2022年シネマランキング ベスト10
新年あけましておめでとうございます。
毎年劇場で鑑賞した映画の中から面白かった作品を選出し、短評つきで紹介するこの企画。
今年は映画記事をほとんどあげられませんでしたが、細々とでも続けていきたいと思っているので、よろしくお付き合いのほどを。
それではさっそく――
第10位
『女神の継承』
『哭声/コクソン』のナ・ホンジン原案によるホラー。
ドキュメンタリー・チームがタイの田舎町で女神に仕える巫女を取材するが、彼女の姪が不可思議な行動を始め、やがて惨劇が訪れる。
モキュメンタリーかつアジアン・ホラーということで、Netflixで公開され話題になった『呪詛』との共通点が多い。
しっかりと怖かった点を評価。
見る者/見られる者の構図が破壊される展開は、ジョーダン・ピール『NOPE』にも近いかも。
第9位
『ザ・バットマン』
世界一の探偵というバットマンの原点にたちかえった一作で、これまでのバットマン映画とはかなり異質。
シリーズ全体でいうならば『JOKER』に近い立ち位置かと。
リドラーというやや地味なキャラクターをメイン・ヴィランに据えながら、ここまで面白くなるのかという驚きがあった。
第8位
『ブラック・アダム』
DCコミックスのヴィラン、ブラック・アダムを主人公としたアクション。
MCUが内省的なフェイズに入っている現在、痛快なアクションが見たくなったらコレがおすすめ。
対立するヒーロー・チームも格好いい(特に最年長のDr.フェイトが)。
第7位
『トップガン マーヴェリック』
おそらく多くの人がベストに挙げるであろう、2022年を代表する一作。
これが作られたことにより、いま観るとそこまで……な前作の評価をも押しあげる素晴らしい続編と言えるだろう。
終盤、旧式の機体で最新鋭機と戦うくだりは最高に熱い。
第6位
『すずめの戸締まり』
東日本大震災を忘れないという新海誠の想いが詰まった渾身の一作。
同様のテーマを扱う『夜明け告げるルーの歌』と並べて語りたくなるが、本作のストーリーはトラウマの克服過程をそのまま描いており、むしろディズニー/ピクサーの『インサイド・ヘッド』に近い。
「いってっらっしゃい」「いってきます」が最後にかわす言葉になるなんてことは、実はいつでも起こり得る。
それでも愛する人を送り出し、「おかえり」で締めるラストはお見事。
第5位
『ドライブ・マイ・カー』
公開は2021年ながら観るのが遅れたため今回ランクイン。
完璧な脚本、抑制的な演出、作品全体を覆う死者の影。
静かに、深く突き刺さる、ある男女の再生の物語。
第4位
『RRR』
インド独立運動の英雄二人がもしも出会っていたら、という痛快娯楽作品。
凄まじいアクションと恐ろしく作りこまれた画面、怒涛の展開で3時間息つく暇もない。
そもそも日本までやってくるようなインド映画はみんな面白いんだから観とけという話でもあるのだが、ラージャマウリ監督はその中でも頭ひとつ抜きん出た感がある。
余談だが、二人の英雄が出会っていたらというIFといえば佐藤賢一の小説『二人のガスコン』がある。
舞台はフランス、主人公はダルタニャンとシラノ・ド・ペルジュラック。
興味がある方には一読をおすすめする。
第3位
『ヘルドッグス』
監督・原田眞人、主演・岡田准一のタッグは『燃えよ剣』から二年連続のランクイン。
闇落ちした警官が、潜入捜査のために頭のおかしいチンピラに接近し、ともに組織内でのし上がっていく話。
スタイリッシュな画作りは邦画の中でも抜きん出ており、そこに岡田准一のキレキレアクションが加わる。
それだけでも最高なのに、MIYAVI演じるヤクザの総帥があまりに美しく、脇を固めるキャストも素晴らしい。
正直、昨年の1位より好き。
第2位
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
トムホ版スパイダーマンの3作目にして、同時にライミ版スパイダーマンの4作目、アメイジング・スパイダーマンの3作目でもあるというとんでもない作品。
同時に過去のヴィランたちの救済の物語でもあり、さらにはMCU全体の新たな始まりをも告げており、どんだけ要素が盛られてるんだといった感もあるが、これでしっかり話としてまとまっているのだから驚く他ない。
よく作ったわこんなの。
第1位
『犬王』
天才・湯浅正明が仕掛ける、これも歴史のIF。
記録から抹消され、人々の記憶にも残らなかった者たちの魂の叫び。
破天荒にして驚天動地!
絢爛豪華な室町ロック・ミュージカルを観よ!
過去記事『もっといけ‼ どんどんいけ‼ 消されし者どもの存在証明』
以上10作品。
2022年もなんだかんだ豊作で、惜しくも選外となった作品にも面白いものがたくさんありました。
これをきっかけに色々と手を伸ばしていただけたら幸いです。