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カツセマサヒコ著 「明け方の若者たち」に寄せて

ルールなんてない。あるのは法と人の目だけで、もちろん法は守らなくてはならないものだけれど、こうでなきゃいけないなんてことなんて、どこにでもあるようで、きっとどこを探しても見つからないのだ。 作中で語られる"人生のマジックアワー"を通り過ぎて早くも3年が過ぎた。そんなこと自体を簡単に否定したくなるような生き方をしてきたように思う。日の出もなければ日没もない、だからマジックアワーなんてものもないが、いつでも辺りを見渡せば薄明。あの頃に輝いて見えていたものは、よく見ればチリばかり

    • 夏の匂いは生きていくコツになる?

      「夏の匂いがした」なんてあのバンドは歌うけれど、夏の匂いがするのは夏ではないからなのだし、なにかを思い出すのはきっともう忘れてしまっていたからで、夕立ちが降るのはよく晴れていたからなわけじゃないですか。花火を上げていいのはそこに川やら海やらが居てくれるからで、そういえば先日の花火で山火事になったところあったね、まぁいいや。 虫歯ができるのは思う存分美味しいもの食べたからで、イヤホンをなくした時に前より300円くらい良いものを買ってしまうのは、なくしたことのショックを消したいか

      • 同じ空を見上げることの今昔

        丸2ヶ月以上にもなる久しぶりに乗り込んだ電車は、止まることも遅れることなく、思っていたほどワクワクすることもなく、やはり文字通り、決められたレールの上を滑っていた。こうやって、泣く泣く運ばれた先でやることだから仕事は、なんとなく面倒なものとして片付けてしまうのかもしれないなと感じた。 霧雨が街を包む薄暗い、6月らしい天気の1日が終わる頃、全国で花火が上がったらしい。3、4日ほど前だろうか、ブルーインパルスが空に真っ白な虹を描いたから、同じ空を見上げることの豊かさを感じること

        • サカナクションにわかだった私に深夜対談で山口一郎が灯した明かり

          サカナクションを初めて知ったのは、「アルクアラウンド」のPVだった。 https://www.youtube.com/watch?v=vS6wzjpCvec 気難しそうな暗いお兄さんが通り過ぎるにつれ、くるくると表示される歌詞は、それこそ音楽から言葉が飛び出てきたようで度肝を抜かれたことを覚えている。5枚目のアルバムとしてリリースされた「DocumentaLy」は飽きることこそなかったけれど、飽きるまで聴き続けていた。"RL"から"アイデンティティ"の流れ、"エンドレス"の深

        • カツセマサヒコ著 「明け方の若者たち」に寄せて

        • 夏の匂いは生きていくコツになる?

        • 同じ空を見上げることの今昔

        • サカナクションにわかだった私に深夜対談で山口一郎が灯した明かり

          身体の健康が心を照らす

          久しぶりにアルコールを抜いた。身体がSOSを出してきたのでわかりやすかった。ご飯を食べてしっかり寝て起きたらこんな時間に夜を持て余してしまっているけれど、それと差し替えに健康な身体が戻ってきたのだから、安いものだと思う。健康が1番と言われるのは、身体が健康であることによって、気持ちが前向きになるという点にあると思う。明るい気持ちは人生において細部までもを照らしてくれるので、部屋も心も明るくしておくべきなのかもしれない。そういう意味では、自室、壁側の窓にカーテンをあえてつけない

          身体の健康が心を照らす

          親指シフトのキーボードとKAKASHIのサブスク解禁

          親指シフトのキーボードが消えるらしい。多くの有名作家さんが、喋るよりも入力した方が早いと口をそろえる親指シフトキーボード。実物を見たことはない。それだけ一般的なJISキーボードが普及しているということなのかもしれない。「多数決」に優しさはない。少数派はいつだって淘汰されていく。10人から成るグループのうち、7人がドッジボールをしたかったら、残った私達がケイドロをしたくても存在しないのとほぼ同義で、走り回ることはあれど、ボールを当てられ追い出されてコートの外で突っ立って終わりだ

          親指シフトのキーボードとKAKASHIのサブスク解禁

          季節が消えていく中で私って話

          いつだってかわいいあの子みたいに、相次ぐ催事の中止で肩を落とすこともできないほど予定のない私だ。あれほど求めていたはずの毎日が、求めていた以上に続く自宅でひとり、ぼーっと考え事をしていて気が付いたことは、季節が消えていくのは今年に始まったことなんかじゃないということだった。春のように優しく微笑む彼も、夏の太陽のように大きな手で私の髪を撫でる彼も、秋のように静かにそばにいて、派手なことは好まず読書ばかりしていた彼も、冬のように私のこの身体を抱く力がぎゅっと強い彼も、みんなみんな

          季節が消えていく中で私って話

          RADWIMPSのサブスクが解禁された夜

          周りの人との距離がどこまでも遠く感じる中学生のあの時期に、火星までの距離を地球からだろうと木星からだろうとたかが隣の星だと言い放ち、"一生で一度のワープ"という聞いたことのない魔法の能力を見せつけてきたのがRADWIMPSだった。そもそもひとりごとしか知らなかったのに、ふたりごとなんてものがあるんだと知った衝撃 (ない) 。どんな曲を聴いても出てくる“君"を誰よりも知っているのが自分だと気付いた瞬間。誰も端っこで泣かないように君が地球を丸くした話。カランコロンカランコロンと鳴

          RADWIMPSのサブスクが解禁された夜

          喜びと悲しみは半分ずつらしい

          長引く自粛生活の中、もう酒を飲むくらいしか生きがいを見つけられなくなったことで、「いかにそれらしく飲酒をするか」そのために必要なものを揃えてしまった。甲類の焼酎が1.8リットル詰め込まれた大容量パック、ただの水を炭酸水に変えてくれる魔法の装置、冷蔵庫の中がちょっとしたショーケースになる缶ビールラック、そして今日届いたのがサーモタンブラーだった。 自宅で飲むようになってから、毎日すさまじい量の氷をグラスの中で溶かしてきたが、たかだかステンレスの筒1つで、驚くほど氷を消費しなく

          喜びと悲しみは半分ずつらしい

          序の段

          3月にメディアを立ち上げた。その途端に、書きたいという気持ちがゆらり、ゆられて消えていったのを、腰掛けでひとりぼうっと眺めていた。目的もやりたいこともなく、ただ書くということを続けていた自分自身に、興味本位と少しばかりの褒美としてきちんとした家を建ててあげたものの、そこが帰る場所になることはなさそうだ。 目的はないが、メモ書きでもない。 読まれなくては仕方がないと、思わずにはいられない。何人も「あなたの書くものが好きだ」と言い残して通り過ぎていく。そのくせ「昨日書いたやつ、

          序の段