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思わぬ救世主とおばちゃんパワー
マンションの賃貸契約は一般的に1年以上ですが、私の場合は1年間の契約で、9月から翌年の9月までの予定でした。ただし、私の留学期間は5か月間、9月から翌年1月までしかありません。
そのままでは、残り7か月分の家賃が無駄になってしまうため、契約時に大家さんの了承を得て、ルームメイトを探してその人に家賃を負担してもらうつもりでいました。もともと、全額を前払いして家賃を安くしてもらっていたので、かなりお得な家賃だし、ルームメイトはすぐに見つかるだろうと思っていました。
ところが、ルームメイト探しは予想以上に難航しました。
私の知り合う大学の本科生はすでに自分で部屋を借りており、語学研修生は奨学生で宿舎に住まう縛りがあり、自費の学生も宿舎の家賃を一括で支払っている状態です。さらに、女性限定で探していたため、ますます条件が厳しく、なかなか見つかりませんでした。
大学の掲示板に募集を出せば見つかるかもしれないと思いつつも、知らない相手と同居してトラブルになるのは嫌だなと考えているうちに、気づけばあっとうまに2か月経って、11月になっていました。
そんなある日、私の事情を知っている不動産仲介の女性たちが、ぴったりのルームメイト候補を見つけてきました。それは、翌年9月からアメリカの大学に留学予定の香港の女の子で、留学前に中国語と中国文化を学ぶために南京に来たということでした。
彼女が希望する契約期間は12月から翌年9月までで、1か月の予算は1500元以下という条件。まさに私が退去した後も借り続けてくれるという、理想的な条件でした。
ところが、彼女は一人暮らしを希望しており、南京に住む親戚が時々部屋を使いたいということで、私と同居することは難しいと言われました。
がっかりしていたところ、最近知り合った留学生の友人が「じゃあ、あなたは私の家に来ればいいじゃない?」と声をかけてくれました。彼女はちょうど2年契約でアパートを借りたばかりだったのです。
私は今の部屋を香港の女の子に譲り、自分はその友人の家に引っ越すという案を、不動産仲介の女性たちに相談してみると、「いいわね!香港の子に家賃を払ってもらって、残りの家賃はあんたに返してあげるよ」と、驚くほどあっさりOKをもらいました。
ただ、契約書は私と大家さんとの間で交わされたものなので、新たな契約書が必要ではないかと聞くと、「大丈夫、大丈夫。大家さんにはあんたのルームメイトが香港の子だって話をして、あんたは帰国したことにすればいいのよ。それに、日本人も香港人も素行が良いからトラブルなんて起きないのさ。さあ、ここに座ってスイカの種でも食べな」と、いつも彼女たちが食べている種のスナックを勧められ、ちょっと呆れつつも恐れ入りました。
日がな一日、事務所の入り口に座っておしゃべりをしているおばちゃんたち。通るたびに声をかけてくれるけれど、どんな場面でもさっと話をまとめて、都合よく事を進めるその手腕には、感心というより驚かされます。しかも、大家さんはこの女性たちを全面的に信頼しているようで、私は大家さんの連絡先すら知りません。何かあれば、彼女たちに頼るしかないのです。
こうして、香港の女の子は8か月間マンションを借りることになり、私は気の合う友人の家に引っ越し、不動産仲介の女性たちは700元の契約料を手に入れたのでした。
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