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初めてのフジロックフェスティバル2023
明日フジロックフェスティバルに行く。3日間あるうちの2日目だけの参加だ。フジロックに行くのは今年が初めてだし、なんなら音楽フェスに行くこと自体これで3回目である。初回は、2022年6月にスペインで行われたプリマヴェーラサウンドで、2回目が同じく2022年のサマーソニック大阪である。それまでは、小さいライブハウスで音楽を聴くのが好きだったが、棚からぼたもち的にプリマヴェーラサウンドのチケットをいただいたのをきっかけに、フェスの楽しさを感じるようになった。
フェスは「コト」
音楽フェスは音楽鑑賞であるのみならず、おしゃれをして行き、寒暑にさらされながらフェス飯を食べ、観たいアーティストの出るステージまで移動して、と、そういったさまざまなイベントのうちの一つとして音楽を聴く、という出来事である。
言うなれば「モノ」ではなく「コト」。その様子を撮ってはSNSにアップロードしたりするという行為に親和性が高いものだと言える。もちろん、好きなアーティストがいて、そのアーティストのライブを聴くのが目当てだというひともいるだろうが、それは一部の話で、総じて見るとフェスは極めて「コト」的だ。
①2022年 Primavera Sound(スペイン)
これが今までフェスに行かなかった理由のひとつでもあるように思える。わたしはただ「音楽」を聴きたいと思っていた。ヘッドフォンを着けて細かな音にも耳を澄まし、その音世界に浸るということ、それを繰り返すということ、そこに快楽を見出していた。だが、プリマヴェーラでslowdiveを観てからそれは大きく変わった。
何が違ったか。爆音の中でも泳ぐことができたのである。特にシューゲイザーというジャンルだからというのはある。歪ませたギターに曖昧な歌詞、それが大きなうねりとなって押し寄せる。自分の人の輪郭を忘れ、音と交感し合うひとつの粒となる。モノに還る。この身体とは現象である。世界の中でもっとも再現性が高く反復される現象たる、またそれゆえに快楽であるところの現象である、この身体。モノ。目を閉ざせば自他の境界は揺らぎ、また劃定され、解かれ、そんな反復のうちにわたしが揺蕩う。
②2022年 SUMMER SONIC(大阪)
そのような音楽体験をしたということがあって、わたしはフェスが好きになった。それが初めてのフェス体験だった。それで同年、サマーソニックにも行くことになる。当時は自暴自棄的なところがあって、ひとり自転車で会場へ向かった。百均のキャップをかぶって舞洲を目指した。よくも熱中症にならなかったものだと思う。
目当てのアーティストは何組かいたけれど、Måneskin(マネスキン)と、プリマヴェーラでも観たRina Sawayamaが特に観たかった。両者とも、素晴らしいパフォーマンスだった。今でもいくつかのシーンが写真のように思い出せる。
Måneskinは、ハードロックの系譜をしっかりと受け継ぎながらも今日に「踊れる」音楽を演奏する。前日に東京でライブをしていたとは思わせないほどのパワフルさで、伝説級の盛り上がりだった。
Rina Sawayamaは曲やパフォーマンスがいいのはさることながら、MCが大変印象的だった。日本がG7で唯一同性婚を認めていないことを明確に「恥ずかしいことだ」と言っていた。サマーソニックのメインステージでそのような言葉が聞けたことがうれしいとともに、わたしたちは「恥」をこそ感じるべきだと感じたのだった。
③2023年 FUJI ROCK FESTIVAL
それで今年のフジロックフェスティバルである。4人で行く。早朝から車を走らせて、7,8時間の道を交代で運転しながら向かう。果たしてどんな旅になるだろう。今回は自分ひとりで行くわけではないので万全の準備をした。新たにアウトドア用のキャップを用意し、熱中症予防のアイテムもいくつか用意した。逆にこれだけ準備に念を入れたらかえってなにかを忘れそうなものだが、準備するに越したことはない。
今回の一番の目当てはslowdiveである。プリマヴェーラ以来だ。時間帯も20:10からと、日が落ちてきた頃合いでよい。あまりに期待しすぎるのも考えものだが、いやが上にも上がってしまう期待。今晩眠れるだろうか。まるで遠足前の子どもだ。そしてフェスは大人の遠足のようなものだ。
こう書いている間にもフジロックアプリから初日開演の通知が来た。公式はおれたちの期待をひたすら上げにかかってくる。
明日が待ち遠しい。
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