映画『ハロウィン』感想

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 どれほど作品の出来がイマイチであろうと、その一要素さえあれば許してしまう――そういうこだわりというか、性癖というか、とにかくそういうものを持っている人も多いだろう。
 私にとってのそれは、強いババアの存在である。

「ババアがみんな弱いと思うな」とは『ハチワンダイバー』の名言のひとつだが、ババアキャラに注目し出したのはいつ頃だろう。
 とにかく私は強いババアキャラが好きだ。本来弱者であるはずの老婆が無双する爽快感。固定観念への反逆。要するにギャップ萌えだ。
 ただ、実はヒーローが化けてましたとか、宇宙人でしたとかやられるとちょっぴり萎える。その点で『キャプテン・マーベル』は惜しかった。でも、ババアの正体に気づいていきなり殴る、という面白があったので許します。

 今回紹介する『ハロウィン』を簡単に説明すると、戦闘訓練を受けたババアが殺人鬼と戦うサスペンスホラーだ。
 しかもこのババア、籠城して戦えるよう、自宅を改造している。監視カメラ、通路を遮断するシャッター、地下室に隠された大量の銃器。わくわくするギミック満載。身体能力ではかなわない敵に知略で対抗する。まるで『プレデター』だ。最高である。燃えないはずがない。

 予告編

 断っておくが、『ハロウィン』はちゃんとした映画である。
 1978年製作、ジョン・カーペンター版『ハロウィン』の正統続編であり、現実の時間に合わせて舞台も前作の四十年後となっている。主人公の強ババアことルーシーは、前作でもヒロインを演じたジェイミー・リー・カーティス。
 キャラクターの描写が薄いとか、今やるにしては精神病患者の描き方がちょっとマズいのでは? といった細かい点は気になるものの、シリアルキラー“ブギーマン”には漆黒の淵を覗き込むような魅力があり、「何も起こらない」シーンのハラハラドキドキは堪らない。
 せっかくホラー映画を観るからには、ちゃんと怖がらせて欲しいというのがファン心理だろうが、本作はその期待にしっかり答えてくれる。

 若干のネタバレになるが、本作はババアの娘、孫娘と、三代にわたる女たちの戦いでもある。対して男たちはクソ雑魚ナメクジである。孫娘の彼氏とか、後半完全に忘れ去られる。役割としては、スマホを壊しただけなのに……
 そんなわけで私は本作を、『ワンダーウーマン』や『キャプテン・マーベル』に続く、スーパーヒロイン映画のひとつと認定するものである。

                             ★★★★☆

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