【読書と連想ゲーム 2 】
「明治大正昭和 判例百話」 穂積重遠
明治大正昭和とあるが、著者は昭和26年に亡くなっている方なので、挙げられている判例は、当然昭和初期の事件までであり、時代性の違いに困惑しながら読んだ。お金の価値がまるで違うので、「7万円を誰が払うか」という事件を読んでも、それは今で言ういくらなのかがピンとこない。口語体で読みやすく書かれているが、すらすらとは読めない本である。
もうひとつ時代性を感じたのが、養子をめぐる事件がいくつかあったこと。そしてそのすべてが、おそらく「戸籍の継承者の確保」が目的になっていること。A男A子夫婦には子供がいないので家督継承者を確保するためA男の弟B男の子であるC男(未成年)を養子にする。その後A男が亡くなり、その家にはA子、B男、C男が残った。C男の親権者はA子なのかB男なのか。
私などの庶民には、A夫婦に子供がいなくても弟のB男がいるのだからB男に家督を譲ればいいのではないか、わざわざ甥を養子にする意味はなに?と思えるのだが、長男が継がなければという時代だったということなのか。
連想ゲーム 家督争い → 横溝正史 → 石坂浩二
前回、松本清張を思い出したところで今回は横溝正史だ。家督相続といえば「犬神家の一族」。
最初に知ったのは1976年の映画。「犬神家の一族」では、湖にV字につきささった足のシーンが有名だが、私が怖かったのは菊人形。その頃、各地のお城や庭園ではよく菊人形展があったが、その前を通るのが本当に怖かった。母に「どれかに佐武さんがいそうだよね」と言うと「製作者の方もいらっしゃるはず、そういう失礼なこと言わないの」と注意されたが、母も絶対思っていたと思う。
金田一耕助役は石坂浩二さん。
この石坂浩二さんは我が家でちょっと人気者だった。
若い頃の父が石坂浩二さんにそっくりだったらしい。母が自慢げに「お父さんは石坂浩二に似ているって、よく言われていたのよ」と言っていた。朝丘ルリ子との婚約だか結婚だかの会見を見て、父方祖母は「息子が出てる」と思ったらしい。親バカすぎる。
その後、父は空港でたまたまご本人とすれ違ったとき、あちらから「あなた、私と似てませんか」と声をかけられたらしい。急いでいた父は「よく言われるよ」とだけ答えたらしい。その数年後、今度は銀座のクラブに行ったらなんと朝丘ルリ子さんがいたらしい。けっこうお酒が入っていたルリ子さんが「ちょっとあなた、うちのへいちゃんに似てるわね」とケタケタ笑ったらしい。その日のことは覚えている。「おい、ルリ子にまで似てるって言われたぞ」と上機嫌で帰ってきたのだ。ご夫婦揃ってファンを喜ばせるのがお上手だったのね。
そんな父の妻は樹木希林さん似。
その娘の私は高3のときのバイト初日に「幸田シャーミンに似てるね」って言われた。才色兼備で有名な方に似ているっていうのは嬉しいけど、私当時18歳。シャーミンさんは私の10歳上だ。けっこう傷ついた。
2025年1月20日(月)