2019年シネマランキング年間ベスト10

『フラグタイム』評へ

 みなさま、あけましておめでとうございます。
 昨年は劇場で映画を100本観るという目標を達成できました。ちなみに100本目の作品は『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』でした。

 それではさっそく、葦原が昨年劇場で鑑賞した新作映画ベスト10を、短評つきで発表していきましょう。
 タイトルはすっきりと‟シネマランキング年間ベスト10”と改題。

 ※上半期のベスト10をおさらいしたい方はこちら

第10位

『サスペリア』

 1977年のダリオ・アルジェント作品のリメイク。前作は未見。ジャンルがホラーからアートに変わり、アルジェント監督からは不評だったとのことだが、なんといっても鑑賞後の「ヤベェもん観た!」感が半端ない。歴史的背景などかなり複雑な作品でもあるので深掘りの楽しみもある。


第9位

『ドクター・スリープ』

 スタンリー・キューブリックの名作『シャイニング』の正統続編にして原作小説との融和をも成し遂げた作品。ジャンルがホラーではなく能力バトルものに変わっている点など『サスペリア』と似ている。悪役のローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)が大変素晴らしく、それが同時に彼女との決着シーンのカタルシスに繋がる。ビリーと野球少年マジ哀れ。なにはともあれ前作は絶対に観てから鑑賞すべし。


第8位

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』

 信仰上の理由で嘘のつけないインドのおじさんが、口のきけない少女を故郷のパキスタンに送り届ける話。両国の緊張状態は周知の通り。国境越えはふつうに命がけである。パキスタンで出会ったもう一人のおじさんがネットで協力を呼びかけるシーンは思い返すだけで泣けてしまう。


第7位

『プロメア』

 熱い。とにかく熱い。テンション上げたい時用にと久々にサントラを買ってしまった。
 過去記事→『プロメア』感想


第6位

『よこがお』

『葛城事件』以来の衝撃。ズシンと重いサスペンス、かつ地獄のような百合作品でもある。
 過去記事→『よこがお』感想


第5位

『JOKER』

 ホアキン・フェニックス劇場。DC映画史に残る傑作となったが、同じ路線でこれを超えるのは難しいという意味で、続編はいらないと思う。
 過去記事→『JOKER』感想


第4位

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

 俺たちの観たかった怪獣映画を作ってくれた! ドハディ監督ありがとう! でもクトルゥフ神話と結びつけたのはやりすぎだったな!
 過去記事→『ゴジラKOM』感想


 ベスト3を発表する前に、惜しくもベスト10には入らなかったものの、下半期で忘れがたかった作品を発表します。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

 ベスト10候補だったがエンドゲームがなかったらどうか、ということで。ポスト・サノスとしての敵の造形が天才的。


『ホテル・ムンバイ』

 2008年、インド起こった同時多発テロ。その中の、タージマハル・ホテル籠城事件を描いた作品。
 宿泊客やホテル従業員の奮闘やリアルな恐怖だけでなく、実行犯側の内面にも迫っているのが異色。


『ハウス・ジャック・ビルト』

 芸術家気取りのとある殺人鬼の12年間を描く。とにかくグロく、悪趣味で、これを笑ったら人格を疑われそうなユーモアで溢れている。しかしラストは芸術家の業を鋭く描いており、かなり好き。


『ハッピー・デス・デイ』『ハッピー・デス・デイ2U』

 ホラー映画で真っ先に殺されるエロい女の子、いわゆるファーストガールが主人公という発想の転換。1作目がホラーで2作目はSF。とにかく楽しい一本、ならぬ二本。


『アルキメデスの大戦』

 2019年の邦画でも屈指の出来。山崎貴やるやん、ってなった作品。戦艦長門の全身を計測するシーン、個人的にはエロいと思います(艦これの影響)。


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』

 昨年のアニメ映画でもっとも‟フェチ”を感じられた一本かも。ダンスシーンの体重移動は鳥肌モノ。なお、主人公は仕事で各所を訪れているため、依頼人とどんなに絆を深めてもかならず別れが待っている。つまり、約束された別離百合。


『Us』

 見えざる者たちの蜂起。『JOKER』と併せて観るべし。


『空の青さを知る人よ』

『あの花』『ここさけ』に続く秩父シリーズ第三作。前二作が「立ち止まっていた若者たちが再び歩き出すまでの物語』だとしたら、本作はその先を描いている。シンノというキャラが個人的に刺さりすぎてヤバかった。


『英雄は嘘がお好き』

 頭空っぽにしても楽しめるが、意外と深い洞察もある。創作を志す人なら観て損はない。
 過去記事→『英雄は嘘がお好き』感想


『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌』

 本当ならベスト10入りしてもおかしくないほど面白かったが、このシリーズにはまだ上がある、この先もっと盛り上がる、という期待を込めてこの位置。釘宮ボイスの皇女様は男前ヤンデレという新たなジャンルを確立した。彼女は文句なしで昨年のベストガール。


『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

 劇場版三作目。少年とドラゴン、二人で一人のコンビも大きく成長し、やがて大きな決断を迫られる。聖地のシーンは息を呑むほどの美しさ。主人公は理想主義者だが、お話の着地点は決して理想に溺れないところがとても良い。


 では、いよいよベスト3の発表です。

第3位

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

 ゆるくて楽しい前半、緊張感溢れる中盤の農場シーン、そして終盤、1969年という運命の年に起こったあの事件へ。
 めちゃくちゃにテンション上がった後で、引くほどにマジ泣きしてしまった。あの門の向こうはね、夢の世界なんですよ……


第2位

『ジョン・ウィック パラベラム』

「人の殺し方」だけでこれほど盛り上がれる映画が他にあるだろうか。襲ってくる敵もみんな一流なので戦闘シーン全部がすごい。つまり全編すごい。っていうか、あの世界には殺し屋しかいないのか?


第1位

『スパイダーマン:スパイダーバース』

 やはりこれ。これしかなかった。
 過去記事→「父殺しの神話」としての『スパイダーマン』


 以上、葦原青の選ぶシネマランキング年間ベスト10でした!!


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