世紀末ロンドン、少女たちの行き着く先は⁉ 映画『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章』感想
時は19世紀末。壁により東西に分かたれたロンドンは、各国スパイの暗躍する舞台となっていた。
革命扇動事件の影響で王国でのスパイ狩りが激化する中、共和国のスパイ組織「コントロール」に属するチーム‟白鳩”は、王国宮廷内のモグラこと‟ビショップ”との接触を命じられる。
二重スパイの疑いのかかるビショップは、白鳩のアンジェ、プリンセスと深い関わりのある人物であった――
テレビシリーズで人気を博した、スパイ×スチームパンク×百合作品の劇場版続編。
ストーリー、脚本、音楽、作画といった各要素は総じてレベルが高く、最近あまり聞かないが、いわゆる‟質アニメ”のひとつといえる。
劇場シリーズは全七作の予定で、本作はその一作目。
テレビシリーズを観ていなくても楽しめるとは思うが、主人公であるアンジェとプリンセスの関係くらいは押さえておくといいかもしれない。
1分くらいでだいたいわかる「プリンセス・プリンシパル」という動画も公式配信されているので、そちらを参照するのもいいだろう。
スパイ物といえば、古くは『スパイ大作戦』『007』といった作品があり、本作ももちろんその影響下にあるわけだが、日本のテレビアニメでいうならば、『ルパン三世』や『カウボーイビバップ』の系譜にあたり、昨今の流行として美少女、百合といった要素を取り入れてはいるものの、作りとしては硬派といえる。
第一章ではアクションパートはやや抑えめで、その分謎解きに比重が置かれている。
ビショップというキャラクターの、渋く老練な魅力もさることながら、外部との連絡手段の意外性や、チェスのシーンを始めとする含みを持たせたセリフの応酬も素晴らしく、観ていて飽きない。
また、アンジェ&プリンセスの未来に関わる重要なテーマが提示され、今後それがどのように展開されていくか楽しみである。
テレビシリーズでは出番の少なかったコントロールの長‟L”にも、どうやらラスボス(と思われる)ノルマンディー公との因縁があるらしく、そちらも期待が持てる。
アクション抑えめとは書いたが、本作のアクション担当であるフィジカルお化け、藤堂ちせにもしっかり見せ場が用意されており、むしろ新たな魅力が見られてファンには嬉しいところ。
ちなみに私の推しはドロシーである。
★★★★☆