアニキか?こないだ絡んだ野崎さん?いや、レジェンドクラス?なんて思っていたら、ディアナの…と来た。ディアナ?え?まさかのSareeeさん?などと、思っていたところに『梅咲遥』!は?え?「えええええええええ!」思わず声に出してしまう程の、それも、マサキさんに後で聞いたところ、Youtube用に撮影していたビデオで音割れが起きる程の大きな声で驚いてしまっていたようだ。「ようだ」と言うのは、あまり自分ではその自覚がないから。自覚がないというか、もうその辺の記憶が無い。人は驚きと興奮が過ぎると記憶が吹っ飛ぶ(笑)
あの場でそんなに驚いてたのは自分だけだろう。例えるなら、全盛期当時に武藤敬司 vs 三沢光晴が決まったようなものである。それもそのはず、この二人を勝手に線にしてきたのは、恐らく自分だけだから。自分のプロレスの楽しみ方の一つに自分なりにストーリーを作り上げて線を引く。誰かに線を引いてもらうのではなく自分で引く。これをこの二人には、やって来た。
梅咲遥に出会ったのは2018.11.4ダレジョEXTRA。ツイッター等で存在は知っていたが、プロになるため、この日ダレジョを卒業するということ、かなりの逸材であるという理由から観戦を決めた。駿河メイの例があるダレジョで逸材でプロになるなんて聞いたら観ないわけにはいかない。
この日、メインで、駿河メイvsはるかのエキシビジョンが行われた。噂に違わぬ逸材っぷり。そして、この日から、自分のプロレスキャンバスには、2つの点と線が引かれることになる。
駿河メイを追いながら、同時に梅咲遥を追い出す。好きな団体は仙女という話をしていたので、仙女なのかと思っていたが、ディアナの練習生になるという。一回目の公開プロテストで不合格となった時の涙は今も脳裏に焼き付いている。二回目のプロテストで合格を勝ち取り、2019.3.10待望のデビュー。駿河メイとは約10ヶ月の差。一年以内なので同期ということでいいだろう。
デビュー後、ディアナの道場マッチ、イベント、FACEや後楽園での大会など定期的に足を運ぶようになり、話をして行く中で、自分が駿河メイ推しということもあり、その話題が多くなっていき、駿河メイ戦を強く意識し始めるようになる。
そして、2019.5.12ディアナ後楽園大会で早くもこの歯車が動き出す。この日、梅咲遥 vs さくらえみという、これまたエモい試合の後、その感傷に浸る間もなく、セコンドに来ていた駿河メイがゆっくりと梅咲遥に歩み寄る。倒れていた遥を覗き込むように睨み挑発する。まさかの100点満点の展開に、この時も多分「おおおおおおお!」って興奮していたような気がする。
この時の心境を聞くと、「さくらさんが試合している最中からリングに上がりたくてしょうがなくなった」と言っていた。この日の少し前、川崎大師で行われていたディアナのイベントプロレスで、ポートレートのメッセージを天を仰いで少し考えた後、こんなことを書いてくれた「だとう!!メイ!!!!」驚いた。これは自分へのサービスなのか、本気なのか分からなかったけど嬉しかった。そして、このメッセージを見たメイからのメッセージは「打倒!!アシケン!!」えっ?w
こんなエピソードがあっての後楽園の出来事だったから、余計にテンションが上がってしまった。でも、この時はまだ、これからじっくりと線を繋いで行き、機が熟した頃やるんだろうと漠然と思っていた。発表があった、6.10の前日6.9仙女新木場大会で試合をする駿河メイを見つめるSareeeさんのセコンドで来ていた梅咲遥。この日も、駿河メイについて「どんどん先に行っちゃって凄い」みたいなことを言っており、駿河メイ戦なんて当分先のような素振りだったので、全くのノーマークだった。でも、この時既に駿河メイ戦は内定していたはずで、会場端で食い入るように駿河メイの試合を見つめていたのはその為だったのかもしれない。この姿はとても印象的だった。
7.2は里歩さんが我闘雲舞を卒業する日。奇しくもその日、駿河メイと梅咲遥という2人の新星が対決する。我闘雲舞の1stシーズンがこの日終わるとすると同時に2ndシーズンがスタートする。梅咲遥との戦いは、ライバルとして、この先何度も訪れるはずだ。その始まりの戦い。そういう意味で2ndシーズンの幕開けにふさわしい対決。この他にも、美鶴さんは志田さんと、ゆなもんはアニキとそれぞれ戦う。ここにもそれぞれの視点でのテーマがある。我闘雲舞2ndシーズンの主人公は、誰か1人じゃなくて、所属それぞれの視点から物語を観るロマンシングサガ方式でいいと思っている。物語は帯ちゃんにだって、さくらさんにだってある。物語が途中交わることもあれば違うベクトルで進むこともあるだろう。今後は、それを楽しみたい。
駿河メイと梅咲遥。この2人の物語は今始まったばかりだ。