スマホ録画した動画で稽古
藤娘が終わり、来年の曲を練習しています。藤娘の頃の練習を振り返って、今回は新しい自主練の方法に挑戦しています。それは・・・
1. 先生の踊りを動画で撮影
2. ひたすら繰り返し見る
3. 「立って」見る
立つのがポイントです。
座ってみているよりも、体が動画の通りに動こうとします。でも実際に動いちゃうと動画に集中できなくなるので、動かしません。自然体で立ち、体が「ピクピクッ」と反応しそうになることを、繰り返し繰り返しやります。体はその残像を刻みます。その時、絶対に先生の姿から目を離しません。残像は、映像とリンクしているからです。先生の手の「鷲口の構え」を凝視すると、残像は鷲口の形をしています。
振り(振付のことね)は嫌でも覚えます。でも、実際に踊ろうとすると踊れません。その「踊れない」というのも大事なポイントで、先生の指摘なしに振りの暗記を進めてしまう事はしないほうがいいです。
振りを覚えると「今日は頑張ったぞ」という気になり満足してしまいますが、目的は言いつけ通りに踊ることなので、指摘なしに覚えたって二度手間なのです。お稽古場でしっかり指摘を頂き、わからないところを質問し、細部まで指示を頂いてから、ようやく家でも踊ります。だから稽古を重ねるごとに、できることが増えていきます。
動画の中の先生の踊りも、隅々まで観察します。なるべく、振り以外のところを重厚に。先生が説明しない、意識もしていない、先生の体に染み付いている「何か」をぼんやり頭の中に入れ、それらの断片的な記憶を集めておきます。整理したり分類したりする必要はなく、ただ漠然と脳の外縁部に並べておけば良いです。足先の僅かな角度、目線、表情、体幹、一瞬の姿勢の伸び方、そういった具体的な形をどんどん目に焼き付けて、記憶し、そして忘れます。これができるのが、動画稽古の最大のメリットだと思います。
気迫、情景、空気感とかの抽象的なものは、動画ではあまり見ません。それは本物の先生で見たほうがいいと思います。例えば首が「こくん」と決まった瞬間のかっこよさは、関心はあれど、動画で真似はしません。「決まったな」と思うにとどめます。
週に何回も稽古がある人は、自然と言いつけ通りになるんですよね。そういう稽古法が連綿と続いてきた。でも自分のように週1くらいしかないと、それ以外の時間が勝負になっちゃいます。でも先生はいません。動画も、振りを覚えるツールとしては優秀ですが、振りだけ覚えて時間が経ってしまうと、自己流が身に染みてしまいそうになります。僕の場合、それではダメです。先生がそう言ったからではなく、伝統がそういうものだからでもなく、単に納得感が湧いてこないんです。
それを克服しようと、考えた方法がこれです。まだ実践して1ヶ月にも満たないですが、手応えがあったので書いてみました。あと、育児があって全然踊れない(踊ろうとすると部屋が散らかっていて、片付けると寝る時間になる…等々)ので、リビングでふとできる方法という意味でもおすすめです。
スマホの前に仁王立ちして動画を見つめるんです。まあまあシュールですが。
・・・「残像」だの「何か」だの、難しい表現を使いました。でもやってみると、そう表現するのが適当な気がします。立って動画を見て、体が動画に反応すれば、僕の場合は残像が、あなたの場合は別の何かが反応するでしょう。それがなんなのか、僕にはわかりませんし、必ずしも言語化する必要はありません。
ただ一つ言えることは、座っていてはダメです。立たないと、筋や腱は休んでしまいます。人間の体は「寝る」「座る」「立つ」の3つの隔たりは非常に大きいので、寝ながら座ってやるべきことはできないし、座って踊りのことをしても効果は薄いです。
でもこの文章はふとんでごろ寝しながら書きました。寝てても文章は書けるものですね。
おやすみさない。
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