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原風景ギャップの産物

私にはパートナーがいる
その彼と沖縄に旅行へいったときのこと


彼に飛行機のチケットと宿を任せ
私はひたすら沖縄に思いを馳せて
わくわくしていた

青い海と広い空
そしてゆったりと流れる時間
あ〜たのしみ!


そして出発の日がやってきていざ沖縄へ


那覇空港につき
まず宿にチェックインをすることに

予約をしてくれていた彼の後を
ついていくと
屋台がひしめきあう
アジア諸国のあのディープな
雰囲気に近い下町があらわれた

こんなとこあるんやなぁ〜
と他人事のように思いながら歩いていたら
彼が急に立ち止まり
「あ!ここやわ!」
と言ったのだ

「えっ??えーーー!!!」

さっきまで映像を見るかのように
俯瞰して眺めていたこのディープな下町が
急に立体感を増しリアルな姿となって
私の前に現れた

まるでパラレルワールドである

彼が入っていったのは
街のなかで違和感を放っている
綺麗なマンション

ホテルでも旅館でもなく
マンションの一室が
2泊3日の宿ということを
このときはじめて知ったのだった

「飲み屋さんがすぐそこにいっぱいあるし、呑んだらすぐ宿に帰って来れるしいい感じやろ♪下町はいいよな〜」

とうれしそうにはしゃぐ彼


あぁ   そうだった……


なぜ彼は沖縄にきて
青い海  青い空  
が見える宿ではなく
街の真ん中にある宿を選んでしまうのか

それは
彼にとって「原風景」だから


大阪のど真ん中
商店街と飲み屋が軒を連ねる
The・下町で育った彼にとって
酒場とコンビニのネオンが光り
人々がたくさん行き交う賑やかな場所が
いちばん落ち着く場所なのだ


一方の私はというと
右に行ったら和歌山
左に行ったら奈良
という大阪はしっこで生まれ
高一まで山に囲まれて育った田舎者だ

最寄り駅は徒歩25分
スーパーまで車で20分は余裕でかかるし
もちろんコンビニもない

畑と草と虫と土と山と空が
ただただ広がっている

私にとって自然に埋没する世界
それが「原風景」であり
一番落ち着く場所なのだ



私たちは都会っ子と田舎っ子で
「原風景」=「落ち着く場所」に
大きなギャップがあったことを
すっかり忘れていたのだ


O M G……

しかし任せっきりだった私も悪い

文句を言いたいところグッッと飲み込み
現実は変わらない!ならば楽しもう!

と心をゴロッと入れ替え

そのディープな下町で食べまくり酔いまくり
呑み屋のおっちゃんとも仲良くなったりして
思いのほかたのしい時間を過ごしたのだった

青い海 広い空だけではない
新しい沖縄の楽しみ方を知れたのは
彼のおかげである


自分の好きやスタンダード
だけではなかなか新しい世界は広がらない
だけど意図せず流れに抗わず
異質で普段選ばないものに
足をズボッと突っ込むと
案外楽しい!
全く知らない世界をしれた!
と自分の枠を広げるきっかけになるのだな…

ここまで書いて

「これはもしや思いもよらない
異文化コミュニケーションによって
コンフォートゾーンを広げれた
まぁまぁ良い例なんじゃないの私?!」

とすごいことに気付いてしまった!ような気になって気分がいい
(ちょっと違う気もするけどいいのだ)


だけど つぎはぜったいに
青い海 広い空が一望できる宿に泊まりたい

ぜったい!
(やっぱり根にもっている)














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