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ProcreateのCMYKキャンバスではCMYKの色が選べてない

ポッドキャスト「アシカガCAST」第784回の要約記事です。

ProcreateでのCMYKキャンバスの作り方

iPad用お絵かきアプリのProcreateには、CMYKモードが実装されています。でも、ちょっと癖があるというか問題があるので注意が必要です。

CMYKモードの選択は、キャンバスを新規作成するときに行います。RGBで作成したキャンバスをCMYKに変換する、あるいはその逆もできません。どうしてもRGBからCMYKにしたい場合には、新規でCMYKキャンバスを作成し、そこにRGBの画像をコピー&ペーストするという方法があります。

Procreateでの新規キャンバスの作成
カラープロファイルからCMYKのプロファイルを選べます

CMYKでの数値で色を選べるけれど…

ProcreateのCMYKキャンバス上では、CMYKの値で色を指定できます。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックがそれぞれ何%かを数値で指定できるということです。ところが、そうやって描いたイラストをCMYKで画像ファイルに書き出しても、実際にはCMYKで指定した数値の色になっていません。

ProcreateでCMYKで指定した色を塗って、PSD形式で書き出したファイルをPhotoshopで開いて確認してみました。PSDファイルはちゃんとCMYKのモードになっていたんですが、色は置き換わってしまっていました。

わたしの実験では、Y(イエロー)100%として指定した色が、書き出したPSDファイルではC(シアン)4%、M(マゼンタ)3%、Y(イエロー)80%、K(ブラック)0%という数値に置き換わっています。C100%で塗ったはずの部分も、C80%、M11%、Y2%、K1%に変換されてしまいました。

ProcreateでCMYKそれぞれ100%で描画してPSDファイルで保存
Photoshopで開くと、C100%で指定したはずの色がCMYK掛け合わせの色になっていました

ProcreateでCMYKのキャンバス上で絵を描くというのは、内部的にはRGBで色をつけているのと同じなんだと思います。印刷物のCMYKに合わせるように限定された、狭い色域でしか色が使えないように制限されたRGBモード的なものなのでしょう。

CMYKモードは印刷のシミュレートとも言える

iPadやパソコンなどの画面は光の3原色のRGBで色が表示されています。一方、印刷物の場合は色の3原色のシアン・マゼンタ・イエローに黒をプラスしたCMYKの4色のインクで印刷されるんですね。

グラフィックツールのCMYKモードでは、このインクのCMYKそれぞれ何パーセントで印刷したいかを設定できるので、ある意味印刷のシミュレートを画面上でしているとも考えられます。

画面の色と印刷物の色とを同じにするのはとても難しいんですが、シアン100%で色を指定すればシアンのインク100%で印刷されるということなので、慣れていれば印刷物の色を数値から想像できます。

RGBでの納品・入稿という手もある

しかし、ProcreateではCMYKの値で色をつけても数値が変わってしまうので、そもそもCMYKで絵を描く意味がそんなにないと私は思っていました。ProcreateではRGBで絵を描いて、RGBで描き出したものをAdobe PhotoshopでCMYK変換すればいいと考えています。

Photoshopを持ってないよという人は、後工程を他の人に任せたらいいと思います。印刷物に使うために納品するイラストだったら、RGBで入稿できるよう相談して、CMYK変換はその後の紙面を作るデザイナーさんなどプロに任せたらいいんじゃないでしょうか。

また、今ではRGBでの入稿に対応している印刷所も増えてきています。もちろん画面と同じ色では印刷できないでしょうが、あまりにくすんだ色にはならないようにプリントできるんだと思います。なので、変に自分で中途半端なCMYKファイルを作るよりも、RGB入稿する方がいいはずです。

ProcreateでのCMYK書き出し時の注意

ProcreateからCMYKで書き出すときの注意ですが、PNG形式のようにCMYKをサポートしていないファイル形式もあります。また、JPEGは仕様としてはCMYKも扱えるんですが、ProcreateのJPEGでの書き出しはRGBにしか対応していません。

ProcreateでCMYKで作ったものはPSDかPDF、TIFFで書き出さないと、CMYKではなくなってしまいます。

CMYKで絵を描いて上手くいってる人の例

最後に、ProcreateのCMYKモードをうまく活用している人の例です。

Procreateで「Generic CMYK」のプロファイルで絵を描いてPhotoshopに持っていき、Photoshop上でプロファイルを「Japan Color 2001 Coated」に変更することで、画面で見た色と印刷物をかなり近づけられているとSNSに投稿している人を見つけました。

また、別の人から、Procreateに「Japan Color 2011 Coated」のプロファイルを追加して使用することで、うまくいっているという報告もありました。このカラープロファイルは、一般社団法人日本印刷産業機械工業会のウェブサイトから無料でダウンロードできます。なお、Adobeのアプリケーションをインストールした際に保存されるカラープロファイルを、Procreateに読み込んで使用することも可能です。

ProcreateのGeneric CMYKのプロファイルは普通の印刷物よりも遥かに狭いくすんだ色でしか塗れないと書いていた人がいたので、Procreate上でCMYKで絵を描きたい場合には、「Japan Color 2011 Coated」のプロファイルを追加するのが最適解なんじゃないかなと思っています。

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